怪獣造形などで活躍中の麻生敬士によるチベット仏教の法具を模した「チベタンスカルIII」
2022.10.22禍々しくも神秘的な魅力を放つ本作は、H.M.S.二度目の登場となる麻生敬士氏による巨大な面「チベタンスカルIII」。もともとは亡くなった僧侶の頭蓋骨に装飾を施したチベット仏教の法具であるが、今回はさらに頭蓋骨自体もアレンジを加え、麻生氏ならではの迫力ある作品に仕上げられている。
こんにちは。特殊造形の麻生です。HMSへは2回目の参加です。再び機会をいただいて嬉しく思っています。
今回作ったのは「チベタンスカルIII」です。チベタンスカルとは、本来、人間の頭蓋骨に装飾を施したもので、チベット密教の儀式で使用される法具のひとつなのですが、刺青やアクセサリーのモチーフとしても人気があり、それらの分野でさまざまなバリエーションがあります。僕自身も昔からすごく造形的魅力を感じているモチーフで、作るのはこれで3度目になります。
技法や材料としては、水粘土の原型をシリコーンとFRPで型取り、ウレタン樹脂で成型、ラッカーと模型用アクリル塗料で仕上げです。8年前、最初のチベタンスカルを作ったのですが、それが仕事でも習作でもなく、初めて『個人作品』というつもりで発表した物でもありました。
これがきっかけでいろいろなありがたい声や反響をいただき、今まで個人作品を作るモチベーションを維持出来てきたのだと思っています。なので、今回はその時の気持ちをふり返るつもりで、大きく変わった解釈は控え、もう一度、8年前に作ったスカルの雰囲気を受け継いだ物を作ろうと思いました。ただし、サイズを変えて倍の大きさで作っています。本物のチベタンスカルのような、妖しさと禍々しさ、人の祈り(呪い?)が籠っていそうな呪術的雰囲気を感じてもらえたらと思いますが、僕としては、素朴にかっこいい骸骨を作りたいという気持ちで作ったものでもあります。
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スクラッチビルド
チベタンスカルIII
製作・文/麻生 敬士
麻生敬士(Keiji ASO)
大阪市出身。特殊造形師。怪獣造形スタッフとして特撮作品に参加後、フリー造形師として特殊メイク、造形工房で映画、CM、などに携わる。帰阪後、テーマパークやイベント関連の造形物を作りながら、『アソウゴム工芸』名義で個人作品を制作。
主な参加作品『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』『仮面ライダー THE NEXT』今秋公開の『仮面ライダー BLACK SUN』他。
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