“絵の具”即ち“塗料”
水性塗料「アクリルガッシュ」&「U-35」で模型を彩る!
「絵の具」と呼ばれ、だれしもが一度は使ったり見たことがあるであろうターナー色彩の「アクリルガッシュ」ブランド。これらは豊富な色数を誇る“水性塗料”であり、今回はこの「アクリルガッシュ」を実際に使用して模型製作の視点から特徴、活用方法を解説していきます。近年では「U-35 アクリリックス」などの新たなアクリル絵具も登場し、色数はもちろん表現方法も豊富になっています。これらを活用したアクリル絵具塗装をチェックしていきましょう。
081 Product_name Turner Colours paint
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ
▼実際に使用している動画もチェック!
「アクリルガッシュ」シリーズの基本をチェック!
基本となるベースカラー
「アクリルガッシュ」
アクリルガッシュ 20ml(全151色)
●発売元/ターナー色彩●発売中●319円~(単品)、3520円(12色セット)
▲ アクリルガッシュはチューブに入った塗料で、キャップを外して押せばすぐに塗料が出てきます。原液状態では粘度が高く、筆で引っ張るとその跡がつくぐらいの濃度になっています
▲ 水で伸ばして濃度を調節します。プラ素材への塗装には塗料:1に対して水:2程度。薄めすぎると表面で弾かれるようになるので注意。水を含んだ筆先で伸ばすように溶いていくと良いでしょう
▲ 白地への塗装であれば一回塗りでしっかりとした赤色に発色します。筆目が気になる場合は薄く塗り、乾燥させてから重ねて塗ると良いでしょう
▲ 塗っている間はツヤがありますが、10~20分程度乾燥させると表面のツヤが消えます。水分が抜ける完全乾燥には半日程度必要ですが、ツヤが消える、指触乾燥で重ね塗りが可能になります
▲ 赤色の上から黄色を塗りましたが、写真の通り塗料の隠蔽力は抜群。どんな色が下地でも重ねることでしっかりと発色させることができます
▲ 塗料は水分が抜けることで乾燥するので、作業は塗料の乾燥を防ぐために水性塗料用のウォーターパレットを使うのもいいでしょう
重ねて色彩を豊かにする半透明塗料
「U-35 アクリリックス」
U-35 アクリリックス20ml (全81色)
●発売元/ターナー色彩●発売中●297円~(単品)、3300円(12色セット)
▲ 使用方法はアクリルガッシュと同様です。U-35はクリアー成分が多く、光沢感と透明度がある塗料で透明から不透明の色までラインナップ。こちらは重ね塗りに向いた塗料で濃度を薄めにした塗装にも対応できるよう定着力も強化されています
▲ アクリルガッシュをベースにして、レイヤーを重ねるように上から塗装します。同系色で重ねると色に深みとツヤが追加されます
▲ 調色を行いながら色を重ねていくグラデーション塗装にも最適。下地色が若干透けることで自然なグラデーションを作りやすくなっています。ベースのアクリルガッシュとの調色も問題なく色合いやツヤ感の調節もできます。組み合わせで色数以上の効果を出せるでしょう
「アクリルガッシュ」と「U-35」は
エアブラシ塗装も可能!
▲ アクリル絵具はエアブラシでの塗装も可能です。濃度調整は筆塗り時よりも少し薄く、塗料:1に対して水:3程度に調整します。粘度が高いので希釈する際は攪拌棒よりも筆のほうがやりやすいでしょう。すべて水で良いですが、模型用のアクリル溶剤でも溶かすことができます。こちらは水より揮発が早く、またプラ素材への定着も良くなります
※溶剤の使用時はよく換気するようにしましょう
▲ アクリルガッシュなら隠蔽力や発色をそのままに、エアブラシで平滑に吹くことができます。塗り重ねることでより均一な塗膜になります。またU-35はグラデーション塗装はもちろん、塗り重ねることで塗膜を強くしたり、ツヤ感を加えることもできます。エアブラシ塗装は塗膜がとても薄いぶんプラスチック表面だと擦れで剥がれてしまうこともあるので注意
▲ 洗浄はすべて水でOK。色変え程度であれば、カップに水を入れて紙コップ等に吹けば内部も簡単にキレイにできます
テクスチャつき“和”のカラー
「ジャパネスク」
アクリルガッシュ
ジャパネスクカラー(全69色)
●発売元/ターナー色彩●発売中●319円~●20ml
アクリルガッシュには「和カラー」をモチーフにした「ジャパネスクカラー」シリーズがあります。こちらはざらっとした粒子が含まれていて、漆喰の表面のような一味違った質感の塗面になります。色鮮やかにラインナップされているのでワンポイントに好みの色を揃えてみると良いでしょう
「アクリルガッシュ」&「U-35」でプラキットを鮮やかに塗装!
塗装するのはコトブキヤの「マジカルバーゼラルド」(7920円、発売中)。ドレス状のパーツを、色鮮やかなレインボードレス調に塗装してみます。撮影した写真をプリントアウトして、色のプランを決定。アクリルガッシュとU-35は紙への彩色はお手のもの。調色しながら、塗布すべき色のサンプルをつくっておきます
模型用サーフェイサーを組み合わせて強固な定着に
アクリル絵具塗装の下地にも模型用のサーフェイサーは最適。塗料の食いつきが抜群によくなるので、軽く塗布しておきます。アクリルガッシュなら発色は問題ないので下地が透ける程度でも構いません。今回はホワイトサーフェイサーをさっと吹いています
パーツをグラデーション塗装
▲ アクリルガッシュの「ピンク」に「ホワイト」を混ぜて塗布します。ピンク以外の各色にもホワイトを混ぜ、パステル調に調色して塗装していきます
▲ ベースとなる色を塗ったあと「U-35」を調色した濃い色を塗装。先端からスタートして塗布する範囲を広げて重ねていくことでグラデーションを作ります
▲ 部分塗装にはアクセントにジャパネスクカラー「淡水色」を使用。ざらついたテクスチャーを表現します。靴も「紅藤色」で塗装しています
▲ 髪パーツには薄く溶いた「U-35 ウルトラマリンバイオレット」を筆塗り。こちらは成型色を活かして、毛先部分が濃くなるように重ねます。半透明なので一気に色が変わることなく、グラデーションを作りやすいです
▲ クリアーパーツにはピンク+ホワイトで調色した色でエッジにハイライトをつけます
「U-35」の塗り重ねでクオリティアップ
▲ アクリルガッシュには金属色もラインナップ、杖はブラックサーフェイサーで下地を作ってからライトゴールドとディープゴールドの2色で塗装
▲ ここに薄く溶いた「U-35 キナクリドンマゼンタ」を使ってスミ入れとウォッシングをします。乾燥すると定着してしまうため生乾きの状態になったら余分を拭き取ります
▲ 乾燥後は「U-35 バーントシェナー」でドライブラシをかけます。ドライブラシでは水分を含んでいないほうがいいのでチューブから出したままが最適。そのまま塗料を筆先につけ、ティッシュなどで余分を拭き取ります
仕上げは「U-35 バーニッシュ」
▲ 「U-35」には仕上げ用のコート剤もラインナップ。グロスバーニッシュとマットバーニッシュの2種で、ツヤの調整や塗膜の保護を行います
▲ 水で少し薄めて、エアブラシで塗布します。全体にマットでコーティングを施しました
▲ 瞳にはグロスを塗布してツヤを出します。筆でも伸びがよく、こうした細かい調整も行いやすいです
完成!
マジカルバーゼラルド(レインボードレス風)
製作/けんたろう
▲ グラデーション塗装や部分塗装、ウェザリングまで、あらゆる模型の塗装作業にターナーの絵具は活躍します。今回はたくさんの色数を使ったので、工数は多くなりましたが、水で洗浄ができることもあってサクサクと塗装ができ、狙い通りの鮮やかな仕上がりにもなりました
まとめ
チューブから出してすぐ使用できる、隠蔽力が高い、乾燥も早い、使ってみるとなるほど模型でも「アクリルガッシュ」を愛用するファンが多いのがうなずける性能です。エアブラシでの塗装も水でサッと洗浄、色替えができることもテンポがよくて気持ちがいいですね。「U-35」は素材の色を活かすもよし、アクリルガッシュの隠蔽力と組み合わせるも良しで、表現の幅を広げてくれます。多彩なラインナップがあるので、まずは好みの色を選んで使ってみてください。
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© KOTOBUKIYA ©Masaki Apsy ©Toriwo Toriyama