ICM 1/32スケール新キット「アメリカ陸軍 AH-1Gコブラ(初期型)」をディテールアップして製作!
2022.08.12ラージスケールで作れる世界初の攻撃ヘリ
前後の乗員配置、ウェポンを搭載可能なスタブ翼など、現代の攻撃ヘリコプターの基礎デザインを作り上げたのがベルAH-1Gコブラだ。1967年に実戦配備、ベトナム戦争などで実績を挙げ、現在も改良型が運用されている名機。A-26インベーダー、OV-10ブロンコなどベトナム戦争の航空機を手がけてきたICMから、1/32スケールでこの攻撃ヘリコプターの始祖がモデル化された。広いキャノピーから見えるコクピットだけではなく、ローター下部のエンジンまで内部再現し、テイルブームの凸リベットも実機通りにモールドされるなど、期待に違わぬ素晴らしい出来映えだ。
■キットについて
今回はウクライナのメーカーであるICMより最近リリースされた、1/32 AH-1G コブラ(初期型)攻撃ヘリを作ります。このところ新規に発売されるヘリコプターのキットはAFVスケールである1/35で出されることが多く、航空機マニアとしてみれば「なんで1/32スケールで出してくれないんだろう」と思っていたところに、ICMが航空機の標準スケールである1/32で新キットを出してくれました。大変うれしかったのでさっそく作っていきます。
1/32のAH-1Gと言えば、かなり以前レベルが1/32キットを矢継ぎ早にリリースしていたころUH-1Dヒューイと同時に発売され、おやじモデラーであればかなりの方が作られたのではないでしょうか。レベルのキットもそれなりに味のあるキットでしたが、最新のキットはどんなものでしょうか?
結論から言えば実に素晴らしいキットで、エンジンやコクピットも詳細に再現され、組み立て精度、パーツのモールドなどまったく問題ないレベルです。機体後部には凸リベットも打たれ、ヘリコプターキットとしては適切な表現のなされたキットです。
このままでも素晴らしい完成品を得られると思われますが、今回はエデュアルドより同時にリリースされたディテールアップパーツ・ビッグEDを使用してみました。これは機体内外に使用するエッチングパーツ、シートベルト、キャノピーマスクシートが入ったディテールアップパーツセットです。
■製作
まずはコクピットから。キットのプラパーツにエッチングパーツを組み込みながら作っていきます。計器パネルやサイドコンソールはプラの凸モールドを削り落とし、エッチングパーツを取り付けていきます。エンジン部分にもエッチングパーツを使用する部分があります。
組み立てたコクピット・エンジンを胴体に組み込みますが、その前に後部パーツを左右それぞれに取り付けておきます。ここでテールローターが左にある機体か右にある機体かを決めておく必要があります。作例で選んだ塗装例1、箱絵の機体は初期型なので、テールローターは基本的に左側です。ただしキットでは、テールローターが右側にある後期型仕様にレトロフィットされた機体も作れるようになっています。
左右胴体を貼り合わせたら、機首先端を取り付けます。ここも選択パーツがあり、作例では最先端にライトのあるバージョンです。またここに5g程度のオモリを入れておきましょう。もちろんしりもち防止のためです。
そして機首下面のターレット、武器を装備するスポンソンやスキッドなどをすべて機体に取り付けておきます。主ローターは別途組み立て、塗装しておき、コクピットをマスキングして塗装に備えます。
■マーキングと塗装
前述の通り箱絵の機体と決めましたので、それに沿っていきます。説明書の塗装指示のところで、機体の色はグリーンの強いダークグリーンを指定していますが、この機体ですとやはりオリーブドラブがよいでしょう。
まず全体にガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックを吹き付けてから、パネルごとにGSIクレオスのMr.カラーC38オリーブドラブ(2)を吹いていきます。パネルラインは下地の黒をわずかに残すようにするとよいでしょう。そしてその上からC12オリーブドラブ(1)を吹きます。これはC12がC38より若干明るいので、退色したように見せるためです。
タミヤのスミ入れ塗料(ブラック)でスミ入れして全体をウォッシング。その後デカールを貼り、乾燥後3/4ツヤ消しでオーバーコートします。
別途組み立てておいたウェポンを取り付け。今回はロケット弾ポッドを取り付けました。そしてキャノピーおよび各ライト類を取り付ければ完成です。
■最後に
このキットは本当によくできています。ただICM製キットの常でプラの材質が柔らかく、特にスキッドが強度的に心配です。長期保存する場合は補強を何か考えておくほうがよいでしょう。
ICM 1/32スケール プラスチックキット
アメリカ陸軍 AH-1Gコブラ(初期型)
製作・文/山田昌行
アメリカ陸軍 AH-1Gコブラ(初期型)
●発売元/ICM、販売元/ハセガワ●12100円、発売中●1/32、約42.2cm●プラキット
山田昌行(ヤマダマサユキ)
最近1/32の大キットか1/72の小キットを作るのが多いのですが、1/72の極小パーツがかなり目に辛くなってきました。