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撃墜王の愛機・フォッカー Dr.I 戦闘機をモンモデル1/24ラージスケールで製作

2022.06.06

フォッカーDr.I【モンモデル 1/24】 月刊ホビージャパン2022年7月号(5月25日発売)

ラージスケールで彩るレッド・バロンの愛機

 1916年から1918年までの約2年半で80機を撃墜した第一次世界大戦の最高位エース、ドイツ軍のマンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン男爵。連合国から“レッド・バロン”と恐れられた彼の戦歴は、フォッカーDr.I戦闘機とともに永遠に語り続けられるだろう。モンモデルは三枚の主翼を持つデザインで有名なこの機体を2020年に1/32スケールでモデル化しているが、今回はなんと1/24スケールでの発売。比較的小柄なWWI機とはいえ全長約30cm、全幅約24cmのボリュームは圧巻の一言。撃墜王の最後のきらめきをラージスケールモデルで彩りたい。

▲フォッカーDr.Iは、1917年2月に西部戦線に登場したイギリスの三葉戦闘機ソッピース・トライプレーンに対抗するために開発。同年7月の制式採用時はF.Iと呼ばれたが、すぐに「ドライデッカー」(三葉)を意味するDr.Iに変更された
▲配備当初は主翼強度の問題に悩まされたものの合計320機を生産。高い運動性を武器にリヒトホーフェン率いる第1戦闘航空団(JG1)などで運用されたが、速度や高空性能の不足によりフォッカーD.VIIなどに機種改編されていった
▲機首。プロペラは積層削り出しに見えるようにウッドブラウンとマホガニーで塗り分け、クリアーオレンジを上塗りして仕上げた
▲コクピット周りはラージスケールならではのリアルな仕上がり。操縦桿に射撃レバーとワイヤーを追加、計器はUVレジンでガラスを再現
▲胴体側面は工場仕上げのままなのでセールカラー地にオリーブドラブのハケ目塗り。側面のパイプは吸気管
▲胴体上面の機関銃。放熱筒のエッチングパーツはすでに円筒状に加工済みなので、組み立ては非常に簡単
▲尾翼周辺。昇降舵および方向舵の操縦索は0.2mmステンレス線を使用。国籍マークはマスキング塗装で再現

■キットの製作
 1/32スケールの複葉機キットを数多く手がけるウイングナット・ウイングスのような精密なパーツがうれしいキットです。手を加える所はあまりないのですが、例によってパーツの接合は相当タイトなので、接着面の塗料は極力除去します。
 キット指定はアクリジョンなどの水性塗料ですが手持ちにないので、ラッカー系塗料(GSIクレオスのMr.カラー)を主に使用します。羽布は45番セールカラー、下面色は88番青22号(ターコイズ)、木部は43番ウッドブラウンに42番マホガニーで木目を描き48番クリアーオレンジを上塗り。プロペラは積層削り出しに見えるように塗り分けます。コクピットのフレーム材は「フォッカーグレー」と呼ばれる色で塗られていたようなので、60番RLMグレーを使用。シートベルトはキットパーツを使用しましたが、やや半透明なので紙などで自作したほうがよいようです。ベルト金具はライトグリーンの指定ですが銀色が妥当と思います。操縦桿には射撃レバーとワイヤーを追加、計器にはUVレジンでガラスを再現します。
 エンジンには0.1mm銅線でプラグコードを追加、プラグは白で塗装。エンジン本体は銀、シリンダーは黒の上に黒鉄色をドライブラシ。パーツE9は排気管ではなく吸気管なので真鍮色か銅色が妥当なところ。ちなみに排気はシリンダーヘッドから直接排気する構造なので、シリンダーヘッド・カウリング内面・胴体下面にそれらしく排気汚れを吹きます。機首側面に突き出ているのは吸気管なので間違っても排気汚れを加えないようにしましょう。
 張り線は1.5号の鮎釣用黒テグスを使用。ターンバックルは真鍮板や真鍮線で作りましたが、まだまだ改良が必要です。操縦張り線は0.2mmステンレス線です。

■塗装とマーキング
 作例は、塗装指示Bのリヒトホーフェン大尉乗機です。再塗装後にWWIIの空襲で焼失するまで博物館に保存されていた機体ですが、現役時の写真は左後方からの1枚しかないようです。標準的な工場仕上げの上から、胴体後半・カウリング・ホイールカバーを部隊色の赤に塗り、個人塗装として翼上面・支柱・胴体上面を赤に塗ってあると思われます。
 まず上側面は、セールカラー地にオリーブドラブ(Mr.カラー38番)のハケ目塗り(実機は幅8cmのハケを使用)、下面ターコイズ、ラダーは白、国籍マークは白地、という工場仕上げで塗装。実機写真では上翼国籍マークの下地が明瞭に識別できるので、隠蔽力がやや弱い79番シャインレッドを使用し上吹きします。リブ部には蛍光レッドでハイライトを入れます。
 中翼と下翼の上面は工場仕上げのままとの説もありますが、写真から赤と判断しました。また、胴体側面の赤の範囲は国籍マークまでとしました。国籍マークは塗残しの白地が白縁になっていますが、胴体は標準的な幅、ラダーは太目、主翼上面は細目のようです。
 キットのデカールは国籍マークのサイズが異なるので、サークルカッターでマスキングを切り出して塗装します。またシリアルナンバーなどもサイズが違ったり数が不足していたりしますが、そのまま使用しました。

モンモデル 1/24スケール プラスチックキット

フォッカー Dr.I 戦闘機

製作・文/竹内尚志

フォッカー Dr.I 戦闘機
●発売元/モンモデル、販売元/GSIクレオス●16500円、発売中●1/24、約30cm●プラキット

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竹内尚志(タケウチタカシ)

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