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スパロボオリジナル機体「ゲシュペンスト」を光沢塗装でシックに仕上げる!

2022.08.14

HG ゲシュペンスト【BANDAI SPIRITS】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

スパロボファン待望のキットをシャープ加工&光沢塗装で仕上げる!

 誕生から31年の歴史を誇るシミュレーションゲームの金字塔『スーパーロボット大戦』。これまでにさまざまな歴代作品に参戦してきたゲームオリジナル機体のゲシュペンストが、ついにBANDAI SPIRITSからHGプラキット化を果たした。待望のキットはスタイリング・可動ともに申し分なく、決定版と言っても差し支えない出来となっている。そこで、作例は大幅な加工は行わず、エッジ処理や「黒き亡霊」らしいツヤのある漆黒の塗装などでキットの魅力を底上げしている。

この可動設計、スゴイぞ!

▲股関節が基部ごと前方にスイングするため、脚を前に出すポージングに大きく貢献。エプロン状のフロントアーマーも根本に多重関節が内蔵されており、フロントアーマー下側を大きく跳ね上げることが可能。形状を崩さずに、脚の可動域を広げる配慮が行き届いている
▲ヒジ関節もボールジョイント接続になっているため、前腕がヒジの部分から左右にロール可能。この肩とヒジの関節設計により、ニュートロンビームを両手で構えたり、プラズマカッターを振りかぶったりするポーズがカッコよくキマるのだ
▲肩関節は引き出し式+スイング式で、さらにそのジョイントが360度回転するため、自由な角度に肩をスイングさせることができる

パーソナルトルーパーの元祖・ゲシュペンストの30年

 ゲシュペンストの記念すべき初登場は、1992年発売のスーパーファミコン(SFC)用ソフト『ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス』に遡る。同作では、プレイヤーキャラクターのひとりで、オリジナルキャラクターであるギリアム・イェーガーが着用する“パワードスーツ”として登場。キットに付属するニュートロンビームやスプリットミサイル、プラズマカッターも“ひっさつ”として、当時からすでに使用可能だった。
『スーパーロボット大戦』シリーズへの初参戦は、1995年発売のSFC用ソフト『第4次スーパーロボット大戦』。リアル系とスーパー系で異なる武装と性能の2タイプが登場し、オリジナル主人公がヒュッケバインもしくはグルンガストに乗り換えるまでの初期主役機として活躍した。さらに、ギリアムとともに後継機であるゲシュペンストMk-IIも登場しており、キット付属のスラッシュ・リッパーは本来こちらの武装だった。
 スパロボ歴代作品のオリジナルキャラクター、ロボットが集結する『スーパーロボット大戦OG』シリーズには設定上3機が登場。ギリアムやゼンガー・ゾンボルトら“特殊戦技教導隊”によって試験運用が行われ、すべてのパーソナルトルーパー(PT=人型機動兵器)の礎を築いた、作中史上でも重要な機体とされた。このうち1号機(PTX-001/タイプR)をギリアムが愛機とし、3号機(PTX-003/タイプT)はアルトアイゼンへと改修されている。そのほか、量産試作機のゲシュペンストMk-II(計3機)や、制式採用された量産型ゲシュペンストMk-IIなど、多様な派生機が登場する。
 OGシリーズなどと設定を異にする2019年発売『スーパーロボット大戦T』にも、主人公機・ティラネードの対抗馬としてゲシュペンストが参戦。こちらは、主人公候補であるサイゾウ・トキトウとサギリ・サクライのうち、プレイヤーが選ばなかったほうがパイロットとなり、最強武装としてスラッシュ・リッパーを備える。

▲最新作『スーパーロボット大戦30』にも無料DLCでゲシュペンストが登場。こちらは『第4次スーパーロボット大戦』とおぼしき設定のギリアムが搭乗しており、キット構成と同様に武装としてスラッシュ・リッパーが追加されている

▲OGシリーズでは、PTX-001(写真左)の改修機としてゲシュペンスト・タイプRV(写真右)が登場。ゲシュペンストに愛着を抱くギリアムらが提案した、ゲシュペンストシリーズの強化計画“ハロウィン・プラン”の産物である
▲円盤状の遠隔操作小型武器スラッシュ・リッパー。内蔵する3枚のブレードを高速回転させた射出状態を薄いPET樹脂で表現しており、付属スタンドで射出状態を再現できる。なお、本来の設定ではスラッシュ・リッパーは専用コンテナの中に収容されるのだが、今回のHGキット化にあたり、パイロンを介するかたちでもスタビライザーに搭載できる設定が新たに設けられたとのこと
▲中性粒子ビームを撃ち出す大型ライフル・ニュートロンビーム。側面と上部にあるパイプパーツはプライマリーメタリックレッドで金属調に塗り分けている
▲右前腕は接着して合わせ目を消した。挟み込み構造の手首基部(A16)は、付け根の基部に磁石を埋め込み後ハメできるように改造
▲全身のスラスターはフチが赤く、奥まった部分が黒い配色となっている。こういった塗り分けは、まず水性アクリル塗料の赤を塗り、中性洗剤を含んだ綿棒ではみ出た塗料を拭き取る。水性塗料の乾燥後、エナメル塗料の黒で奥まった部分にスミ入れをすれば、下地の塗膜を侵すことがないので塗り重ねが失敗しにくい
▲左前腕に3本搭載する、高出力の斬撃装備・プラズマカッター。作例は蛍光ピンクで塗装してよりビビッドな発色にしている
▲肩アーマーは画像の位置で切り離して分割ラインを変更して後ハメ加工。肩アーマー中央の円形スラスターにもツインパイプ2 1.5mmを埋め込み
▲上腕側面にある小さな円形スラスター。キットのディテールを削り落としてから、ハイキューパーツのツインパイプ2 シルバー1.5mm を埋めてディテールアップ

▲胸部前面にある4ヵ所の穴もドリルで拡張し、ツインパイプ2 ブラック1.5mmを埋め込んだ。肩アーマー接続部のフレーム(D1-4)や、ヒザを曲げた際にチラ見えするシリンダーは真鍮色で塗り分けてアクセントにしている

▲背部のスプリットミサイル2基は、さすがに内蔵する小型ミサイルまでは用意されていないものの、製品付属のスタンド支柱を使えば射出直後の状態を再現することができる
▲頭部アンテナ(写真左)は先端部を削り込みで鋭利に整形し、裏側の肉抜き穴をパテで埋めた。フロントアーマーの先端(写真右)は、パテを盛ってから削り込んでシャープ化
▲翼状のスタビライザーには、専用パイロン(ジョイントパーツ)を介してスプリットミサイルとスラッシュ・リッパーを搭載可能。背部中央のベルノズル型バーニアは、秀逸な造形なのでやや厚ぼったいフチを削り込んで薄く加工するだけで充分な見映えに
▲素組みと比較。スタイルには手を加えず、エッジ先端を削り込んでシャープに仕上げている

 ついに発売された元祖ゲシュペンストのプラキット! 待ち望んでいたスパロボファンの方も多いのではないでしょうか? 今回は設定画と睨めっこしつつ、キットの良さを活かす方向で製作しました。

■工作
 工作は後ハメ加工と各部シャープ化、エッジの調整をメインに行っています。胴体側面の円形状のスラスターは、成型の都合上造形が甘いのでいったん削り落とし、2.5mmドリルで開口してメタルパイプを埋め込んでいます。
 両前腕の赤と銀の挟み込みパーツは、マスキングで塗り分けることにして後ハメせずに接着しています。
 ヒザの正面はエッジが少々丸まっているので、エッジ部分にパテを盛ってから削り出してシャープにしています。

■塗装
 メインカラーの黒は、今回はゲーム画面の青紫風にも見えなくもない感じを目指して調色しました(うっすらと青く見えなくもないかな? 程度ですが…)。黒のイメージを崩さずに調色したいのでガイアノーツ Ex-ブラックをベースに雲母堂のFGパールを添加。透明感のない塗料にパールを加えると上掛けに比べて発色しにくくなりますが、そのぶん元の色を残すことができます。0.1gずつ、様子を見ながら加えていきます。まずはFG オパールライラックだけを加えていたのですが、ゲーム画面に比べると赤みが強すぎたため、FG オパールブルーも加えて作り直しました。パール感をきれいに出すため仕上げは光沢にしています。
 赤や黄色は彩度が高すぎるとおもちゃっぽく見えてしまうので落ち着いた色合いを選択し、ツヤ消しで仕上げました。フレームの銀もギラギラしてしまうと光沢にした黒と張り合ってしまうので、フラットシルバーを選択しています。

■カラーレシピ
※特記のないものはすべてガイアノーツを使用
黒=Ex-02 Ex-ブラック+FGオパールライラック(雲母堂)+FGオパールブルー(雲母堂)
フレーム=NC-011 フラットシルバー
赤=1023 名鉄スカーレット
黄=005 サンシャインイエロー
武器類=メタリックブラック
武器パイプ=137 プライマリーメタリックレッド

■あとがき
 とても出来のいいキットで手を加える箇所が見当たらなかったため、黒の表現一点にこだわって製作してみました。パールを使った調色はたった0.1gでも大きく質感が変わってしまうので、大量のテストピースを作りながらの製作になりました。

BANDAI SPIRITS ノンスケール プラスチックキット “ハイグレード”

ゲシュペンスト

製作・文/がっとねろ

HG ゲシュペンスト
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●4400円、発売中●約15cm●プラキット

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ⓒSRWOG PROJECT

がっとねろ

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