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「EG νガンダム」を全塗装&HGから武装をコンバートしてフル装備に製作!

2022.05.04

RX-93 νガンダム【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)

RX-93  νガンダム

ENTRY GRADE νガンダムを全塗装+フル装備で完成させる

 誰でも簡単に組み立てができるガンプラの新スタンダード“ENTRY GRADE”の第3弾として「RX-93 νガンダム」が発売。キットはRX-78-2 ガンダムやストライクガンダムよりやや高めの価格となっており、今回はファーストレビューから全塗装を前提とした製作法+本キットならではの製作ポイントを解説していく。もちろんキット仕様に合わせて、HG νガンダムからフィン・ファンネルなどの武装をコンバートしてフル装備で完成させているので、製作の際の参考にしていただきたい。(解説/哀川和彦)


工作に使用したツール・マテリアル

❶匠TOOLS極薄ニッパー(グッドスマイルカンパニー)❷自作ヤスリ(調色スティック・プラ板にフィニッシングペーパーを貼り付けたもの※すべてタミヤ)❸スポンジ研磨材(3M)❹精密ノコギリII(スジ彫り用)(タミヤ)❺ピンバイス(ミネシマ)❻エポパPRO-H《高密度タイプ》(GSIクレオス)

塗装に使用したツール・マテリアル

❶PS289プロコンBOY WA プラチナ0.3 Ver.2(GSIクレオス)❷Mr.マスキングゾル改(GSIクレオス)❸マスキングテープ(タミヤ)❹円形マスキングシールXL(ハイキューパーツ)

❶基本工作

▲ENTRY GRADEはニッパーなどを使わなくてもパーツを取り外せるタッチゲートになっているため、ニッパーを使うと刃がパーツ側に寄りやすくなります。パーツをエグらないように慎重に切り出します
▲今回は全塗装なのでゲート跡以外にも、パーティングラインやヒケなどもヤスリがけをしてパーツを整面していきます。番手は400〜1000番を使用しました。曲面などはスポンジヤスリを使用すると便利です
▲エポパテで肉抜きを埋めていきます。主剤と硬化剤を同量混ぜ合わせて肉抜きに詰めていきます。奥まっているところは爪楊枝などで押しこんでいきます。パテが硬化したらヤスリがけをして整形します

❷干渉部の調整

▲写真はヒザの関節パーツになりますが、パーツ同士の隙間がほとんどありません。成型色仕上げならよいのですが、塗装すると塗膜の厚みぶんパーツ同士が干渉し合い塗膜が剥がれてしまいます
▲パーツが干渉しないように太モモ外装パーツの内側をヤスリがけしていきます。接続箇所や塗装方法にもよりますが、削る厚みは0.15〜0.2mmくらいを目安にするとよいです
▲ヤスリがけが終わった状態です。目視で隙間が確認できるようになりました。ヒザやヒジなど特に動かす部分は塗膜の厚みを意識してパーツを処理していきましょう

❸ヒザ関節の丸モールド開口部をふさぐ

▲ヒザ関節横の丸モールドは開口されているので埋めていきます。方法はいくつかありますが、今回はシンプルにいきます

▲100円ショップで購入したポンチとハンマーです。これを使って丸モールドを製作していきます。3mmのポンチを使用して0.3mmプラ板から丸モールドを製作します。ハンマーは強すぎず弱すぎずの力加減で、ちょうどよいモールドができるまで打ちます

▲丸モールドを打ちぬいたら表裏と側面にヤスリがけをしてパーツに接着します
▲コツをつかむまで難しいですが、慣れれば簡単に開けられるようになります。慣れてきたらこのモールドにディテールを追加してもよいでしょう

❹腰部フロントアーマー開口部をふさぐ

▲腰部フロントアーマーにあるダクトは見る角度によって空洞感が出てしまうので、プラ板を使用して裏打ちしていきます。プラ板をちょうどよいサイズに切り出したら裏側から接着します

▲プラ板を貼り付けた状態です。先ほどと比べて奥行を残したまま空洞感を消すことができました。このように省略されている箇所でも少し手を加えることでワンランク上の作品へと昇華させることができます

❺前腕部のダクトモールドを独立させる

▲前腕の左右側面にダクトモールドがありますが、前腕パーツと連結されているので切り離して別パーツ化していきます

▲まずフレームパーツに接続穴を開けるのですが、後で接続位置がずれないようダクトモールドの上から1mmピンバイスを通してフレームパーツに穴を開けます。穴が斜めに開かないよう面に対して垂直にピンバイスを回していきます

▲エッチングノコを使用してダクトモールドを切り離していきます。写真は拡大していますが、切りしろは約0.2mmしかないので慎重に切り出します

▲ダクトモールド底面から1mmプラ丸棒を接着して差し込みピンにします。これで別パーツ化でき、見映えもよくなりました。差し込み口はあまりきつくしてしまうと取り外しがしづらくなってしまうので、少し緩めにしておくとよいです

❻パーツ裏面を塗装する

▲パーツによっては本来の色と違う箇所やインナーパーツがない箇所がチラッと見えしてしまう箇所もあります。こちらを関節色で塗装していきます
▲各パーツの表側を塗装し終えたらマスキングします。塗料はエナメル塗料を使用するのではみ出しても拭き取れるのですが、拭き取りづらい箇所に塗料がかかると手間なので、塗料が表側などに付着しないようにざっとマスキングしました
▲エアブラシで塗装していきます。希釈はラッカー塗料と違い濃く感じますが、1:1くらいの割合で希釈して塗装していきます。裏側は影的な意味合いで塗装するので、少し深めのグレーがおすすめです

▲塗料が乾いたらマスキングを剥がしていきます。塗料がはみ出たところがあってもエナメル塗料用うすめ液を綿棒に付けて拭き取ればきれいになります。ほとんど見えない箇所でもアクションポーズを取るとチラッと見えてしまうことがあるので、気になる箇所は塗り分けてみましょう

❼ツインアイを塗装する

▲ツインアイは周辺部が深く影が出るように作られています。この影の部分も塗り分けることでより立体感が出るようにしていきます

▲まず額のセンサーとツインアイを塗装します。よく乾燥させたらエナメル塗料のフラットブラックで全体を上掛け塗装します。乾いたら綿棒にエナメル塗料用うすめ液をしみ込ませ、ツインアイ表面の黒を拭き取っていきます

▲表面を拭き取ったら、次に面取りするように綿棒を斜めに当て周辺の黒も拭き取っていきます(幅0.5mくらい)。こうすることで立体感を出すことができます
▲ツインアイ周辺部をフラットブラックで塗ったことでより影が濃くなり、顔が引き締まった印象になりました

完成! ENTRY GRADE νガンダム!!

 全塗装製作によるENTRY GRADE νガンダムが完成。基本工作以外は、腰部や前腕部ダクトなどキットとして優れている部分に少しだけ手を加え、全塗装+細部塗り分けを行った程度だが、完成度がぐっと高まっているのが分かる。

RX-93  νガンダム 正面
▲キット素組み(左)との比較。アンテナのシャープ化と、後に解説するハンドパーツの交換以外は形状に変化はないのが見て取れる。肩や腹部、腰部、ふくらはぎなどインナー部分やアーマー裏の塗装は奥行が出て立体感を強調できるのでオススメだ
RX-93  νガンダム 前後画像
▲非常に良好なプロポーション。頭部は精悍な顔つきで、アンテナをシャープ化するだけでさらに引き締まった印象になる

❽HG νガンダムからフィン・ファンネルなどを移植

▲キットはHG νガンダムのフィン・ファンネル、ニュー・ハイパー・バズーカ、ビーム刃を無加工で装着できるようになっています
▲キットのハンドパーツは武器持ち手のみなので、HGにセットされる握り拳と平手を移植します。また、キットのビーム・ライフルはトリガーガードがオミットされているので、こちらはビーム・ライフルごと武器持ち手を移植します
▲HGキットは接続部のボール軸がやや大きく、そのままでは接続できません。スポンジヤスリを使いボール部のサイズを調整していきます。感覚的には一皮むく程度のヤスリがけでOKです

▲握り拳は素立ちに、平手はアクションポーズをとったときなどに使用するとよいでしょう。ビーム・ライフルは変わらずですが、トリガーに人差し指をかけられるようになるので、HGキットをお持ちの方はぜひお試しください

❾武器の砲口を開口する

▲各武器は砲口が浅かったり、省略されているのでピンバイスで開口していきます

▲ピンバイスの角度が斜めにならないよう慎重に開口していきます。砲口が深くなったことでリアリティが増しました。また塗装後に内部をエナメルカラーのグレーなどで塗ると奥行が出ます

▲シールド裏のビーム・キャノンは砲口が省略されているので、ビーム・ライフル同様に開口しました。ミサイルはビーム・キャノンと連結されているため、塗装時の塗り分けを考慮してエッチングノコで切り離して別パーツ化しています
▲製作した武装一覧。ENTRY GRADEからはビーム・サーベルのグリップ、シールドを使用し、ほかはHGキットから移植している。ニュー・ハイパー・バズーカ、フィン・ファンネルはストレートに組み立てた

完成! ENTRY GRADE νガンダム(フル装備)!!

 HGキットから武装を移植してフル装備となったνガンダムが完成。フィン・ファンネルを装備していない状態でも充分カッコいいが、やはりフル装備になるとより“νガンダム”という印象が強まる。

RX-93  νガンダム 全身
RX-93  νガンダム 全身 背面
▲元々仕様として組み込まれているだけあり、ENTRY GRADE νガンダムとHGキットパーツの相性は抜群によい。手持ちのHGキットがあるならぜひ組み合わせてフル装備にさせてみてはいかがだろうか
RX-93  νガンダム 構え
▲力強いプロポーションながら可動のクリアランスもしっかりと確保されているのでダイナミックなアクションポーズもカッコよくきめることができる

■νガンダムは伊達じゃない!
 今回は基本工作と全塗装で仕上げてみましたがいかがでしたでしょうか? エントリーグレードとはいえプロポーションもよく、基本工作だけでもカッコいいキットに仕上がります。またHGキットからフィン・ファンネルをはじめとする武器パーツを移植しましたが、武器類は無加工で接続できるので気になった方は後からでも追加してみてください。塗装は、少ないパーツ数でできる限り色分けされているので簡単に仕上げられます。設定画に近づけるには一部塗り分けが必要になりますが、レベルアップするのにはちょうどよいと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

■塗装
白=ニュートラルグレーI
濃紺=コバルトブルー+インディーブルー+ウイノーブラック
赤=MSレッド+モンザレッド
黄=黄橙色
灰=メカサフ スーパーヘヴィ

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ENTRY GRADE”

RX-93 νガンダム

製作・文/哀川和彦

ENTRY GRADE νガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●1100円、発売中●1/144、約15cm●プラキット

©創通・サンライズ

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哀川和彦(アイカワカズヒコ)

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