HOME記事ガンダム傑作旧キット「リアルタイプ・旧ザク」をハードウェザリングでさらに引き締める

傑作旧キット「リアルタイプ・旧ザク」をハードウェザリングでさらに引き締める

2022.05.23

MS-05 ザクI【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)

傑作旧キット「リアルタイプ・旧ザク」をハードウェザリングでさらに引き締める

 1983年発売のリアル・タイプシリーズから、1/100キットの中でも屈指の出来と称される旧ザクことザクIをお届けしよう。ベースとなる1/100旧ザクは1982年7月発売。こちらも名作と謳われた1/100シャア専用ザクから、さらに進化した組み心地、ギミック、シャープな造形は、まさに今で言う“ザクVer.2.0”と呼べる存在だった。作例は、その成型色変更+水転写式デカール付きのリアル・タイプを使用。カラーリングもリアル・タイプ準拠とし、ビネットタイプの固定ポーズながら、プロポーションの微調整とモノアイ発光ギミックを追加し、ハードウェザリングで傑作キットをさらに引き締めている。

■カラーリングデータ

黄土色=ダークイエロー、暗部はAT-24アンバー 
青=スカイブルー+インディーブルー
胸・ハンド・銃等=ガンメタル→Mr.クリスタルカラーサファイアブルー
ヒート・ホーク=エヴァパープル
泥表現=Mr.ウェザリングペースト マッドブラウン

 ボックスアートも魅力のリアル・タイプカラー

 大河原邦男氏がポスターなどで描いた、劇中イメージとは異なる、よりミリタリーテイストの強いカラーリングとマーキングが施された仕様が成型色替え&水転写式デカール付きでキット化。このキットの特筆すべき点は、渋いイラストとそれを強調する黒を基調としたシックなパッケージ、そして水転写式デカールによるマーキング。少し大人向けに見えるこの仕様こそが、後のMSVキットの仕様に繋がったと言っても過言ではない。

リアルタイプ・旧ザク

●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●770円、1983年4月発売●1/100、約17.5cm●プラキット

▲頭部は上から見て後頭部をクサビ状にカットし少し小型化。ダクトは一度切り離し角度をつけて再接着。内部スリットはキットのものは使用せず、ディテールアップパーツを加工したものを使用した。モノアイ正面の支柱、後頭部のフィンはプラ板から新造し、モノアイレールはバーニア等のジャンクパーツを組み合わせ、モノアイはH・アイズの4.5mm径を使用した

▲モノアイの発光はミライト(316R)を分解した赤色LEDを頭部に組み込み、配線を伸ばし、胴体内にタミヤスライド式スイッチ、コイン電池(CR2016)および専用の電池ボックスを組んで再現。スイッチのオンオフはネオジム磁石で取り外し可能なランドセルを外して行う

▲ハンドはエポパテからスクラッチ。手元にあったエポパテの塊から削り出して製作しているが、硬化前にある程度形にしたほうが効率が良いだろう
▲製作途中の各部。形状変更は肩の八の字工作や腕のボリュームアップが中心となっている

▲製作途中の全身写真。この写真からも作例がキットを最大限活かして製作されていることが確認できる

▲台座は100円ショップにて購入した木箱とフォトフレームの組み合わせ。地面は石粉粘土を水で溶いたもの。木箱部分は水性塗料の黒に近い焦げ茶色を刷毛塗り。台座プレートは、キット箱側面のロゴがかっこよかったので、フォト用紙に拡大してプリントし、アルミ調プレートに貼り付けた

■はじめに
 仮組みしてみたところ、非常にボリュームがあり有機的なラインが魅力的で、特に左右非対称の脚部の造形が素晴らしいです。今回の作例はかっこいい立ち姿の固定ポーズですので、各部のバランスを調整したあとは取り付けや接着角度の調整をじっくり行いました。ハンドは平手の造形は良いのですが、握り手はさすがに使えないのでエポパテよりスクラッチしました。
 塗装はいつものようにカラーモジュレーション技法で立体感を強調しつつ、退色表現も施しました。またスケールに見合った繊細な塗装剥げ表現、各種ウェザリング表現にも注力しました。スケール的にはツヤ消し仕上げが妥当ですが、「現役バリバリの機体」を表現したかったので、あえてツヤは整えず生っぽさを出してみました。パッと目を惹くような重厚かつ繊細な作品になるよう心掛けました。

■胴体
 定番工作である、肩を八の字になるように加工しました。ウエストはパテで裏打ちしてから少し削りました。スカート内側も少し削りました。股間はプラ板にて少し大型化しています。ランドセルは、バーニアに極小ハトメを組み込んでディテールアップしました。

■腕部&脚部
 肩アーマーは、基本形状はそのままで、肩に近い部分のモールドが甘く感じたので彫り込んで使用しました。肩は上下方向に3mmほど幅詰め。また内部の軸を加工して腕全体の取り付け位置を2~3mm上に移動しました。上腕はプラ板を貼り、上下方向に2mm延長しています。前腕は、左腕はそのままですが、右腕は「ガワラ曲げ」を表現するために関節部をプラパイプで新造し曲げた状態で固定しました。
 かっこいい立ちポーズになるように、太モモのスカートに干渉する部分をプラ厚ぶん削りました。関節軸はキットのまま使用しています(後ハメも可能です)。スネはほぼ加工なしで、そのまま使用しました。
 靴は甲の部分を一度切り離し角度を付けて再接着して使用。スネの足首接続軸はそれぞれ外側をカットしておき、足首は内側の接続軸に角度をつけて接着しました。

■ザク・マシンガン
 シャープな造形ですが、ボリュームのあるザク本体に対してやや貧弱に感じたので、銃身、マガジン、スコープはMGザク Ver.2.0のものに置き換えました。また同様の理由でヒート・ホークもキットのものは使用せず、Ver.2.0のものをストックを縮めた状態に加工して使用しています。

■基本的な塗装手順
 ウォームグレーに調色したオリジナルサフ→ガンメタルの下地のみシルバー→シリコーンバリアー→各色グラデーション塗装→Mr.ウェザリングカラーでウォッシング・ストレーキング・ピンウォッシュなど→デカール貼り→デカール部分のみフラットクリアー→再びMr.ウェザリングカラーでウォッシング・ストレーキング・ピンウォッシュなど。

■汚し塗装・手順
 基本塗装時にエアブラシにてストレーキング表現を施しています。
ウォッシング・ストレーキング=Mr.ウェザリングカラーステインブラウン等
ピンウォッシュ、スミ入れ=Mr.ウェザリングカラーグランドブラウン等
オイル垂れ=機体各所にガンダムリアルタッチマーカーイエロー1、グレー1、2などで描き込み
泥汚れ=傷んだ筆で叩きつけるように塗ったり、スプラッシングにより表現
チッピング=基本的に真鍮ブラシや金属やすりによる剥がしでの表現
(下地色やシリコーンバリアーを吹く手間が掛かりますが、実際に剥がすので描き込みよりも自然かつ素早く施すことができます)
「深い傷」は「二重チッピング」としてタミヤエナメルカラークロームシルバーを剥がした中に極細筆で描き込みました。

■デカールについて
 基本的にキット付属のものを使用しています(ラインデカールは貼り付け難易度が高いです!)。ジオンマークと肩のナンバーのみ他のものを流用しました。

■おしまいに
 当時ものキット、なかなかに作り応えがありました~。

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット リアルタイプ・旧ザク 使用

MS-05 ザクI

製作・文/更井廣志

この記事が気に入ったらシェアしてください!

©創通・サンライズ

更井廣志(サライヒロシ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2022年6月号

ご購入はこちら

ガンプラカタログ2022 プレミアムバンダイ編

ご購入はこちら

HJメカニクス10

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー