【B★★RS BEFORE DAWN】第五話「エリシオン Part 2」
【ブラック★★ロックシューター外伝小説】
2022.07.01
ブラック★★ロックシューターBEFORE DAWN ●ストーリー/深見真、イラスト/友野るい 月刊ホビージャパン2022年8月号(6月24日発売)
巨大テロ組織CTGによる破壊行為が激化する二〇三〇年代。現状を打破するべく、ルナ・グリフィス博士主導の「エリシオン計画」が始動。CTGに対抗する強化人間兵士“ヘーミテオス・ユニット”の開発が進行していた。世界の思惑を知らず「黙示録の騎士」カミラと狂気の科学者ゲオルギウスは殺戮を繰り返す。けして相容れない彼女たちに終わりと始まりが近づいていた…。
ストーリー/深見真
イラスト/友野るい
第五話「エリシオン Part2」
二〇三〇年代。ルナ・グリフィス博士による、国連主導の人類再発展プラン「エリシオン計画」がスタートした。ルナ・グリフィス。国連事務総長特別顧問、エリシオン計画総責任者。エリシオン計画の目的は、三つ。グローバルな巨大テロ組織CTGを叩き潰すこと。二度とCTGのような組織が生まれないように世界から貧困をなくすこと。国連の権限を強化すること。
平和構築軍の結成と発展のために、CTGの黙示録の騎士に対抗するために、ルナはhet‐1遺伝子──『ヘーミテオス遺伝子』を使った強化人間兵士『ヘーミテオス・ユニット』の開発を開始。
CTGを叩き潰しても、すぐに次の組織が誕生したらまったくの無意味である。グローバルなテロ組織が生まれる土壌を無くすため、国連直轄地として月と火星のテラフォーミングを行うことが決定。
エリシオン計画の資金は、ビッグ・テック、超国家企業などと呼ばれる巨大な民間会社が提供することになった。売上高二〇兆ドル(約二二〇〇兆円)を超える巨大なスポンサーだ。
そしてルナは、アメリカ航空宇宙局──NASA、エイムズ研究センター内に、自分の研究所を用意してもらった。
カルフォルニア州、マウンテンビューのエイムズ研究センターで、ペタフロップスケールのスーパーコンピューター四〇台以上が高機能人工知能「アルテミス」の機能確認テストを行っていた。
テストの状況は、研究室の端末に届き、マルチモニタに表示される。
ルナ・グリフィス博士と、その補佐役である国連副事務総長のアーメド・カヌが、モニタ上で推移するデータを見守っていた。
「俺はプログラムは素人だ」アーメドが言った。「データだけじゃ何が起きてるのかさっぱりわからん」
「今やってるのは、模造意識と本能アルゴリズムの選別」と、ルナ。
「つまり?」
「人類の命運を託す人工知能なのだから、不具合は許されない。今、スパコン内には五千万パターンの『アルテミス』がいる。そのなかで、最も優れた『アルテミス』を採用する」
「五千万?」アーメドが目を丸くした。「多いな」
「これでも、私が書いたテストコードで候補をずいぶん絞ったあとよ。ここのスパコンだけじゃ処理がおっつかないから、オークリッジとローレンスリバモアの国立研究所にあるスパコンにも手伝ってもらってる」
「なにをそんなに選別しないといけないんだ?」
「『教育』の結果を」
「教育? まるで子育てだな」
「まるで子育て? まんま子育てよ。昆虫、魚類、爬虫類、哺乳類……それぞれ『搭載』している本能が違う。人工知能に搭載する『本能』も、人間と同じでいいわけがない。だから色々な本能のパターンを作らないといけなかった。同情心、共感能力は必須として、何にどの程度恐怖を覚えるべきか? 恋愛する本能は搭載できないとして、そのかわりに何を組むこむべきか? 自己保存と自己犠牲のバランスが崩れる瞬間の基準はどこにおくか?
そうして本能アルゴリズムを構築した上に、ビッグデータと人工知能を載せる。ただ、このビッグデータを丸々ぶちこんだだけではいけない。アルテミスには学習段階が設定してある。最初は絵本やコミックといった単語数が少ない『物語』を与える。ベースとなった本能の違いによって、五千万パターンのアルテミスにもそれぞれ趣味嗜好の偏りが出てくる。学習段階が進むと、映画や文学を選べるようになる。その結果、あまりにも暴力的で破滅的な物語ばかりを選ぶようなアルテミスは、残念ながらテスト失格となる。合格したもの──つまり、情報の正邪を『意識的』に判別できるアルテミスだけが、本当の意味でビッグデータに触れることを許される」
「そんなことまでテストしてるのか」
「他にもたくさんよ。育ってきたアルテミスには、倫理テストを繰り返す。そのときは数百パターンまで厳選されてるはず」
「倫理テストって?」
「有名なのはトロッコ問題」
「ああ、一人が暴走トロッコの犠牲になるか、五人が暴走トロッコの犠牲になるか選ぶやつ」
「そう。そういうのを何百万パターンもやる。殺虫剤のパラドックスって知ってる?」
「それは知ってる。特定の殺虫剤を使い続けると、害虫が耐性をつけてしまう。生物は毒にも慣れる。殺虫剤が害虫を強化するというパラドックス」
「それと同じことがソフトウェアでも起きる。同じようなテストばかりしていると、見えないバグが強化されていくことがある。それを防ぐために、倫理テストは別の人工知能が自動的に生成している。同じアルテミスに同じ問題は二度出題されない。最終チェックは、アルテミス計画の幹部全員で、面談形式で行う」
「チューリングテストみたいで古典的だな」
「宇宙飛行士も、ロケットで飛ばす前に精神鑑定や心理テストをみっちりやるでしょ? それと同じよ」
「セキュリティテストも兼ねてるわけか」
「セキュリティ面ももちろん万全じゃなきゃね。堅固な防壁や自動デバッグ機能はもちろん、アルテミスが宇宙に出ても、そのボディであるルナティックは地球に残っている。暴走を防ぐためのキルスイッチ──緊急停止ボタンはルナティックについてる」
そこまで言ったところで、ルナはぱんと手を叩いた。
「一段落したら、ヘーミテオス・ユニットのほうを見に行きましょう」
■□■□
選別・機能確認テストが一段落して、ルナとアーメドは研究室を出た。同じ研究所の敷地内に、ヘーミテオス・ユニットの実験施設もある。
このエイムズ研究センターには、ビルか巨大なカマボコ状の建物が多い。そんななか、ヘーミテオス・ユニットの実験施設は真っ白い塔なので目立つ。事務的な施設の中に、急に宗教的な施設が混ざっているような違和感さえある。
「『ライトハウスNO1』……」その塔を見て、アーメドがつぶやいた。「たしかに、灯台みたいだ」
「誰かがライトハウスなんてあだ名をつけて、それが正式名称になっちゃった」
と、ルナ。
白い塔──ヘーミテオス・ユニット実験開発施設、ライトハウスNO1。
「NO1ってことは……」
「世界中に、三六箇所ライトハウスがある。活動してるのはまだNO9までだけど」
世界最大級の風洞実験場を要するナショナル・フルスケール・エアロダイナミクス・コンプレックスの横を抜け、ルナとアーメドはライトハウスへ。
ライトハウスNO1は二〇階建て。ルナの、ヘーミテオス・ユニット研究室は最上階だ。エレベーターで移動する。
「CTGの『黙示録の騎士』は、フランス大統領の暗殺にも成功した。もう一刻の猶予もない」
アーメドが言った。
つい昨晩のことだった。警察や軍隊の警護をものともせず、CTGの強化人間兵士──黙示録の騎士と呼ばれる少女が、小型のデジタルカメラで実況配信しながらフランス大統領をなぶり殺しにした。
「俺にはまだ信じられんよ。狂った科学者が超人を作ってしまった」
そんなアーメドの言葉に、ルナは頭を振る。
「ゲオルギウス博士は狂っていない」
「人体実験で国際指名手配された科学者なのに?」
「狂った人間に研究開発はできない。倫理観がないだけ」
「倫理観がないのは……狂っているだろ」
「全然違う。倫理観を捨てたとき、科学は大きな発展をすることがある。世界はもっと早くゲオルギウス博士の才能に気づき、彼を全面的にバックアップするべきだった。そうすればCTGに彼が雇われることはなかった。彼は倫理観がないから……『どっちでもよかった』のよ。テロリストだろうが国連だろうが。自分の研究を好きにさせてくれるならなんてもよかった」
「……ゲオルギウス博士に対抗できるのは、きみだけか」
「誰もが異端視するなか、世界で私だけはゲオルギウス博士の講義を真面目に受けた。だから、het‐1遺伝子……ヘーミテオス遺伝子の可能性に気づいていた」
「ヘーミテオス遺伝子とは、そもそもなんなんだ? 機密中の機密すぎて、俺にも詳細は知らされていない」
「始まりはエピジェネティクス(後成遺伝学)。ゲオルギウス博士もこれを研究していた。DNAの塩基配列は変えないまま、あとから修飾を加えて遺伝子機能を調節する──そんな技術」
「素人にもわかりやすく」
「DNAには『スイッチ』みたいな機能があるの。その切り替えによって遺伝子の働きがオン・オフする。体質や能力などが変わる。たとえばインドネシアのパジャウ族は、pde‐10Aという遺伝子の多様体(バリアント)変異が起こりやすく、通常よりも脾臓が大きい人が多い。そのおかげで、水深六〇メートルまで一〇分近い素潜りが可能」
「すごい」
「それを、後天的にパジャウ族以外にも再現できないか──そういうたぐいのことをたくさん調査してたのよ。その過程でゲオルギウス博士は、het‐1……ヘーミテオス遺伝子を発見したわけ」
「その発見を、世間はまともに相手しなかった」
「そのとおり。突飛だったから。でも私は彼の講義を真面目に受けた。……ヘーミテオス遺伝子は、ジャンクDNA──非コードDNAのなかに隠されていた。これは、DNAを模した化学構造の特殊薬品でスイッチオンできる。この特殊薬品のレシピは、世界でゲオルギウス博士と私しか実現できていない」
「ヘーミテオス遺伝子が活性化すると、どうなるんだ?」
「特殊なタンパク質が体内で作られる。それは人体に流れる微弱電流を使って、DNAコンピュータを制御する機能を持つ。DNAコンピュータで、さらに大量の分子ロボットを制御できる。通常の細胞ではなく、分子ロボットでその身体のほとんどを構成された強化人間兵士が出来上がりってわけ。しかし、このヘーミテオス遺伝子の発現は、なぜか男性のY染色体を忌避する性質があるため、ヘーミテオス・ユニットの候補は必然的に女性に絞られる」
エレベーターが最上階に到達した。
「CTGよりこちらが有利な点がある」
目的の部屋に向かいつつ、ルナは続ける。
「CTGは巨大だけどしょせんはテロリスト集団。非合法な存在で、おおっぴらに活動することはできない。だから、ヘーミテオス遺伝子バリアント保持者の候補者探しも苦労しているはず。でも、こっちは違う。国連主導で、全世界で合法的に検査を行うことができる」
ルナとアーメドは、モニタリングルームに入った。
そこから、目的の部屋を眺める。
その部屋は、被験者たちが集まる娯楽室だった。壁の一面がワンウェイミラー(いわゆるマジックミラー)になっていて、ルナやアーメドは被験者たちに気づかれないまま、モニタリングルームから中の様子を見ることができる。
「小さな女の子ばっかりだ」
アーメドが眉間にシワを寄せて、言った。
娯楽室には、大きなテーブルやソファ、大画面のモニタやゲーム機などがあり、一〇人の少女たちがリラックスしていた。少女たちは下は一二歳から上は一五歳。国籍も肌の色も様々だ。全員、研究所で支給した白いワンピースの部屋着を着ている。
「大人は拒否することが多いのよ。強化改造を」と、ルナ。「これはまだ確定ではないけど、年をとればとるほどヘーミテオス遺伝子発現薬品への副反応が強い傾向もある。……ここにいるのは、主に児童養護施設や発展途上国の子どもたち。彼女らは、食事と暖かい寝床のために、ありとあらゆる実験への協力と対テロ戦争への参加を了承してくれた」
「未成年者への強化手術、そして兵士への育成……CTGみたいにさらったわけじゃなくても、これも合法じゃないだろ」
「こっちは国連であり各国首脳も了承済み。いざとなったら子どもの権利条約も書き換えてしまえばいい。それくらい切羽詰まった状況よ。このなかから、国連平和構築軍ヘーミテオス・ユニット第ゼロ世代──タイプ00シリーズが誕生する」
■□■□
──完全武装のカミラが戦っている。
横転したCTGのトラックが燃えていた。
フランス大統領暗殺後、脱出に手間取った。ベルギー国境付近で足止めをくらい、計算外の敵もきた。国連の平和構築軍に所属する新開発のドローン部隊だ。
ドローン──無人兵器。ルナ・グリフィスが設計した軍事用人工知能によって自律行動する戦闘用ロボット。正式には無人汎用人型兵士(Unmanned general-purpose humanoid soldier)という。長いので誰もがドローンと短くすませる。
長い手足に、甲殻類と人間を組み合わせたようなシルエットのドローン。生体素材や分子ロボットが多用され、小型高出力のジェットエンジンですさまじい機動力を発揮する。人型なので、様々な武装を状況に応じて使用可能。ほとんどの平和構築軍・人型ドローンは一二・七ミリ重機関銃やジャベリン歩兵携行式多目的ミサイル、スティンガー携帯式防空ミサイルシステムを装備しているが、ごく少数にはやはり新開発のレールガンが配備されている。
深夜。フランス‐ベルギー国境間に広がる森林地帯で、火線が交錯する。
カミラを乗せ、カスタムされたモトグッツィのフライングフォートレスが疾駆する。追いかけるのは六台の人型ドローン。ドローンはすべて青と白の国連カラーだ。
「メリディタス・ムニェカス!」
くそったれの人形め!
そう毒づきながら、カミラはバイクの上で身をひねり、携帯式ブローニングM2重機関銃の弾丸を後方にばらまいた。追ってくる人型ドローンの装甲上で火花が散る。人型ドローンには、装甲が厚い箇所と薄い箇所がある。厚い箇所は重機関銃の弾丸でも跳ね返すが、薄い箇所はそうはいかない。二台の人型ドローンが頭部にカミラの弾丸を受けて転倒し、地面の上をバウンドし、森の木に激突して爆発する。
──ふざけるな。また金持ちどもがその資金力にものを言わせて、機械の兵隊なんて送り込んできた。あいつらはなんにもわかっていない。こっちを簡単に叩き潰せると思っている。
──邪魔するな!
──私はこの世界を壊すんだ。
奪うばかりで何も与えてくれなかったこの世界を壊す。カミラに何かを与えてくれたのはゲオルギウスだけだった。だから、邪魔するやつは殺す。邪魔するやつは壊す。
二台の人型ドローンが武器を捨てた。標的の動きが速いときに実行するプロトコルに従ったのだ。武器を捨てて軽くなったぶん、人型ドローンの移動速度が向上する。そうして、カミラに接近戦を挑む。
バイクは自動運転モードなので、カミラは両手を自由に使える。右手に重機関銃、左手にチタン製のハンマーを高速で撃ち出すパイルドライバー。近づいてきた人型ドローンに、カミラは左手のパイルバンカーで一撃。バコンと大きな音を立てて、人型ドローンの上半身がひしゃげて吹っ飛ぶ。
しかしもう一台の人型ドローンが、改造バイクの後輪をつかんだ。
タイヤが人型ドローンの手を巻き込んで、バイクのバランスが崩れた。バイクが横転し、その勢いでカミラが放り出される。
「!」
放り出されて地面の上を転がるカミラ。すぐに体勢を整えて、寝転がったまま重機関銃を発砲する。バイクを横転させた人型ドローンの頭部に数十発を叩き込み、沈黙させる。
これで残った人型ドローンは、二台。そのうちの一台はレールガン装備モデルだ。火薬ではなく、電磁力で弾を射出する最新兵器。火薬兵器よりもはるかに高速で弾が飛ぶ。
スタンガンを起動したときのような独特の銃声が響く。レールガンが立て続けに、マッハ一〇を超える銃口初速で弾丸を吐き出す。極超音速が生み出す強烈な衝撃波で、周囲の木々に茂る葉が一斉に飛び散る。
レールガンの攻撃で、パイルバンカーごとカミラの左腕が吹き飛んだ。
「なめるなッ!」
左腕を失っても、カミラはひるまず重機関銃を撃ち返した。夜の闇を切り裂くマズルフラッシュ。発砲のたびに、カミラの姿が眩しく浮かび上がる。弾丸切れになるまで撃ちまくる。カミラの猛射が、残った人型ドローンを蜂の巣にした。
横転し、炎上する輸送トラックの貨物スペースから、ゲオルギウスが外に這い出した。燃料タンクに引火したら焼け死ぬところだった。
脂汗を流し、疲れ切った雰囲気のゲオルギウスは、大きな木のそばで座り込んだ。
そこに、追跡部隊の人型ドローンをすべて片付けたカミラがやってくる。
カミラは左腕を失っていたが、もう再生が始まっていた。カミラのヘーミテオス・タンパク質に制御されたDNAコンピュータの指令によって、体内の分子ロボットが失われた部分を自動的に修復しているのだ。
カミラはゲオルギウスの隣りに座った。
「迎えを呼んだ。すぐにCTGの車がくる。明日にはブリュッセルだ」
そう言って、ゲオルギウスはポケットから電子タバコを取り出した。スティックをさしこんでスイッチオン。煙を深く吸い込んで、吐き出す。
「……だいぶ手強い敵だったみたいだな。カミラ」
「全然。ちょっとはやられたけど、大丈夫」
カミラは言った。強がりではなかった。
「あんな人形なら、もっと数が増えても相手できる」
「その言葉を信じてる。お前は俺の最高傑作だ」
最高傑作。その言葉を聞いて、カミラは素直に嬉しかった。
血も涙もない、倫理観が破綻した国際指名手配のマッド・サイエンティスト。しかしカミラはそんなゲオルギウスのことが好きだった。
「私は、博士の最高傑作」
「ああ」
「じゃあ、ずっと見ていて。あなたの最高傑作から目を離さないで」
「もちろん、そのつもりだ」
カミラは夜空を見上げる。森のあちこちで人型ドローンやバイクが燃えている。ゲオルギウスはタバコを吸い、カミラは彼の肩に寄りかかった。マッド・サイエンティストと貧民街の少女。世界を相手に戦っている。
ルナ・グリフィスが出てきて平和構築軍が結成され、CTGの作戦は想定外の抵抗を受けることが多くなった。ルナは「この世から貧困をなくす」と宣言し、CTGの支持基盤が揺らいだ。そういう意味では、CTGはすでに目的を達成していたのだ。富裕層を皆殺しにすることはできなかったが、旧体制は打破され、新世界秩序が生まれようとしていた。問題は……その新しい秩序がCTGではなく、ルナ・グリフィスと彼女の人工知能「アルテミス」によって準備されていることだ。カミラが求めたカオスは、カミラも気づかないうちに収束しつつあった。
終わりと始まりが、同時に近づいてきていた。
つづく
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Ⓒ B★RS/ブラック★★ロックシューター DAWN FALL製作委員会