【粋塗装特集】ジャパネクスカラーを使用して「バンイップ・ブーメラン」を和紙のように仕上げる
2022.02.09和・ブーメラン【BANDAI SPIRITS 1/72】 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)
ターナーが展開するアクリルガッシュの中でもさらに伝統的な「日本」を感じさせる色調と質感を持つ「ジャパネクスカラー」。こちらを使用して、塗装面を和紙のような質感に仕上げていく。使用キットには『境界戦機』のHG 1/72 バンイップ・ブーメランをチョイス。せっかく和紙のような質感にしているので、キットをキャンバスに見立てて、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を描いてさらに“和”の雰囲気を高めている。
①使用するツール・マテリアル
主に使用するツールとマテリアルを紹介。メインの塗装にはスポンジとジャパネクスカラーを使用する。
②ジャパネクスカラーの塗膜強度を検証
ジャパネクスカラーをプラスチックに塗装したときにどのくらいの塗膜強度があるのか検証する。
③和紙のような質感を表現する
今回のメイン工程となる胴体を塗装していく。おおまかには下地塗装→ベース塗装→絵を描く、という流れになる。
④胴体以外の面も活用する
胴体の塗装が完成したので、ほかに活用できる面があればそちらにも塗装を施し全体的に和の雰囲気を盛り込んでいく。
⑤遊び心も盛り込む
完成!
ジャパネクスカラーによる和の塗装表現を取り入れたHG 1/72 バンイップ・ブーメランが完成。和紙のような質感の下地塗装に手描きの「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と和柄の雰囲気が絶妙にマッチしている。
■バンイップ・ブーメラン
『境界戦機』に登場するオセアニア連合軍が使用する「バンイップ・ブーメラン』の作例を担当しましたえめす@ifritと申します。よろしくお願いします!
■デザイン
バンイップ・ブーメランに和の表現を盛り込むというお題をいただき、どのように塗装にするか悩みましたが、『境界戦機』の舞台が日本なので“和”の雰囲気を代表する葛飾北斎デザインを組み込んでみようと考え、広い面積を活かして思いっきり筆を走らせてみました!
■独特なパーツの質感
パーツの下地塗装にはターナーのアクリルガッシュのジャパネスクカラーという絵具を使用。パテを使った鋳造表現とはまた違った柔らかな和紙のような質感を、スポンジを使った塗装で簡単に作ることができます。本来プラモデルに使う塗料ではないのですが、落ち着いた感じが素敵だったので応用しています。北斎ブルーとも呼ばれるベロ藍こと「紺青」を表現するために、ジャパネスクカラーの紺青を使用してみました。
■神奈川沖浪裏
おそれ多くも「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を、一番広い面となる胴体上面に描いてみました。パーツに絵全体は描き切れないので、3分割法を用いて富士山や波が一番引き立って見えるように構成しています。
■その他の模様
全体に合わせるように左右の機関砲と右ヒザ上面に北斎がデザインした「新形小紋帳」を参考に「輪違い麻の葉」と、跳躍移動するバンイップ・ブーメランに合わせて「ウサギ」も描いてみました。ヒザ側面には波の青色に合わせるように和柄の「流水紋」を、全体の色にメリハリを付けるため腕に赤色の「梅」とそれを追いかける自律思考型AI「ガイ」を描いて、遊び心を取り入れてみました。
■使用塗料
青色=紺青
和紙=香色
水色=カルガー・ブルー
白色=コラックス・ホワイト
赤色=イービル・サンズ・スカーレット+コラックス・ホワイト
装甲=ニュートラルグレーIV
金色=Ex-ゴールド
■あとがき
アクリルガッシュをスポンジで塗装するという変わった発想を突き詰めてみました。塗料の乾燥時間も短く、溶剤の匂いもないので手軽に扱えて、模様や絵を描く際にも表面がデコボコなので、筆ムラや線の歪みもあまり気にならずに筆塗りが簡単に楽しく感じると思います。ぜひ参考にしてみてください!
BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット “ハイグレード”バンイップ・ブーメラン 使用
和・ブーメラン
製作・文/えめす@ifrit
HG 1/72 バンイップ・ブーメラン
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2640円、2021年10月発売●1/72、約14cm●プラキット
©2021 SUNRISE BEYOND INC.
えめす@ifrit(エメスイフリート)
和柄を用いた作品や柔らかな雰囲気を持つ作品など、独特な塗装表現を得意とする。