「PLAMAX スコープドッグ 炎のさだめ/いつもあなたが」を筆塗りでメリハリたっぷりに仕上げる!
2022.10.21手のひらサイズのヴィネットで楽しむ筆塗り時間
プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックをみんなで読んで、テンションアゲアゲでどんどん筆塗りを楽しんで行こうという連載「筆塗りTRIBE」。今回は筆塗りで楽しむのにぴったりのプラモで、2022年11月に発売予定の新商品「PLAMAX MF-60 minimum factory スコープドッグ 炎のさだめ/いつもあなたが」をお届けします。
このプラモは『装甲騎兵ボトムズ』のオープニング、エンディングでも印象的なイラストをヴィネットにした固定モデルで、商品も2体入り。成型色も特徴的であなたのイマジネーション次第でさまざまな楽しみ方ができます。今回のファーストレビューでは、アニメイラストのグリーンの姿で塗り上げながら、それぞれのシーンの魅力を膨らませるために色味だけでなく影やツヤ表現も筆で塗り込んで行きますよ!!(構成・文/フミテシ)
今回のパイセン
國谷忠伸/フィギュア塗装のスペシャリストですがキャラクターメカ、AFVの工作&塗装もピカイチ。ホビージャパンMOOK「スーパーカブに乗ろう」(発売中)では、ご自身のカブに乗って体を張ってくれてます!! こちらのパイセンの姿もチェックしてくれよな!!
ユニークなパーツ分割&少ないパーツ数で楽しく組み上がる新感覚メカヴィネットプラモ!
固定モデルだからこそできるポージングを、手のひらサイズのヴィネットとしてキット化していくPLAMAXの新シリーズ。スコープドッグに先駆けて発売されていた「PLAMAX 朽ちダグラム」の商品コンセプトをさらに煮詰めたものとなっています。
ランナーを見ていくと腕や脚が一体になっていたり、地面から脚が繋がっていたりとパーツ分割はとてもユニーク。さらに成型色はアニメイラストの背景の色を拾った、これまでのボトムズプラモには無い色をチョイス。そのまま作って楽しんでも良いし、この色を活かして塗っても良しと、プラモらしく手を動かして遊びたくなるキット内容になっています。
2体セット! 成型色もキャッチーだね
一体パーツの面白さ
組むだけでそこは「アストラギウス銀河」
使用する筆&塗料と塗装準備
メリハリある影色を描き、ミニチュア的手法で塗り上げる
「炎のさだめ」は下地のブラウンの他に、最初に影になる部分に紫を塗って暗い部分と明るい部分のメリハリを強調して塗り上げます。光が当たる部分も明るめに塗ります。こうすることで約7cmの模型も存在感ある仕上がりになります。ウォーハンマーなどのミニチュアでも塗られている技法をラッカー塗料やタミヤアクリルで実践します。
雨の流れを意識した筆のタッチで塗り上げる!
エアブラシ塗装と筆塗りの大きな違いは筆の筆跡「タッチ」でさまざまな表現ができることです。「いつもあなたが」は雨降る情景が印象的。雨が機体を流れていく雰囲気を筆のタッチで表現して塗り上げます。
無我夢中で塗った……未完成病にもなった……でも素敵な模型仲間との出会いで今がある!
──國谷さんと言えばフィギュア塗装というイメージが強いのですが、実際キャラクターモデルも大好きなんですよね?
國谷(以下國):プラモは本当にさまざまなジャンルが大好きです。またアニメも好きですからキャラクターモデルもよく買います。スケールモデルは子供のころから当たり前にあったもの。特にタミヤミリタリーミニチュアの人気が絶頂だった頃も体験しているので正直プラモデルにおいては、あのジャンルこのジャンルという線引きはあまりありません。面白そうなプラモはどんなものでも作りたくなってしまいます。
──そんな中、色を塗りだしたのはいつ頃でしょうか?
國:小学生の時です。筆塗りでべたべたガンダムを塗りました。塗料は父と一緒に文房具店(当時は文房具店で模型用品を置いてある店が多かった)に行って買ったんです。実はガンダムのためじゃなく、図画工作の授業で出た「船を作る課題」用の塗料を買いに行くのが目的でした。そのついでにトリコロールを見繕ったんですよ。でも帰ってきたら全部クリアーカラーだったんです……そんなことも知らずにベタベタになるまで筆で塗り込んだんです。でもすごく楽しくて、今でもその記憶は鮮明に覚えています。プラモを塗る楽しさの原体験のおかげで、今も模型を楽しんでいるんだと思います。
──その後模型はずっと続けていたんですか?
國:続けていたというほどではないのですが、やっぱり気になるプラモは買って積んでいましたし、素組みで楽しんでいました。学生時代は美術部に入っていたので、プラモより色彩や美術史に夢中になってしまって、そっちがメインになっていました。特に美術史は面白いですね。歴史が好きなこともあって、スケールモデルを作るのが楽しいってのはありますね。美術部時代の基本は、今もプラモを塗る時にとっても役に立っています。でもそれが「今」なんですよ。卒業して、社会人になってから長い間未完成病というかプラモを作ることができなくなりました。仕事が大変で……同じような状況になった、もしくはなっている人が多いかもしれません。
──復帰したきっかけがあったんですね?
國:それが実家に帰った時に家に置いてあった「1/144 ガンキャノン」です。そのキットを手に取り「ガンダムウェポンズ 一年戦争編」を読んだら燃えてきたんですね。今ならもっとできるんじゃないかって。イラストや模型作例の良い所をトレースして、無我夢中で工作しましたよ。人生初のエアブラシ・タミヤのスプレーワークも購入しました。でも使い方が分からなくて赤い糸を吐きまくっていました。そこでまた模型誌をきちんと読むという……。そしてこのガンキャノンが人生で初めてちゃんと塗り切ったと言えるプラモになりました。だから僕は模型を塗り切った初体験が結構遅いんです。そこからはもう模型熱が高まっているから、あらゆる模型誌や、当時のweb掲示板などを調べたりしました。マシーネンを作って投稿してみると、多くの人からコメントをもらうこともでき「模型ってこんなに人と繋がれるのか……」と完成したことよりも嬉しい体験をしたのもいい思い出です。
僕は筆塗りだけという塗り方ではなく、エアブラシと併用することで筆塗りを楽しむことが多いです。適材適所ですね。その塗り方も、模型誌やSNSを通して交流のあるモデラーの塗り方を研究したり、時には質問したりしていろいろ試してみます。失敗もするけど、チャレンジする楽しさ、そして自分の思い描く塗りができた時ってのは模型製作の中でも格別な体験になると思います。
PLAMAX MF-60 minimum factory スコープドッグ 炎のさだめ/いつもあなたが
●発売元/マックスファクトリー、販売元/グッドスマイルカンパニー●4180円、11月予定●約7cm●プラキット
Ⓒサンライズ