ガンプラにスケールモデル的表現を盛り込んでみる【ENTRY GRADE ストライクガンダム製作指南】
2022.10.10GAT-X105+AQM/E-M1 ストライクガンダム+I.W.S.P. 【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年11月号(9月24日発売)
誰でも簡単に組み立てができるガンプラの新スタンダード“ENTRY GRADE”ストライクガンダムを使用して素組みからステップアップするための製作法を解説します。今回のテーマはスケールモデル的な表現方法。月刊ホビージャパンとしても馴染み深い「I.W.S.P.」を使用して航空機を意識したディテールアップを行います。(解説/木村直貴)
製作ポイント
●航空機を意識したディテールアップ
●HGストライクルージュ+I.W.S.P.からI.W.S.P.を移植
主に使用するツール・マテリアル
整形に使う工具
スジ彫り工具
「ー」モールド用工具
丸穴モールド用工具
❶翼のシャープ化
❷パネルラインのスジ彫り
❸ヒンジモールドを追加
❹本体および武装のシャープ化&ディテールアップ
❺エッチングパーツの利用
❻武器のディテールアップ
完成! ENTRY GRADEストライクガンダム+I.W.S.P.!!
スケールモデル的表現を盛り込んだENTRY GRADEストライクガンダム+I.W.S.P.が完成しました。翼やエンジンまわりのシャープ化で航空機的なイメージが高められています。反対に陸戦用兵器なら戦車的な表現を盛り込むなど、用途に合わせたディテールアップを行うことでメカとしての説得力を高めることができます。
■哀愁の『SEED MSV』
EGストライクガンダムにHGストライクルージュ付属のI.W.S.P.を組み合わせて航空機テイストでまとめる、というお題をいただきました。ご存じの通り、EGストライクガンダムはアニメそのものなスタイリングとシャープな造形! それでいて工具も塗料もなにもいらない8歳の初心者でも確実に組めるという、まさに「次世代のガンプラ」であります! まあ、頭部は極小パーツなので老眼の進んだ中高年モデラーには拡大鏡など専用ツールが必要になるかと思いますが…(笑)、このデキで初心者向けなの!? と完全に恐れ入ってる次第であります。
一方のI.W.S.P.は2004年発売の名作キットでして、アニメ本編と平行して月刊ホビージャパンで連載していた『SEED MSV』(←ボクもいくつか担当したぞ)の記念すべき第1弾を完全キット化したという個人的にも思い出深い一品であります! その2004年のキットの装備が無改造で新キットにドッキングできる! というBANDAI SPIRITSの設計はステキすぎて憎らしささえ感じます〜!
今回はHow to仕立てということもあり、キットの素性のよさを尊重して、形状的には極力手を加えずにスケールに見合ったシャープ感&密度感を目指すという方向で進めたいと思います。ちなみに、10年以上前にRGキットベースでI.W.S.P.の作例を担当したことがありましたが、ボク本人はやった記憶以外はほぼ忘れてしまってます(汗)。なので新鮮な気持ちでチャレンジ! です〜。
■飛行メカ講座
<本体>こちらは最新アイテムなので全然問題なし。アンテナ類のシャープ化、靴裏肉抜きのパテ埋めとハンドパーツの親指を別パーツ化してディテールアップした程度であります。ただしEGは関節が緩めになる傾向があるので、重量級パックを背負わせる場合には腰のジョイントなど、関節部に少し瞬間接着剤を塗ってタイトに調整しておくのがよいでしょう。
<パック>バランスは抜群なので翼関係をいかにシャープに整形するかがカギです。うんちくを少し披露すると、揚力(空中に浮かぶための力)装置である主翼は、気流速度による圧力差を発生させるために上面が下面よりふくらんでいるのが基本です。一方で安定板などの補助翼には揚力が不要なため対称断面なんですな。また、翼の前縁が割と太めの曲面であるのに対して、後縁は上面と下面を回ってきた気流がスムーズに合流するように(これがハガれると失速してしまう)鋭いエッジになっております。…というような物理を少し知っていると、リアルな飛行メカが作れますぜ!
<武器>コンバインドシールドはかなりパーツが細分されているのですが、さすがに複雑な構成なのでHGではこの辺が限界でしょう。作り替えるなり、貼り足すなりして精度を上げてやるとよいです。
<ディテール>いつもの「・」「ー」「凹」のメカディテールに加え、軽量化による空戦性能向上と武器の廃熱効率向上のための丸穴もプラスしてみました。詳しくはHow toパートをどうぞ。
■時代差を感じるか
EG本体はほぼ完璧に色分けされているので楽チンですが、I.W.S.P.はマスキング塗り分けのオンパレード! …焦らずに仕上げましょう。
使用塗料は基本的にMr.カラー(サフはガイア)で、
白=白サフ+グレーサフ
青=キャラクターブルー+パープル
赤=キャラクターレッド
薄赤=RLM23レッド+白
グレー類=グレーサフ+黒サフ+α
仕上げはいつも通り、エナメル塗料のグレーと黒でスミ入れしてから適当なデカールにてマーキング。濃度とツヤを調整したグレートーンにて軽くグラデーション吹きして完成であります。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “エントリーグレード” ストライクガンダム+“ハイグレード” ストライクルージュ+I.W.S.P.
GAT-X105+AQM/E-M1 ストライクガンダム+I.W.S.P.
製作・文/木村直貴
ENTRY GRADE ストライクガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●770円、発売中●1/144、約13cm●プラキット
HG ストライクルージュ+I.W.S.P.
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●1650円、発売中●1/144、約13cm●プラキット
©創通・サンライズ
木村直貴(キムラナオキ)
工作&塗装ともにミリタリー表現を取り入れたディテールアップを得意とするエースモデラー。和歌山在住の大正琴師範代。