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電撃・偵察の双発機「ボーフォート」、エアフィックスより初キット化!最新キットの出来と作例をご覧あれ

2022.11.09

ブリストル ボーフォート Mk.I【エアフィックス 1/72】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)

次女の登場で出揃った1/72ブリストル双発爆撃機

 ブレニムに続き、イギリスのブリストル社が第二次大戦前に開発した雷撃・偵察用の双発機がボーフォートである。性能的には平凡だったが運動性が高く、イギリス空軍はもちろんオーストラリアでもライセンス生産が行われ、中型爆撃機として地中海や太平洋で活躍している。地味な機体のためイギリスの老舗エアフィックスでも初のキット化となるが、キット内容は本来の任務である雷撃機として運用されたMk.Iを再現し、カッチリとしたモールドで作りやすく、近年のエアフィックスを代表するような出来映え。ブリストル双発爆撃機3姉妹を1/72スケールで揃えよう!

▲ボーフォートは1935年より雷撃機と偵察機を兼ねた中型双発機として開発、ブレニムの機体設計を流用し1936年には設計を完了したが、初期トラブルやボーファイター開発などが重なり、初飛行は1938年、実戦配備は1940年までずれこんでしまった
▲最初の量産型Mk.Iはイギリス沿岸や地中海などで機雷敷設や船団雷撃などに従事。高い運動性で好評を得たが、トーラスIIエンジンの低い信頼性に悩まされ、Mk.IIからはP&Wツインワスプに換装。1943年以降はボーファイターへ機首改変された
▲胴体背部の旋回式7.7mm連装銃塔。前部のフェアリングは胴体の一部を切り取る必要がありていねいに処理
▲エンジンカウリングは前面に排気シュラウドがある英国機特有のタイプ。機体とは別に塗装して取り付けた
▲三角形に近い垂直尾翼は、ブレニムやボーファイターにも通じるブリストル双発爆撃機に共通の形状となる
▲ボーフォートの主兵装である、胴体下面に半埋め込み式に搭載された魚雷。魚雷を取り付けない場合は爆弾倉を閉状態で製作することも可能だ
▲前方に爆撃手席、後方に操縦手席を設けたオーソドックスな形態の機首。コクピットはもちろん、後部の無線手席や銃座などの機体内部も精密に再現されている
▲作例の塗装例Aは、1941年4月6日、フランスのブレスト港でドイツ戦艦「グナイゼナウ」に魚雷攻撃を行い、右舷に命中弾を与えた機体。塗装例Bも1941年2月1日に重巡「アドミラル・ヒッパー」へ雷撃を行った機体を再現できる

■キットについて
 エアフィックスの新製品、1/72ボーフォートMk.1を作ります。諸事情によりエアフィックス製品の入荷がかなり遅れ、バルカンやチップマンクなどとともに、ようやく入荷したもののひとつです。
 この機体は軽爆撃機ブレニムをベースに初めから雷撃機として開発され、アブロ・アンソンの代替となる双発機でしたが、エンジンのパワー不足から成功した機体とは言い難かったようです。大戦初期に船団攻撃に使用され、イギリス本国およびオーストラリアで運用されました。

■製作
 キットはバリエーション展開を考えてか、不要パーツが含まれていますので、製作には注意が必要です。
 まずコクピットから組み立てます。機首から胴体中央部までのコクピットフロアに主翼の桁と一体になった隔壁を取り付け、胴体内部パーツを取り付けていきます。コクピットフロアの裏側が爆弾倉になっており、魚雷懸架装置を取り付けるための穴を開けておきます。主計器盤にはデカールがありますので、それを貼れば充分でしょう。パイロットシートにベルトは付属しないので、ファインモールドのナノアヴィアーションよりイギリス軍用のベルトを追加してあります。
 窓枠が多く、中があまり見えないように感じますが、クリアーパーツが非常にきれいで結構中がよく見えるので、あまり手抜きはできません。胴体内部にセットするパーツは多いですが、きちんと塗装しておけばよい仕上がりになるはずです。
 胴体中央部左側には銃座を取り付けられますが、今回は閉めてしまいました。胴体中央部背部に取り付ける回転銃座は、フェアリングを付けるため、胴体の一部を切り取るようになっています。少々面倒ですが、きれいに処理をしておかないと、フェアリングをうまくセットできなくなりますので注意します。尾輪庫も含め胴体内部に取り付けるパーツを忘れずにセットして左右の胴体を組み立てます。
 主翼を組み立て胴体にセットしていきますが、桁があるおかげで上反角など気にせずピッタリとセットできます。最新のキットのよいところです。各尾翼や動翼も取り付けてしまいますが、フラップは塗装バージョンによりパーツが異なりますので注意が必要です。なお各翼の後縁は少々厚いです。もう少しシャープにしたかったところです。

■塗装を考慮した組み立て
 その後脚柱の一部とエンジンナセルを取り付けていきます。エンジンとカウリングは別途塗装、組み立てて本塗装後に取り付けます。また機首のクリアーパーツは、マスキングしてから胴体に取り付けてしまったほうが後々楽になりますし、仕上がりもきれいになると思います。
 塗装後に取り付けるパーツは、主車輪、尾輪、背部回転銃座、アンテナ類、プロペラ、魚雷などで、それぞれ組み立ておよび塗装を済ませておきます。翼端灯はクリアーパーツになっていますので、内側から0.5mm程度の穴を開け、クリアーレッド、ブルーの塗料を入れてやれば実感が増します。機種によっては翼端灯カバーに色がついてるものもありますが、この機体の場合バルブに色が付いており、カバーはクリアーのままのようです。必要な部分をマスキングして塗装に備えます。
 塗装図には、プロペラ先端の黄色部分にmm単位で幅の数値が示されていますが、いつもどのくらいの幅で塗ればよいか悩むところなので、これは大変親切です。

■塗装およびマーキング
 塗装例Aを選択しました。下面が黒の塗装例Bも迫力があってよいのですが、今回はこれです。
 まず全体をガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、下面のスカイから塗っていきます。塗料はGSIクレオスのMr.カラーで、下面がC26、上面はC361ダークグリーンとC369ダークアースの迷彩になります。若干実機と異なるかもしれませんが、今回は迷彩の境を少しぼかしました。英国機の場合ぼけていないケースが多いのですが、少し迫力を出したかったためです。
 次にスミ入れ、ウォッシングして塗装の彩度を下げ落ち着かせます。付属のデカールはパーツへの馴染み、薄さ、発色どれも完璧で、安心して貼れます。乾燥後、3/4ツヤ消しでオーバーコートします。取り付けを後にしたパーツをセットして完成です。

■最後に
 このキットはパーツの精度も高く、組み立てに問題が生じるようなことはほぼ皆無です。非常によいキットだと思います。

エアフィックス 1/72スケール プラスチックキット

ブリストル ボーフォート Mk.I

製作・文/山田昌行

ブリストル ボーフォート Mk.I
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●3630円、発売中●1/72、約18.6cm●プラキット

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山田昌行(ヤマダマサユキ)

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