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【MOOK紹介】粘土で作る!いきもの造形 恐竜編

2022.07.31

粘土を使って恐竜フィギュアを製作するための解説書

 5月31日(火)より発売された、動物や古生物の造形を得意とする造形作家、竹内しんぜん氏による、粘土を使ってリアリティーあふれる恐竜の姿をフィギュアとして再現するための解説書「粘土で作る!いきもの造形 恐竜編」の一部を抜粋して紹介。
 昨今話題性のある恐竜を多様な視点で観察、造形。かわいらしい泳ぐスピノサウルスのHow toを細かく解説するほか、目を合わせれば戦々恐々としてしまうほどリアルな作例達を ピックアップ!

粘土工作の基本【実践編】

泳ぐスピノサウルスを作る

ここでは、基本的な造形の手順をご覧いただきます。石塑粘土「ラドール」を使って、
水 辺で泳ぐスピノサウルスを作ってみます。ラドールは軟らかくて使いやすく、
その上 、細かい造 形も可 能な上 質な粘 土です。では、始めましょう。

粘土の上手な保管について

 粘土の袋を開けると、その瞬間からどんどん粘土が乾いてしまいます。未使用の粘土は、できるだけ新鮮な状態を長持ちさせたいものです。私 は、このように袋ごとカットして、すぐに使う分を取り出し①、残りには袋を被せて②、それぞれを別のタッパー容器に入れ、保管しながら使っています③

粘土をこねて形を作る

 適量の粘土を手に取ったら、手のひらや指先で少しこねて感触を均一にします。まずは両方の手のひらで粘土を丸めてみましょう④。単に手のひらで転がすだけだと、表面の粘土が乾き、シワやヒビが入ります。程よい圧力をかけ、乾く前にきれいな形になるように手早 く丸めます⑤。実は、これが 意 外と難しい

 丸めた球を指の腹でギュッと伸ばして板状の形にします⑥⑦。この状態でいったんしっかり乾燥させます。 棒を使って部分的に机から浮かせておくと、乾燥時間の短縮になります⑧。とはいえ、乾くまでしばし休憩。一気に作ろうとせず、乾 か す の も 作 業 のうち だと 思 っ て 、の ん び りや るのもコツの ひとつ です


 先ほど よりも少なめの 粘 土で、頭 の 芯を作ります。指で形を作り⑨ 、これを、先ほど乾かしておいた板にくっつけます。このとき、乾いた粘 土 板に少しだけ水を塗っておきます⑩。水で少し表面が溶けて新しい粘土がくっつきやすくなります⑪

  さら に 、継 ぎ 目 を ス パ チ ュ ラ で こ す り つけるようになじませます。この作業によって、粘土が乾燥したときに、継ぎ目で壊れる可能性をグッと減らせます⑫

  スパチュラを持ち 替えて 、 目の 周りの窪 み や 、口 の ラ インを つ け ま す⑬

 スピノサウルスの特徴、背中 の 帆を作ります 。 粘 土を適量手に取り、指先で丸い板を作ります⑭。指で押さえて、半円形にしたら⑮、乾いた粘土板を水 で 湿らせ ⑯ 平らな 部 分とくっつけます⑰。 今回の接続部分は広いので、指でなじま せ まし た⑱

 同じ要領で、尻尾を作ってくっつけます。少しクネっとさせて動きをつけてみました⑲⑳。少し粘土を足してボリュームをつけて㉑、軽く乾かします


 乾いたら、顔や背中の帆に、少しずつ粘土を足して、作りたい形に近づけます㉒㉓。粘土をつけるときは、必ず先に水を塗るようにしましょう。気に入った形になったら、今度はしっかり乾かします

 完全に乾燥したら、スポンジヤスリ(スーパーファイン 320〜600番相当)で表面を削って滑らかにします㉔。かなり粉塵が出るので、吸い込まないように 必 ず マスクを 装 着 するようにしましょう

細かな造形と塗装

 小さな粘土で、目や帆の飾りや歯をつけていきます㉕㉖。このような小さな粘土を足す 場 合も、必 ず 、乾 いた粘 土 には水で湿らせてから、新しい 粘 土をつけ 、継ぎ目をなじませます 。ここで 再 度しっかりと乾 燥させます

 歯などの細かい部分をデザインナイフなどで削りきれいに整えます㉗。削った際 に 出 る 粉を 歯 ブ ラシで 取り払 います ㉘

 全体に水を塗って 削 り 跡 をなじま せ ます㉙。 よりき れ い に 仕上げたい 場 合 には、ジ ェッソ や 溶 き パ テ(サーフェイサー)を表面に塗り、番手の細 か い 紙 ヤ スリを 当てて 仕 上 げます

 アクリル絵の具で色を塗り、仕上げます。アクリル絵の具は、ツヤ消し・ツヤあり、半透明・不透明などがあるので、塗りたい部分に合わせて使い分けます。ここでは、スピノ本体にツヤ消しの不透明を、水面にツヤありの半透明の絵の具を使いました㉚㉛

スピノサウルス
全長約12cm
原型素材:石塑粘土(ラドール) 2022年製作

 今回はマスコット的な可愛い印象で作ってみました。デフォルメ表現にはそのキャラクターが持った特徴を押さえる必要があります。でも、生きた姿が観察できない、謎だらけの恐竜たちの特 徴を押さえるとは… 。 考え始めるとキリがないので、「とりあえず作っちゃえ」という精神で始めるのが、恐竜造形におけ る 最 大 の コ ツ か もし れ ま せ ん


作例ピックアップ!

 本ムックに掲載されている竹内しんぜん氏の作例を少しだけ紹介。今にも動き出しそうなほどリアルに作りこまれた、その堂堂たる佇まいをどうぞご覧ください!

▲ ゴルゴサウルス 本書作り起こし
▲ ティラノサウルス 2002 2002年製作
▲トリケラトプス 本書作り起こし
▲ティラノサウルス胸像 本書作り起こし

 上記以外にも数多くの作例や丁寧なHow toが掲載されているため、粘土造形や恐竜造形ビギナーの方でも安心してお楽しみいただけます。恐竜というロマンを形にするための解説書、ぜひこの機会にお手に取ってみてください。

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(C)2000-2022 Shinzen Takeuchi

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