旧キット「1/60 ガンダム」を大河原邦男氏の描くガンダム風にプロポーション追求して製作
2022.05.08RX-78-2 ガンダム【BANDAI SPIRITS 1/60】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)
名作ぞろいの1/60スケールから、プロポーション、各部形状、ギミックを含め、シリーズ最高峰と言われる名作キット、1/60 ガンダム。ボリュームある体躯ながら色気のあるボディや脚部ライン、ガンダムキット一のイケメンフェイス、コア・ファイターの合体変形ギミック、ビーム・サーベル刃のクリアー化など、挙げればキリがないほどの魅力にあふれる傑作である。作例はそんな名作を“キットの素性を最大限活かしながら”、大河原邦男氏が描く設定画に寄せるべく改修。プロポーション追求のため、コア・ファイターのギミックをオミットしての製作となった。
ビッグスケールならではの最高峰キット
80年7月の1/144、1/100に続き、同年12月に発売された1/60キットは、これまでの2スケールから造形、ギミックがさらに進化。随一のイケメンフェイスはもちろん、ガンダム・ハンマーまで付属する豊富な武装類、コア・ファイターの変形合体ギミックなど、ビッグスケールに相応しい豪華な仕様となっている。
RX-78-2 ガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2200円、1980年12月発売●1/60、約30cm●プラキット
■当時もの久しぶり!
只野がこのキットを初めて組み立てたのは中学2年生だった。接着剤をはみ出させつつも成型色活かしでラッカー塗料を筆塗りしコーションを描き込み、当時覚えたてのドライブラシでハゲちょろ風味を加えていたっけ? HJ誌の影響をモロに浴びてたなぁ~。ほぼ40年振りの1/60ガンダムなのだ。当時のモックアップは手業で作られていて、部位ごとの造形と量感は愛でる対象となる価値があるのだ。
■目指すは設定画!?
「大河原邦男さんが描いた機動戦士ガンダムの設定画」これが本作例で目指すべきビジュアルイメージのすべてである。それ以上でも以下でもなく、童心に還り手を動かすとしよう。左斜め45度からの煽りで見たパースの付いた「画」を狙うので優先すべきは目標に沿った造形バランスを取ること。軸や可動部位を活かすか殺すかはその都合次第とした。脚部は捻りと末広がり造形を目標に「太モモ部」「ヒザ関節」「アンクルガード部」をいったん切断し改修、バランスチェックを繰り返しながら納得の行くまで造形作業を進めた。
■塗装
シンプルにガンダムカラー(UG01~03)MSホワイト、ブルー、イエローを基本色として活用。ブルーのみUG14・ライトブルーを重ね吹きしてセル画の彩色を意識した発色を目指した。ホワイト部にはMr.ウェザリングカラーフィルタ・リキッドのシェードブルーとフェイスグリーンを混ぜたものを全体に筆塗し、乾燥後に濃淡を残しつつ拭き取りを行っている。他所はMr.ウェザリングカラー各色を適材適所で使い分けた。
■総括
このキットを活用した作例やオラザク出品作には数々の伝説があったので、プレッシャーを感じつつも只野なりに面白がる方法を模索してみた。当時ものキットは接着が必須であり一定の模型製作スキルがいるが、造形の大らかな三次曲面や量感といった見どころがあり、手を加えることで自分だけの作品を生み出せる可能性を持っているので、醍醐味のひとつといえる。中2の只野はそれ以降結構な数の当時ものキットを切り刻んできたが、タミヤパテの使い方が分からず、隙間にモリモリ注入してプラを溶かした等の失敗を繰り返した。失敗の先に完成を体験することを、四季の巡りのように「面白がる」というのが私の楽しみ方である。
作例を動画でチェック!
BANDAI SPIRITS 1/60スケール プラスチックキット
RX-78-2 ガンダム
製作・文/只野☆慶
©創通・サンライズ
只野☆慶(タダノケイ)
各種造形、デザイン、模型製作を生業とする。造形・塗装表現も幅広くウェザリングも得意。