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横山宏 × MAX渡辺 対談「スピアヘッド」を読むまでパーシングはイマイチだった!?

2022.06.07

横山宏、MAX渡辺対談『スピアヘッド』がおもしろくてパーシングがほしくなっちゃうのだ。 月刊ホビージャパン2022年7月号(5月25日発売)

 横山宏、MAX渡辺対談

「スピアヘッド」

がおもしろくてパーシングがほしくなっちゃうのだ。

訳者はじめ担当編集も読むとパーシングが作りたくなるHJ軍事選書『スピアヘッド』ですが、この本を読むと作りたくなるのは横山さんも同様でした。さっそくMAX渡辺氏にも本を薦めると、やっぱりパーシングを作ってしまったのであります。

横山宏の「スピアヘッド」推しでMAX渡辺がパーシングを激作

横山宏(以下横山):ホビージャパンの新刊案内コーナーで『スピアヘッド』の翻訳者が竹内規矩夫さんと知って興味がわいたんです。竹内さんはデザイナーの今井邦孝先生と組んで編集や解説をしていた方なんですよ。40年前から知ってる今井君と一緒に仕事してた人なので読んでみようと思ったわけです。
MAX渡辺(以下MAX):それも縁ですよね。
横山:そうなんです。MAXさん、『スピアヘッド』を読み始めてから2ヵ月弱でパーシングを3スケールで作ったんでしょ。早くてしかもカッコいい! 戦車もヴィネットも上手いねえ。装備品などのブラックドッグのアフターパーツもいいよね。
MAX:ありがとうございます。レジン製アフターパーツを付けるとグッとよくなるんですよ。今回の企画は完全に横山さんに乗ったんです。「とにかくいいから読みなさい」って言われて、献本を頂いたのがスタートでした。しかも横山さんが「(パーシングを)3スケール全部揃えようと思うんだよ」って言うもんだから。
横山:自分もキットを3スケール揃えただけで一個も作ってないんです(笑)。これだけスゴい作例が見られたからもう作らなくてもいいや(笑)。
MAX:いいんですか?(笑)
横山:はい。1/35もいいし、1/48も1/72もいい。それぞれのスケールのよさを見ることができたので。残るは1/16だけかな(笑)。
MAX:そこなんです。模型誌って、こういうふうに3スケールで作ろうとはしないじゃないですか。1/35できちんと作ろうってなるけど、今は1/48でも結構揃うし、1/72もあるから3スケールで作りたかったんです。

「スピアヘッド」を読むまでパーシングはイマイチだった!?

MAX:この本を読んで3スケールで作るまで、僕はパーシングのことをよく知らなかったんです。
横山:知ってたけど、この本読むまで全然カッコ悪い戦車だと思ってました。
MAX:確かにイマイチ、カッコ悪いですよね。僕は名前に惹かれてスーパーパーシングだけ持ってたんですけど、横山さんに勧められて初めてパーシングを作りました。この1/35は転輪のサスペンションが動くキットなので、それを活かさない手はないと思ってこのベースを作ったんです。
横山:劇中のシーンを反映させて撮影するとヤバいくらいカッチョよくなるよね。
MAX:3D出力品の可動履帯に換装したのですごくよく動きます。タミヤのキットの素性のよさもあって脚周りが見せられたらいいなって。
横山:ホントにカッコいい! このパーシング。
MAX:やったー!! 横山さんの情熱がやらせたんですよ、僕に。
横山:言い出しっぺとしてめちゃめちゃ嬉しい。作例見たらみんなパーシング買いたくなりますね。タミヤのキットもスゴいけど、ブラックドッグのアフターパーツもとてもよくっていつも感心してるんですよ。
MAX:ブラックドッグのブの字も知らなかったので、教えてもらって速攻で買いました。1/72のパーシングはキットが手に入らなくって困ったので、完成品を買って塗り直しただけなんです。
横山:そうなんだ。1/48は手に入ったの?
MAX:はい。でも1/48はプレミアついてて手に入れるのが大変でした。ブラックドッグのアフターパーツはスケールによって土嚢とかの車載品の位置関係が全部違うんですよ。よく考えてるなあって。
横山:全部違う車両っていう設定にもできるわけだ。車体番号は「スピアヘッド」の本に出てくる車体に合わせてるの?
MAX:もちろんです! スケールが違うとプラモデルとしての解像度がみんな違うんです。1/35は1/35なりの突き詰め方をしてるし、1/72でもここまでやるんだっていうのが見えました。タミヤの1/48はすごく肩の力が抜けていいです。作るとわかるんですけど、ディテールをあまり追い込んでなくて組み立てやすいところで止まってるんですよ。

生と死の境目が希薄なことを若い人にも知ってもらいたい

MAX:『スピアヘッド』を読んだら、戦車の中は真っ白でピカピカっていう描写があったんですけど、読んでなかったらもう少し汚すつもりでした。
横山:戦車の中が白でキレイっていうのは第二次大戦や朝鮮戦争でみんな見ていて、それがどんどん伝わっていったんだけど、ドイツの初期の戦車の車内は白じゃないものもあるんですよ。
MAX:読み進めると、彼らはただ戦車で戦ってるだけではなく生活しているのがわかるじゃないですか。そういうことを知ることができてすごくいい経験になりました。
横山:読んでる時に思ったんですけど、今まで観た戦車の映画は同じ人が語った体験談を基にしてるんじゃないのかなって、この本を編集した望月君に聞いたんですよ。そうしたら、やっぱりみんな同じ人に取材しているからシーンが似てくるんだって。本の中で印象的だったのは、緑色の曳光弾の描写ですね。映画『フューリー』でも曳光弾は緑だったから、やっぱり「緑なんだ!」って思いました。
MAX:緑がすごく鮮烈でしたよね。
横山:『フューリー』の緑は鮮烈だったね。『スピアヘッド』でも鮮烈な緑として反映されてるから、当時の戦車兵のコメントが集約されて、ビジュアルとして伝わるんだと思いました。後日談まで読むと、映画を作るためにできた本だって気がするね。
MAX:事実に基づいた話だけど、一流のシナリオライターじゃないと書けないくらいすごい話ですね。
横山:はい。運命が戦争で交錯して悲劇が生まれるっていう。
MAX:登場人物の来歴、どんなところで育ってどんな人間だったかもきちんと書かれてますからね。
横山:戦争がいかに悲しいものかってこともわかるよね。
MAX:いかに唐突に悲劇がくるか思い知らされました。先読みできないですよね。
横山:僕らぐらいの歳になると、昨日まで元気だった友達が急に心臓止まることもあり得るし、生と死の境目はすごく希薄なんですよ。すると毎日真剣に生きなきゃ、思い残すことがないようにしなくちゃって気になるんです。
MAX:年齢が進むほど、そこに繋がると思います。
横山:繋がるよね。だから年齢を重ねた人ほど「スピアヘッド」を読んでほしいし、もちろん若い人にも読んでもらって生と死の境目が希薄だっていうことを知ってもらいたいですね。

戦車模型が作りたくなるには物語的なものが必要だった

MAX:いわゆるマニアックな戦記とは全然違う、一冊で歴史や人生、戦争そのものに触れる可能性を秘めた本で、ちょっとびっくりしました。名著ですね。原文の言葉の力強さを感じますね。
横山:うん、感じるね。自分は最近、戦車模型は作ってないけど、MAXさんは「これは」っていう戦車の作品の模型を作ってるよね。映画『フューリー』の時にスマホで操作できる戦車作ってたでしょ。だから今回も自分が騒げばきっとMAXさんはパーシングを作るだろうなって思ったんです。
MAX:まさにそういうことで、突き動かされる何かがあると、僕は戦車を細部まで作れるんですよ。メルカバは大好きな戦車だったからメルカバ特集の時はガーッと作ったし、『フューリー』はとにかく好きな映画でブラッド・ピットも好きな役者だったので。僕は戦車モデラーではないので、やはり物語的なものがないと、なかなか手が動かなかったりするんですよ。マシーネンをずっと塗ってるから、戦車塗るのはなんにも怖くないですね。今まで10台も塗ってないけど塗るのは上手いでしょ?(笑)
横山:上手いし“いい”のよ。「こういうふうに作りたいな」って思ってもできないことがあるけど、「こうすればいいんだよ」っていう塗装だね。バーリンデンや(松本)州平センセが作ってきた戦車のいいところがデータとして全部入ってるような塗装ですよ。ジジイになるほど上手くなるから、年取って模型をやめるのはもったいないって言いたいです。
MAX:「とにかく明るい色を塗ろうね」っていうのがマシーネンの合言葉なんです。
横山:「掟」だねえ。ホントいいわあ。そうそう、「スピアヘッド」って先鋒って意味でしょ。
MAX:はい。“一番槍”ですね。ほとんど想像していなかったことが文字で克明に書かれていて、こんなふうに戦車は動くんだ、こんな気持ちで戦車に乗ってるんだってわかるんですよね。映画だったらしゃべってくれないとわからないじゃないですか。そこがとてもおもしろかったです。
横山:ホント。戦争で生き延びるには「生き延びる才能」があったってことがこの本を読んでわかるし、戦争がよくないってことが当たり前のようにわかりますね。
MAX:本では絶対逃げられない状況が書かれてますけど、戦争は悪いことに決まってますからね。

『スピアヘッド』を読むと、いかに米戦車兵にパーシングが望まれてたのかがわかっちゃうんだね。

スピアヘッド

あるアメリカ戦車兵とその敵、
戦時下での生命の衝突


●発行元/ホビージャパン
●A5判●336頁
●定価:3300円(税込)
●発売中
●ISBN978-4-7986-2732-8

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