HOME記事工具・マテリアルプラモ塗装の基本「筆・スプレー・エアブラシ」塗装を解説!ラッカー、エナメル、水性塗料との相性は?【pick up 工具&マテリアルガイド】

プラモ塗装の基本「筆・スプレー・エアブラシ」塗装を解説!ラッカー、エナメル、水性塗料との相性は?【pick up 工具&マテリアルガイド】

2023.01.05

プラスチックよ、ワタシ色に染まれ 見映えを大きく変える「塗装」作業 模型作りが楽しくなる工具&マテリアルガイド(2月21日発売)

プラモ塗装の基本「筆・スプレー・エアブラシ」塗装を解説!ラッカー、エナメル、水性塗料との相性は?【pick up 工具&マテリアルガイド】

プラスチックよ、ワタシ色に染まれ
見映えを大きく変える「塗装」作業

塗装作業のアイテムがならんでいる画像

 「塗装」によって模型の色が変わると、一気に見た目が変化し、“自分の作品である”という感覚をより高めてくれます。色味や質感で自身のこだわりを模型に反映させることができる重要な工程です。塗料の種類も多岐にわたり、特性や扱い方もそれぞれ異なります。選択肢が多い分、いろいろ試しながら自身の環境にあった塗料と塗装方法を探してみましょう。本記事では主な塗装方法と模型用塗料をご紹介!


模型製作におけるの3つの塗装方法

 模型製作における3つの「塗装」方法をご紹介。実際にキットを製作するにあたり、この3つの方法すべてを駆使し塗装する場合もあります。これらをすべて覚えることで「塗装」作業でできることが大幅に増えます。まずは手軽さや環境などを優先しつつ、製作するキットと自分に合った塗装方法を見つけていきましょう。


もっとも手軽に始められる模型塗装の入り口筆塗り塗装」

怪物の模型に筆塗りをしている画像

Paint Action

①塗料を撹拌する

アクリジョンの塗料を撹拌している画像

②塗料を筆でとる

アクリジョンの塗料を筆で塗料皿に移している画像

③塗る

紙に塗料を塗っている画像

④筆を洗浄する

水をいれた紙コップで筆を洗浄している画像

 筆を使って直接模型に塗料を塗る、もっともポピュラーな塗装方法です。塗料と筆さえあればいつでもどこでも 塗装ができるので、安価で手軽に始められる、模型塗装の 第一歩としておすすめします。そこから塗料の濃度を調整 するうすめ液や、ビンから塗料を小出しにしたり調色した りする塗料皿など、必要に応じてアイテムを拡張させていきます。数をこなすほど塗装の腕も上達するので、経験が仕上がりに直結する塗装方法といえるでしょう。
 実際に筆塗りを始める際には基本的な筆が揃ったタミヤ 「モデリングブラシHF スタンダードセット」などがおすすめです。また昨今は筆用のメンテナンスアイテムもありますので、消耗品である筆を長持ちさせることができます。

タミヤのモデリングブラシの画像

広い範囲を塗装するならコレ! 準備も片付けも最速の 缶スプレー塗装」

缶スプレーでパーツを塗布している画像

Paint Action

①よく振る

缶スプレーを振っている画像

②吹き付けて塗装

戦車を缶スプレーで塗布している画像

 缶をよく振って撹拌してから対象に向かって吹き付けるだけで広範囲を一気に塗れる、もっとも早く簡単な塗装方法です。その作業の早さから、模型全体に塗布する下地のサーフェイサーや表面の仕上げにトップコートを吹く際などは、後述のエアブラシ塗装をメインにする人でも缶スプレーを選択することがあります。逆に細かいパーツの塗装は不得手で、すべてのパーツを缶スプレーで塗装しようとすると難易度が高くなります。
 「スプレー缶」と聞くと、ボタンを押し続けて塗装する印象があるかもしれませんが、模型製作の場合は、断続的にシュッ、シュッと少しずつ吹き付けるように塗装します。吹き過ぎてしまうと表面の塗料が垂れてしまうので、この“吹き過ぎない”ことが重要になります。吹き付ける際に塗料がミスト状に拡散してしまうのでその対策は必要ですが、慣れたときの手軽さと作業の速さは大きなメリットなので、練習しておいて損はありません。

Mrカラースプレーの画像

Mr.カラースプレー

●発売元/GSIクレオス●660円、100ml


工具の力で誰にでもきれいに塗装することができる エアブラシ塗装」

エアブラシでカーモデルを塗装している画像

Paint Action

①塗料を希釈する

塗料を塗料皿で希釈している画像

②ハンドピースに塗料を充填

ハンドピースに塗料を充填している画像

③コンプレッサーを起動して塗装

エアブラシで塗装している画像

④ハンドピースを洗浄する

ハンドピースを洗浄している画像

 コンプレッサーとハンドピースと呼ばれる工具を使用して圧縮された空気で塗料を吹き付ける方法です。広い範囲を平滑に塗ることに優れており、缶スプレーに近い塗装方法ですが、塗料の濃度や噴霧量を調整することで、模様を描いたり、グラデーションをかけたりと、さまざまな塗装表現が可能になります。他の方法に比べて手間はかかりますが、テクニックを身につけてしまえば、誰でも同じように塗ることができる、失敗の少ない塗装方法でもあります
 できることと使う工具が多い分、コンプレッサーやハンドピースなどの初期投資が どうしても大きくなりがちで、スプレーに比べ作業場所の確保やメンテナンスも大変です。また、スプレー同様にミストの拡散対策も必要です。しかし近年は、安価で 小型のコンプレッサーの登場や、ミストの拡散を抑える塗装用ブースの充実により、 導入のためのハードルは下がってきています。一度揃えてしまえばその性能と長く付き合えるので、これからいろいろな模型を塗装したい!と思ったときにはぜひ揃えてしまいましょう。

MrリニアコンプレッサーL7圧力計付レギュレーターセットの画像

「塗装」作業で用いる模型用塗料

 また、塗装するのに絶対に欠かせないのが「塗料」です。単純に色を塗るものから下地を作るものまでその種類はさまざまです。溶剤の種類での分類も含め、代表的なものを紹介します。


模型製作で使う塗料の3要素
カラー」×「溶剤」+「添加剤

カラー(塗料)

 塗装作業の主役マテリアル。種類は大きくビン・ボトルタイプと缶スプレータイプの2つ。スプレータイプは基本そのまま吹き付け、ビン・ボトルタイプはそのままでも使用できますが、基本は溶剤を加えて使用します。同シリーズの他色と混ぜ調色して使うこともできます。通常の塗料のほかに、下地用やコーティング用といった用途専用の塗料もあります。

【用途別の塗料】

・下地塗料(サーフェイサーなど)
 メインとなる色を塗る前に下地として塗装する塗料。塗装面の色を整えて上塗りする色の発色をよくするためだったり、塗装面の細かな傷を埋めて平滑な表面にするために使用します。

・クリアー(コーティング)
 塗装した色を上からコーティングする無色透明の塗料。全体のつや感の調整はもちろん、塗装表面にクリアー層を作り、擦れ等から塗装面を保護する役目もあります。

溶剤

 塗料の濃度を調整する液体。多くは有機溶剤になるため、使用の際は換気を忘れずに行いましょう。原則、塗料と同じシリーズの専用溶剤を使用します。筆塗り時の濃度調整はもちろん、エアブラシ塗装では塗料の粘度を下げて吹き付けやすくするための必須のアイテムになりますので、塗料と溶剤はセットで揃えましょう。

【用途別の溶剤】

・添加剤を含む溶剤
 メインとなる色を塗る前に下地として塗装する塗料。塗装面の色を整えて上塗りする色の発色を 添加剤を既に含んでいる溶剤のこと。塗装の用途に合わせて、作業を快適に行えるように調整されています。シリーズ内に複数の溶剤がある場合は、それぞれの特性や効果を理解してから使用しましょう。

・ツールクリーナー
 塗料の洗浄に使用する溶剤。プラ素材を溶かすほど強力なので、塗料の調色には使用できません。

添加剤

 塗料に加えて、塗料の質を変化させるマテリアルです。塗装をより快適にできるように補助するものが多いので、そのシリーズ内にどんな添加剤があるのかは知っておくとよいでしょう。

リターダー
 塗料の乾燥を遅らせ、表面を平滑に仕上げやすいようにする添加剤。基本、数滴加えるだけで効果が出るので、加え過ぎないように注意が必要です。

つや消し添加剤
 塗料に混ぜることでつやを抑える効果を生む添加剤。目的に合わせてつや感をコントロールできます。

塗膜強化剤
 乾燥後の塗膜の強度を上げてくれる添加剤。その分、使うと乾燥時間が長くなります。

主な模型用塗料シリーズを紹介

 模型用に発売されている塗料は、溶剤の違いなどにより複数の種類が存在します。主にラッカー系、エナメル系、水性の3種が使用されています。


ラッカー塗料

 乾燥が早く、塗膜が強い、モデラーから根強い支持を集める模型用塗料の定番。溶剤で塗料が溶けやすく、エアブラシでの塗装に向いています。

Mr.カラー

Mrカラーの塗料とうすめ液と缶スプレーの画像

 長い歴史を持つ模型用のラッカー塗料。色数もとても多く、鮮やかなキャラクターモデル用の色からスケールモデル用の色まで幅広くまんべんなくラインナップされています。模型店なら大抵置いてある塗料なので入手がしやすく、ラッカー塗料での塗装を始めるならまずは「Mr.カラー」というような定番の塗料シリーズです。

●発売元/GSIクレオス

タミヤカラー ラッカー塗料

タミヤラッカーの塗料と溶剤と缶スプレーの画像

 自社のスケールキットに適したカラーをラインナップし、缶スプレーを広く展開している塗料シリーズ。近年ビン入りの塗料もラインナップに加わり、筆塗りやエアブラシ塗装でも使用できるようになりました。

●発売元/タミヤ

ガイアカラー

 ガイアカラーの塗料とうすめ液の画像

 2000年代に登場した塗料シリーズでキャラクターキットに使いやすい鮮やかな色が多数ラインナップされています。キャラクターの専用色も多く展開されており、鮮やかな色を求める時はこのシリーズから探してみるとよいでしょう。

●発売元/ガイアノーツ

エナメル塗料

 塗料の伸びがよく、筆塗りとエアブラシのどちらでも扱いやすい塗料です。ただ、エナメル塗料だけで塗装が完結することはあまりありません。前述のラッカー塗料の上に塗っても塗装面を侵すことがなく、エナメル溶剤を使ってそれを拭き取ることもできるので、ラッカーでの塗装後に上塗りとして使われることが多い塗料です。

タミヤカラー エナメル塗料

タミヤエナメルの塗料と溶剤の画像

 カラーラインナップが豊富で、古くから愛されるエナメル塗料の定番。ラッカー塗料と同じくスケールキットに向いた色が多く用意されていますが、キャラクターキットのスミ入れなど、広い用途で使用されています。

●発売元/タミヤ

ガイアエナメルカラー

ガイアエナメルカラーの塗料とうすめ液の画像

 基本色のほかに、キャラクターキット向けの蛍光色などをラインナップ。ウッドチップ入りの汚し表現に特化したものなど、少し特殊な塗料もあります。

●発売元/ガイアノーツ

水性塗料

 水で洗えて臭いが少ないので、ラッカーやエナメルに比べて取り扱いと準備が手軽な塗料です。近年は、各社の商品展開の増加や海外製水性塗料の広がり、塗装環境への配慮などから注目が高まっています。

水性ホビーカラー

水性ホビーカラーの塗料とうすめ液の画像

 水性塗料といえば「水性ホビーカラー」とも言える定番の塗料で、幅広いカラーがラインナップされています。2019年に塗料全体がリニューアルし、さらに性能が向上しているのも注目のポイントです。

●発売元/GSIクレオス

 同社のラッカー塗料と同様に、自社のスケールキットに適したミリタリー色が多くラインナップされています。模型用にスケールエフェクトを加えた色味なども用意され、スケールモデラーから根強い支持があります。つや消しの塗料には、商品型番にFがついていて見分けやすいのも特徴です。

●発売元/タミヤ

アクリジョン

アクリジョンの塗料とうすめ液の画像

 「水性ホビーカラー」とは異なる水性エマルジョンタイプの塗料シリーズ。乾燥前であれば水で落とせる非危険物(ツールクリーナーを除く)であり、安全性の高い塗料になっています。専用のうすめ液で使い勝手も変えられます。

●発売元/GSIクレオス

ファレホ

ファレホの塗料とシンナーの画像

 カラーラインナップは1000色以上! あらゆる色が揃っているスペイン製の水性塗料シリーズです。目薬型のボトルで、塗料を滴下して使います。筆塗り用やエア ブラシ用など、塗装方法に合わせてあらかじめ濃度が調整されており、容器から出してそのまま塗装できるのが魅力です。

●発売元/ファレホ、販売元/ボークス


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