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フライホーク1/700「エイジャックス」の 豪華版を丁寧に製作&キットレビュー

2022.05.26

イギリス海軍 軽巡洋艦 エイジャックス 1939 豪華版【フライホーク 1/700】 月刊ホビージャパン2022年7月号(5月25日発売)

南米沖でポケット戦艦を追いつめた軽巡洋艦

イギリス海軍 軽巡洋艦 エイジャックス ラプラタ沖海戦 1939

 1/700スケールのWWIIイギリス海軍艦艇を精力的にモデル化するフライホークから軽巡洋艦「エイジャックス」が通常版との2本立てで発売。第一次大戦後にイギリス海軍が初めて建造した5隻の軽巡洋艦「リアンダー」級の最終艦で、第二次大戦初頭に大西洋上で通商破壊戦を行っていたドイツ海軍の装甲艦「アドミラル・グラフ・シュペー」を、巡洋艦隊の旗艦として南米のラプラタ川河口沖で迎撃、自沈に追い込んだ。今回の作例では豪華版を製作、付属のディテールアップパーツをフル使用、“ポケット戦艦”に対し金星を挙げた栄光の軽巡を作る!

▲豪華版は通常版の内容にエッチングパーツ、金属パーツ、3Dプリンター製パーツなどを追加。立派な銘板もついているがやや大振りなので、これを使いたい場合はフルハルで作るほうが相性がよさそう
▲15.2cm主砲塔4基、箱型艦橋構造物に1本煙突のいたってシンプルなアウトライン。「ドーセットシャー」「ケント」などのカウンティ級重巡までのような煙突やマストの傾斜がない非常に硬直した印象を、フライホークのキットはみごとに再現している
▲艦橋付近。設計のベースとなった重巡「エクセター」にならい、各階層が一体の構造物となった近代的フォルム。艦橋構造物前面上部に張り出しがあるのが「エイジャックス」の特徴となる
▲ラプラタ沖海戦時の「エイジャックス」はシーフォックスを搭載。ニュージーランドへ貸与された僚艦「アキリーズ」は一回り大きいウォーラスに変更。また「アキリーズ」は姉妹艦で唯一、開戦時も高角砲が新造時の単装砲のままだった
▲艦首は英巡洋艦の伝統的な形状。ややオーバーな外板段差は表面を削り、実艦写真のイメージに近づけた
▲煙突周辺部。プラパーツの精度は高く、キットをそのまま製作するだけで非常に精細な再現となる
▲艦尾。15.2cm連装砲塔は非常によい出来だが、砲身を真鍮製に交換する場合は接合部の処理に注意しよう

■軍縮の狭間で
 1922年、ワシントン軍縮条約の制限対象の下限が基準排水量1万トン・主砲口径8インチ(20.3cm)とされたことによって、後に「条約型重巡」と呼ばれる限度ぎりぎりの巡洋艦の建造競争が引き起こされたが、国力の損耗著しい第一次大戦後のイギリスにとっては厳しい負担だった。まだ日米が条約型重巡に傾倒していた1920年代末、決裂したジュネーヴ軍縮会議にかわる新たな制限の成立を待たずして6インチ(15.2cm)砲巡洋艦の建造再開を決定。「リアンダー」級は当時就役したばかりのドイツ「ケーニヒスベルク」級を念頭に置いた通商保護重視の汎用タイプといったところで、とがった部分のない至って手堅い設計だった。起工準備中にロンドン軍縮条約が締結され、イギリスにとって厳しい巡洋艦の保有量制限が課せられたため、姉妹艦5隻は後のものほど軽量化されている。竣工後は地中海や南大西洋、ニュージーランドといった遠隔地へ配備され、第二次大戦開始直後の1939年12月には「エイジャックス」「アキリーズ」が8インチ砲巡洋艦「エクセター」とともにドイツ装甲艦「アドミラル・グラフ・シュペー」を捕捉、圧倒的不利な砲力をものともせず果敢に食い下がり、同艦を最終的に自沈させる成果を収めた。

■キットについて
 フライホークの新作。青島文化教材社から「エクセター」が発売された時点で誰もが一度は「出ればいいのに」と言ってみたことがあるはずだ。後に建造された縮小型の「アリシューザ」級が先にキット化されていたが、今回の「エイジャックス」では上甲板部品の強度不足が改善され、これといった欠点もない。下部船体と吃水板を両方セットした選択式で、いつも通り通常版と、エッチングパーツや真鍮挽物砲身などを同梱した豪華版が同時発売された。今回の商品は「エイジャックス」の艦歴最大の華であるK部隊旗艦・ラプラタ沖海戦状態。高角砲座の部品割りにバリエーションキットを意図している気配が見える。僚艦「アキリーズ」もさることながら、「エイジャックス」自体も大戦中期のチェッカーボード迷彩のように模型映えする仕様があるが、おいそれとモデラー側の出来心では対応できないためメーカー頼みとなる。

■製作
 今回も豪華版をほぼそのまま組んでみた。とにかく塗り残しを出さないような順序立てが最大の課題で、組んでからでは筆が入らない場所、部品の合わせ目が出る場所をきちんと処理しながら工作を進めるには、キットの説明書の順番を無視せざるを得ないだろう。
 高角砲甲板(部品J-1)はそのままでは微妙に左右がずれるので、上甲板のモールドを一部削り落とすなど慎重に調節するのがおすすめ。主砲の砲身を真鍮製に交換する場合、基部に防水布を用いないため接合部が露出してしまう弱点がある。砲塔に組み込む前にケアをしておきたい。
 射出機周辺2ヵ所の救命筏は指定位置に収まらないので、部品GB19-2を-1に変更する。エッチングパーツを使う場合は、手すりが魚雷発射管や搭載艇と干渉する恐れがあることに注意。上甲板の手すりはボート搭載架台の支柱との位置関係上、外側ぎりぎりに寄せてはいけないが、そうすると今度は魚雷発射管と干渉する。作例では左舷の発射管の裏側を削って少し内側に寄せてある。リールも全般にやや大振りで、ひと回り小さいものを他から調達しておくといい。また、搭載機と射出機用台座の構造的関係が曖昧で、作例では適当にごまかしてある。
 徹底した細密志向のポリシーゆえ、作り手のオリジナリティを加える余地はほとんどない。ただし、舷側外板の重ね張りの段差がややオーバーで、装甲帯やナックルフレアより目立ってしまう傾向があるので、作例では表面を削って実艦写真のイメージに寄せてある。筆者は普段から張り線を施さないのだが、作例はマスト部品だけ豪華版の金属製に変更した。前後マストとも単棒檣なので本来は補強索が大きなポイントとなるが、キットに何も説明がなく、細密派モデラーは苦心することになるだろう。張り線をしないならプラ製パーツのほうがディテールが細かく見映えがいいので、マストトップの方位探知アンテナを取り替えるだけで充分では。

■塗装
 基本的に戦前状態のままで、側面は507Cの単色。キットの指示では錨甲板をジャーマングレイ、船底を「ピーコック・アンド・ブキャン」(当時の塗料メーカーの名称か)グレイと指定している。作例では船体にMr.カラー363、錨甲板などに同513を用いた。

フライホーク 1/700スケール プラスチックキット

イギリス海軍 軽巡洋艦 エイジャックス 1939 豪華版

製作・文/岩重多四郎

イギリス海軍 軽巡洋艦 エイジャックス 1939 豪華版
●発売元/フライホーク、販売元/ビーバーコーポレーション●17050円、発売中●1/700、約24.2cm●プラキット

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岩重多四郎(イワシゲタシロウ)

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