HOME記事スケールモデルラリーカーならではのウェザリングテクニック!「フェアレディ240Z“1973 RAC ラリー”」をヴィネット仕立てに製作「模型をリアルに仕上げる! フィニッシュワーク虎の巻」より

ラリーカーならではのウェザリングテクニック!「フェアレディ240Z“1973 RAC ラリー”」をヴィネット仕立てに製作
「模型をリアルに仕上げる! フィニッシュワーク虎の巻」より

2022.09.01

模型をリアルに仕上げる! フィニッシュワーク虎の巻

ラリーカーならではのウェザリングテクニック!「フェアレディ240Z“1973 RAC ラリー”」をヴィネット仕立てに製作「模型をリアルに仕上げる! フィニッシュワーク虎の巻」より
フィニッシュワーク 虎の巻 ラリーカー

キレイに仕上げてから
汚すことで魅力を高める
ウェザリングテクニック

 ラリーカーならではの迫力とリアリティならウェザリングが最適! 

 模型をよりカッコよく仕上げたいなら、そのアイテムがもっとも活躍している場面を再現することが最適な手法のひとつです。
 ここで紹介する「ラリーカー」の場合は、土や泥、雪道を疾走する場面でしょう。レースに合わせてアフリカなら赤みがかった砂埃、ヨーロッパなら暗い色の土など、汚れ具合や色を変えてウェザリングを追加することで、より説得力のあるスケールモデルとして昇華させることもできるのです。そんなカーモデルをワンランクアップさせるウェザリングテクニックをじっくり解説します!

フィニッシュワーク 虎の巻 ラリーカー 横
フィニッシュワーク 虎の巻 ラリーカー リア

01 車体の基本塗装

 ウェザリングの前に車体や車内を仕上げておく。車体にツヤを出しておくと、ウェザリング部分とコントラストができ、よりウェザリングを協調できます。

基礎塗装 ラリーカー
▲ ラリーカーもロールアウト時はもちろんピカピカです。ウェザリングすることが前提だとしてもクリアーでしっかりと車体のツヤを出して作ります。デカールの段差消しも含めて研ぎ出し、磨いてからスタートです
基礎塗装 ドライバー フジミ
▲ ドライバーはフジミのドライバーセットを使用。ドライバーには少し動きを付けたかったのでシフトノブからステアリングに握り変えてるような動きに改造しています
基礎塗装 シートベルト
▲シートベルトは鉛板から切り出し塗装。スペアタイヤ周りのホルダーは当時の同系の240Zを参考に真鍮線と手縫い糸でディテールアップしました

02 土泥汚れを再現する

 いよいよウェザリングです。戦車模型のテクニックがそのまま使えます。仕上がりのイメージはやりすぎ注意!「キレイに汚す」を目指します。

 STEP 1

 車体に土泥汚れを加えていきます。まずは薄い埃汚れを再現します。薄らと車体下から上に向かい吹き付ける量を少なくするイメージでフワッと埃色をエアブラシで吹き付けます

土泥汚れ 1-1 ベース
▲ まずはベースの砂埃の汚れとしてタミヤアクリルのバフを薄く吹いていきます。フロントバンパーや車体のサイド、リアバンパー、タイヤハウスを中心に軽く吹き付けます
土泥汚れ 1-2 裏面
▲裏面もエアブラシで拭き、薄く溶いた油彩のローアンバー(ウェザリングカラー薄め液で希釈)を全体に塗布し色味の違う埃汚れを入れています
土泥汚れ 1-3 マフラー
▲マフラーはわずかに焼けた表現として、同じく薄く溶いた油彩のバーントアンバー、バーントシェンナで表情をつけていきます

 STEP 2

 埃汚れの2段階目の土埃としてタミヤアクリルのデザートイエローを吹きます。STEP1で吹いたバフにひと周り小さく重ねるように吹いていきます。砂埃に土埃が重なってくるイメージです

土泥汚れ 2 車体
土泥汚れ 2-5土埃
▲ 車体の裏面と同様に薄く溶いた油彩のローアンバーを先にエアブラシした埃面にうっすらと筆で乗せていくことで汚れの色味に変化をつけていきます
土泥汚れ 2-6 綿棒
▲油彩がある程度乾燥したら、意図しない滲みや、実車で人がよく触る所を溶剤(ウェザリングカラー薄め液)を含ませた綿棒で拭き取って調整します

 STEP 3

 土と泥を再現します。こびり付いた土など立体感を出しますが、塗装中に持つ所がなくなるので、あらかじめスタイロフォームに輪ゴムで固定して持ち手を作って作業しています

土泥汚れ 3 固定
土泥汚れ 3-7 スパッタリング
▲ 飛び散った土汚れの再現としてスパッタリングを行ないます。GSIクレオスのウェザリングペーストマッドブラウンを溶剤で薄めたものを筆に取り、棒状のものに筆先を引っ掛けて弾き飛沫を飛ばします
土泥汚れ 3-8 コントラスト
▲ウェザリングペーストにMr.ウェザリングカラーマルチブラック少量を混ぜて一段濃くしたものを筆で叩くように付け、汚れにコントラストを付けます
土泥汚れ 3-9 リア 汚れ
土泥汚れ 3-10 リア 汚れ

▲リア周りもウェザリングペーストや油彩で溜まった土泥汚れを加えていきます。基本的には車体側面での工程の繰り返しです。タイヤで巻き上げられた土泥をイメージしながら汚れを作っていきます


03 タイヤの土泥汚れ

 カーモデルのウェザリングで、車体の次にポイントとなるのがタイヤの汚れ表現です。完成時にリアルに感じるか否かを左右するのでバッチリ仕上げておきましょう。

タイヤ 土泥汚れ 1
▲ ウェザリングペーストのマッドブラウンに少量のマッドホワイトを加えて溶剤で溶き、スミ入れの要領で基本塗装を済ませたホイールとタイヤに塗布します
タイヤ 土泥汚れ 2
▲ 先に塗ったウェザリングペーストが半乾きくらいの状態でピグメントを軽く叩くようにまぶしていきます
タイヤ 土泥汚れ 3
▲乾燥させながら調子をみます。ピグメントを2色程度重ねると色味が増して良い感じになってきました
タイヤ 土泥汚れ 4
▲塗り重ねていき、ウェザリングペーストとまぶしたピグメントが乾燥した状態。この方法だとピグメントはあまり強く定着しないので、より強く定着させたい場合は乾燥後ピグメント定着液やアクリル溶剤を使うと良いでしょう

04 フロントガラスの汚れ

 ひとつの作品にさまざまなツヤを盛り込むことで情報量が増えてより表情豊かな作品に仕上げることができます。フロントガラスでツヤと汚れの対比を作りましょう。

フロントガラスの汚れ マスキング
フロントガラスの汚れ 筆塗り

▲フロントウィンドの汚れを再現します。ワイパーの稼働範囲に合わせて切り出したマスキングテープでマスキングします。その後タミヤアクリルのデザートイエローをうっすらとガラス面に吹いていきます。ワイパーで避けられ溜まった部分は油彩を使用して筆塗りで描き足し強調しました


05 マッドフラップの汚れ

 車体のみならず細部の汚れ再現にも配慮することで完成度は飛躍的に高まります。マッドフラップもそうした部分のひとつです。

マッドフラップの汚れ 1
マッドフラップの汚れ2
マッドフラップの汚れ3

▲流れた汚れとしてMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンやマルチブラックを使い、筆で縦線に描きます。塗料がある程度乾燥した頃合いで溶剤を含ませた筆で上から下へなぞって滲ませます。筆は溶剤を含ませたら一度ティッシュ等に吸わせたくらいがちょうど良いです。裏は塗料の飛沫を飛ばすテクニック「スパッタリング」を行ないました


フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー”  ディオラマ
▲作品はヴィネット仕立てとして製作。キットのサスペンションパーツを加工して車体右側は車高を下げ、左側は伸ばすことでコーナーリング中の傾き「ロール」を再現することで動きを感じさせる仕上がりとしている
フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー”  フロント
フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー” ドライバー
フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー” リアガラス
フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー” リア

ハセガワ 1/24 スケール プラスチックキット

フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー”

製作・文/副田洋平


 こちらの「フェアレディ240Z “1973 RAC ラリー”」 は先日発売された「模型をリアルに仕上げる! フィニッシュワーク虎の巻」に掲載されております!
 模型の塗装テクニックである、ウェザリング(汚し)・エイジング(朽ち)を、豊富な途中写真や徹底解説で、楽しく、そしてかっこよく製作できるテクニックガイドとなっております。
 ウェザリングやエイジングまでは難しそうで手が出せなかったという方にオススメの一冊なので、ぜひご覧になってみてください!


 

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副田洋平(そえだようへい)

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