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B★★RS外伝新連載!【ブラック★★ロックシューター BEFORE DAWN】第一話「黙示録の騎士」

2022.03.01

ブラック★★ロックシューター DAWN FALL 月刊ホビージャパン2022年4月号(2月25日発売)

B★★RS外伝新連載!【ブラック★★ロックシューター BEFORE DAWN】第一話「黙示録の騎士」

 

 シリーズ15周年を記念し、完全新作アニメの放送&配信を控える『ブラック★★ロックシューターDAWN FALL』。本作に先駆けて、その前日譚を描く外伝小説『ブラック★ ★ロックシューターBEFORE DAWN』が幕を開ける。時は二〇三〇年代。国家間における争いは激化の一途を辿っていく。動き出す極秘プロジェクト…新たな時代を告げる“黙示録の騎士”とは?

ストーリー/深見真
イラスト/友野るい

第一話「黙示録の騎士」

 そこに、一人の少女がいる。
 メキシコの貧民街で生まれ、麻薬を売る両親によって育てられ、どこかで野垂れ死にするしかないような人生を送ってきた少女。
 その少女は野垂れ死にしなかった。「強化」され、普通の人間にはとうてい扱うことができない強力な「武器」を与えられた。
 少女の名は──。
 
 

■□■□
 
 

「安全運転を心がけろ、目的地につくまではな」

 アメリカ合衆国、カルフォルニア州北部、九月のサンフランシスコ。一年で最も気温が高くなるインディアン・サマー。晴天が続いて空気が乾いていた。海岸の方向から、微かに冷たい風が潮の香りを運んでくる。
 山を削った場所にできたような坂の多い街、サンフランシスコ。ランドマークは超高層ビル、トランスアメリカ・ピラミッド。名物はケーブルカーと大聖堂。ウォーターフロントに全米屈指の金融街を擁する。ゴールドラッシュや鉄道で財を成した富裕層が、一八〇〇年代から暮らしている。
 サンフランシスコのノブヒルは古くから高級住宅街として知られていた。いかにもサンフランシスコらしい坂道の両脇に、白い壁の瀟洒な建物が建ち並ぶワシントン・ストリート。大企業の重役たちの豪邸が数多く存在する。深夜二時、西海岸の陽気が消え失せた時間帯に、住宅街に似つかわしくない無骨なトラックが二台ゆっくりと走っていく。
 対向車線にサンフランシスコ市警のパトカーが現れたので、トラックの運転手はにわかに緊迫した。大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。一見、何の変哲もない輸送トラックだから、止められる心配はない。仮に止められても落ち着いて対処すればいい。リーダーが言った通り、安全運転を心がけるだけでいい──。
 対向車線のパトカーがトラックの横を通り過ぎて、遠ざかっていくのをサイドミラーで確認しつつ、トラックの運転手は安堵のため息をついた
 ──トラックの荷台には、それぞれ八人が乗り込んでいる。全員がFAMファイティング・エイジド・メイル(戦闘適齢の男性)。銃火器ショップへの強盗で入手した民間用のSIG・MPXサブマシンガンで武装している。
 民間用のMPXは規制法によってフルオート射撃機能が削除されていた。さらにストックもつけられないため、男たちはかわりにPSBと呼ばれる射撃姿勢補助具を取り付けていた。PSBは棒状のパーツとベルクロテープつきのバンドで構成されていて、バンドを腕に巻き付けることによって銃を固定する。
 男たちの一人が言う。「これは正しい戦いだ」
「どんなものにも手数料がとられる。高い税金だってまともには使われない。超富裕層は怪しげな金融工学とやらで自分の資産を増やし続けてる。従業員の給料をケチって自分は自家用飛行機や宇宙旅行に大金をつぎこんでる。すでに何人もの経済学者が指摘したように、トリクルダウン理論なんてものは嘘っぱちだ。この格差の壁をぶち破るのは、もう対話じゃない。暴力だけだ。刃物と弾丸だ」
 男たちは怒れるCTGのテロリストだ。MPXサブマシンガンの弾倉を抜いて、九ミリ弾丸が詰まっているのを確認。弾倉を再び本体にさしこみ、チャージングハンドルを引いて薬室に初弾を装填する。
 
 

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 この世界では、毎年一千万人以上が「貧困」が理由で死んでいく。そんななか、超富裕層上位に入るたった二千人が、他の四六億人を合わせたよりも多くの金を持っていた。上位一%の富裕層が一〇年間、税金を〇・五%多く払えば一億人以上を救うことができたが、そうはならなかった。
 そしてすべてが手遅れになった。

 人種間の対立、宗教間の対立、東洋と西洋の対立、資本主義と共産主義の対立──様々な対立が、無数のテロリストを生んできた。
 テロリストの定義が「政治的な目的を『恐怖(terreur)』を使って達成しようとするもの」だとするならば、古代ギリシアやスパルタまでテロの歴史はさかのぼることができる。そして高度に情報化された二〇三〇年代は、新しいタイプのテロ組織を生み出した。アンチ巨ビッグ・テック大企業、アンチ超富裕層を掲げたグローバルなテロ組織──「義賊主義集団」chivalrous thieves group──通称CTGの急激な成長だ。
 無政府主義者や各地の反政府ゲリラ、麻薬カルテルなどを取り込んで武装化したテロリスト集団、CTG。彼らの標的は、まずは時価総額が世界上位の巨大企業一〇〇社。その一〇〇社の人間は、取締役や幹部はもちろん、家族やアルバイトの清掃員までが命を狙われることになった。
 ようやく超富裕層は「やりすぎた」と気づいた。

 

■□■□

 

 サンフランシスコ・ノブヒルの高級住宅街、一九世紀風の華美な装飾が特徴的なビクトリアン様式の豪邸に、二台のトラックが突っ込んでいく。防犯装置と監視カメラシステムがついたゲートを補強されたフロントバンパーで打ち倒す。当然、システムを管理している警備会社に自動的に警報が送られるが、CTGのテロリストたちは気にしない。そもそも男たちは生きて帰ろうと思っていないから、警備会社がこようがサンフランシスコ市警の連中がこようが関係ない。突入する、殺す、脱出は考えない。典型的な自殺的作戦スーサイド・ミッション

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 ガレージつきの三階建て一戸建て。
 警報も防犯装置も関係ない。トラックの荷台を降りたCTGの男たちは豪邸の玄関に向かい、手彫りの装飾が施された分厚い白いドアに向かってサブマシンガンの猛射を浴びせた。夜の闇に銃口発射炎マズルフラッシュが輝く。切り裂くような銃声が続く。ドアノブと蝶番を狙って撃ちまくる。鍵そのものを粉砕してしまう。
 半壊したドアを踏み倒し、男たちは豪邸の中へ。事前に間取りの情報は入手している。この家に勤めている家政婦ハウスキーパーが、彼らの仲間だからだ。四人が天窓つきのフローティング階段を駆け上がって、まっすぐ二階にある主寝室に向かう。
 ドア越しに射撃して威嚇。そして寝室に踏み込む。ベッドの上で恐怖に震える中年の男女がいる。健康的な食事と適度な運動で、金持ち夫婦はどちらも引き締まった身体をしているが、銃の前には無意味だ。夫婦はこの家に銃を置いていない。強盗が入ってきたとき、家に銃があると奪われて逆に使われることが多い、という防犯上のデータがあるからだ。しかしそれはあくまで相手が強盗のときのデータに過ぎない。もしも明確な殺意と目的を持ったテロリストが侵入してきたら? 銃で武装したプロの警備員がいないなら、逃げるしかない。
 だが、この夫婦はベッドの上で驚いているうちに逃げるチャンスを失ってしまった。ここはもう高級住宅街の寝室ではない。犯罪的行為が平然と行われる殺戮地帯キリングフィールドだ。そしてこのテロリストたちは、長い時間をキリングフィールドで生きてきた。
 防犯上のデータなんてくそったれだ。やるかやられるか。暴力が足りない人間に生きていく資格はない。
「俺たちの世界にようこそ」
 ウェルカム・トゥ・ア・ヌエストロムンド。英語とスペイン語が混ざったスパングリッシュでテロリストは言った。さらに続ける。キリングフィールド・エス・ヌエストロムンド。キリングフィールドが俺たちの世界だ。
「金ならここにはない。銀行にある」夫が焦った早口で言った。「クレジットカードを渡す。番号も教える。それで助けてくれないか?」
「お前たちは夫婦どちらも、時価総額世界一五位の巨大企業に勤務している」相手の提案を無視して、テロリストの男が主張を突きつける。「グローバル総合金融サービス業者。主な業務は、投資銀行、証券取引、証券管理、資産運用、プライベート・バンキング……なんのことはない、すでに金を持っている人間の金をさらに増やし、貧困層を騙してしぼりとっていく仕事だ。お前たちの会社は政府に優遇され、徹底した節税を行っているからこの国に税金もあまり納めていない。つまりこの国のインフラにタダ乗りしてるんだ。今日、たった今、そのツケを払うことになる。なあ、旦那セニョールさん。そんなに難しい話じゃない。あんたらはどうせ貧乏人を見下しているし、なにかと口先でごまかそうとする。俺たちはもう聞く耳を持たない」
 テログループの仲間の一人が、夫婦の一人娘をつかまえてきた。泣き叫ぶ六歳児の髪の毛をつかんで、夫婦の前に引きずり出す。娘は「パパ、ママ」と悲鳴を繰り返している。母親のほうが半狂乱でつかみかかってきたので、このグループのリーダーがMPXサブマシンガンの引き金をしぼった。母親の額に真っ黒い穴が生じる。弾丸の射入口だ。母親の脳みそを貫通して、後頭部から弾丸が抜けていく。後頭部が爆発したかのように吹っ飛ぶ。弾丸のキネティックエネルギーによって、射入口よりも射出口のほうが大きくなる。
 次に娘の頭を撃ち、最後に父親の腹に二発ぶちこんだ。父親にはとどめを刺さない。どうせ救急車は間に合わないから、ゆっくり苦しんで死ねばいい。大企業の重役たちは、それくらいの悪事をやってきた。当然の報いだ。

 テログループは一家皆殺しのあと、すぐに二軒目の豪邸を襲撃した。そこでも一家四人を射殺する。二軒目を出ると、ロシアン・ヒルとサウスビーチの方面で巨大な火柱があがった。別のグループが爆弾を使ったのだ。ここにいるトラック襲撃部隊だけではない。CTGは、全世界で同時に一〇〇以上の作戦を決行している。
 けたたましいサイレンを鳴らして、二台のパトカーがトラック襲撃部隊のもとに駆けつけてきた。パトカーは、フォード・クラウン・ビクトリア、ポリス・インターセプター。ライフル弾に対応した防弾パネルを追加することができるモデルだが、今夜の二台はどちらもノーマル仕様のままだった。
 テログループは全員でMPXサブマシンガンを撃ちまくった。大量の火花が飛び散って、パトカーに次々と弾痕が穿たれる。警察官たちはパトカーを降りる間もなく、蜂の巣にされて着弾のたびにびくびくと痙攣した。
 サンフランシスコ市警の特殊火器戦術部隊──SWATが出動した。専用の装甲バンでやってくる。カスタムされたM4A1アサルトライフルと防弾プレート、さらに暗視装置も装備した精鋭部隊だ。
 SWATと撃ち合えば、拳銃用の弾薬しか撃てないサブマシンガン装備のテログループはたちまち全滅するだろう。トラック襲撃部隊のリーダーは、日本製の頑丈な腕時計で時間を確認する。
「そろそろ例の応援が来る頃だ」
 SWATの装甲バンが到着。素早く展開したSWAT隊員たちとの壮絶な銃撃戦が始まる。闇夜に銃火が交錯するなか、テログループの増援がやってくる。

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 その増援は、たった一人だった。しかも、少女だ。
 少女はカスタムバイクを乗りこなしていた。モトグッツィのフライングフォートレスという。大型のクルーザーで、総排気量は一三八〇㏄。しかしいかついフライングフォートレスより目を惹くのは、それにまたがった少女のほうだった。
 ショート丈タンクトップにホットパンツという薄着の、褐色の肌の少女。長い黒髪に、引き締まった筋肉質な手足。そして──普通の人間ではとうてい扱えないような、とんでもない重武装。
 少女は、右手に巨大なライフルを持っていた。本来なら三脚架や車に搭載して使うブローニングM2重機関銃を、手で持ち運べるように改造したものだ。ピストルグリップと取り外し可能なストックを追加し、リンクで連結された一二・七ミリ弾が一〇〇発入った箱型弾倉がセットしてある。このブローニングM2重機関銃カスタムは重量四〇キロを超えるが、少女は拳銃のように軽々と振り回す。
 少女は左手にも武器を持っていた──つまり、バイクは半自動運転だ。リモートで別の場所にいる人間が制御している。
 左手の武器は、工事用の杭打ち機を強化したもの。油圧ユニットとピストン構造で、チタン製のハンマーを高速で撃ち出すパイルドライバー。接近戦用である。
 少女も怒れるテロリストだ。
 ──アメリカの麻薬中毒者のために、世界中で麻薬戦争が起きるんだ。
「コモエスタサンフランシスコ・ファッキンシットポリシア」
 少女もスパングリッシュを使う。
 アメリカの総人口の二割近くがヒスパニック系だ。ヒスパニック系はスペイン語を使うことが多い。やがて彼ら彼女らの間では英語とスペイン語の文法や単語が交差するようになった。そういったある種の方言をスパングリッシュという。
 フライングフォートレスを飛び降りて、少女はブローニングM2重機関銃カスタムでSWATの装甲バンを狙った。引き金を絞る。サブマシンガンやアサルトライフルとは比べ物にならないほど大きなマズルフラッシュが瞬く。火花というより小さな爆発の連続。銃声というより砲声。ボールペンのように大きな空薬莢が排出されて道路の上で跳ねる。
 ゴンゴンゴンと装甲に穴が空いて、燃料に引火し、SWATのバンが爆発した。その爆発に巻き込まれて、隊員二人が即死する。
 SWATと撃ち合っていたテロリストたちが歓声をあげた。
「エクセレンテ! カバリエロ・デラ・アポカリプシス」
 少女はカバリエロ・デラ・アポカリプシス──黙示録の騎士と呼ばれていた。
 黙示録、第一の騎士。CTGによる人間強化プログラムのプロトタイプ。
 暗号名「カミラ(Camila)」。すでに少女は自分の本名は忘れていた。
「──私は、カミラだ」
 カミラに、SWATの隊員たちがアサルトライフルの連射をくわえた。防弾ベストも着ていないカミラは、たちまちズタズタに切り裂かれるはずだった。──が、そうはならなかった。彼女の身体には、人工筋肉とDNAコンピュータに制御されたマイクロロボットによって、特殊な耐久性能が付与されていた。SWATの銃弾は、戦車の複合装甲に当たったときのように跳ね返される。
 カミラに銃弾が効かないことを理解して、別のSWATチームの装甲バンが彼女に向かってフルスロットルで突っ込んだ。体当たりで轢き殺すつもりなのだ。レンコ・ベアキャット装甲車を改造したSWATバン。八トンを超える重量が、時速一〇〇キロ以上の速度でカミラを狙う。
 カミラは眉一つ動かさず、パイルドライバーで装甲バンを迎え撃った。油圧ユニットの勢いで、装甲バンの正面にチタンのハンマーを打ち込む。
 SWATバンの装甲が大きくへこんだ。
 ぺしゃんこに半壊したバンが吹っ飛ばされて、回転しながらバウンドしたあと、近くのビルの側面に突き刺さった。
 この少女──カミラの戦闘は、付近の野次馬によってスマホで撮影され、動画はたちまち全世界に拡散された。
 新しい戦いの時代。その到来を告げる黙示録の騎士の咆哮。
 
 

■□■□
 
 

 ──二〇三〇年代前半、環境問題、貧富の格差拡大による治安の悪化、富を独占する超巨大企業を狙ったテロの頻発、資源の枯渇、レアアースをはじめとした希少資源の奪い合い、地域限定かと思われた内戦の国家間戦争化──。様々な要因によって、世界各国の政府は革命的な解決策を切望していた。そのときにはもう、富の再分配程度ではどうにもならないほど状況が悪化していたのだ。
 普通の手段ではもう間に合わない。
 CTGが生み出した黙示録の騎士とはなんだ? 対抗策はあるのか?
 対抗策──そしてすべての問題の革命的な解決策。
 国連手動で、ある巨大プロジェクトが考案される。
 ──エリシオン計画が、すべての始まりであり、終わりでもあった。

つづく

【ブラック★★ロックシューター BEFORE DAWN】

第一話「黙示録の騎士」 ←いまココ

第二話「 セミディオサ ── 半神 」

第三話「平和構築軍」

第四話「エリシオン Part1」

第五話「エリシオン Part2」

第六話「デッドエンド」

第七話「BEFORE DAWN Part1」 new

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Ⓒ B★RS/ブラック★★ロックシューター DAWN FALL製作委員会

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