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【粋塗装特集】オラザク受賞者自ら解説! 徹底的な砥ぎ出しで再現する理想の輪郭線

2022.02.05

NUMBER 51【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)

NUMBER 51 トップ画

 “塗装面を削り輪郭線を浮き上がらせる”という斬新な技法で、第24回全日本オラザク選手権[ガンプラ部門]金賞に輝いたsawa氏。ここでは受賞作「ライバルは1/60だ!」(HG ドム使用)と同様の塗装による「NUMBER 51」をピックアップ。製作モチーフはあの球界スターのイチロー元選手だ。多くの審査員をうならせたsawa氏自らの解説で新表現をご覧いただこう。

NUMBER 51 ホームラン宣言 後ろ
NUMBER 51 ホームラン宣言 前

①失敗を経て辿りついた全身を研磨するという逆転の発想

砥ぎ出しによる総仕上げのはじまり

 僕は以前からカーモデルなどで用いられる「研ぎ出し」技法が好きで、ガンプラ製作にも取り入れていました。ただ地球連邦軍の機体など角の多いデザインはどうしても難易度が高く、細心の注意を払って研磨してもエッジ部分が剥げるといったミスが生じることがあります。ミスした部分はそのまま放置するわけにもいかず、該当箇所の輪郭線全体を磨いて誤魔化そうとしたところ、想定外にカッコ良く見えました。そこから輪郭線の研磨をあえて全体に施す表現に至ったというわけです。(解説/sawa)

NUMBER 51
▲頭部はHG RX-78-2 ガンダム Ver.G30thをベースに、劇版三部作のポスターを理想として仕上げている。また、リアアーマーは3パーツに分割済み。可動域を設け太モモへのアーマーの干渉(色剥げ)を回避している
NUMBER 51 上部アップ
▲胸部はプラ板で幅増しシルエットを変更している
NUMBER 51 エルボーガード
▲エルボーガードは実物を基に新造。バンド紐のあまりも忠実に再現した

COLUMN 
配色イメージの具体化

NUMBER 51 配色イメージ図
▲去る2018年、イチロー選手のマリナーズ復帰に触発され製作開始となった本作。鮮やかなターコイズブルーはオープン戦を中心に着用していたイチロー選手のユニフォーム姿をモデルにしているという

②「デリケートチッピング」と名付けた輪郭線表現

途切れない極細の線表現で面構成にメリハリを出す。

 大まかに言うと下地色として最初に黒を仕込んでおき、その上に表現したい色(メインカラー)を乗せていきます。乾燥後、紙ヤスリなどで輪郭線上のメインカラーだけを研磨して除去します。これで下地が顔を出し、結果「線」に見えるという仕組みです。この技法ではひたすら均一で途切れない「極細の線表現」を目指しています。面の構成にメリハリが出せる反面、リカバリーが難しく僕は「デリケートチッピング」と呼んでいます。

胸部 砥ぎ出し
▲砥ぎ出しで下地の黒が「線」のように露出(右)。エッジを均一に残すには根気よく丁寧に研磨することが必須となる
NUMBER 51 胸部アップ
NUMBER 51 ホームラン宣言 横

COLUMN 
5回の下地処理がすべてを決める

 下地処理のヤスリがけ(エッジ出し)によって精度が大きく異なるデリケートチッピング。本技法においてもっとも重要な作業工程を、ヒザパーツを例に見ていこう。

①最初はエッジだけをなぞるように黒を吹きつけ、ある程度染まったら全体に吹きつける。パーツを回しながら、手数多く吹くのがコツ(面の中央部は多少黒が透けていてもOK)
②次に光沢が出るぐらいクリアーを吹き重ねる。二度吹きしたクリアー層が保護膜化。クリアーは研ぎ出し専用でなくても問題ない
③エッジを再度先鋭化させるため「中研ぎ」を行う。エッジだけ光沢のある状態が理想的だ
④黒立ち上げのグラデーション塗装の要領で徐々に白を乗せていく。エッジになるべく塗料を乗せないよう吹いていく
⑤最後はエッジだけを撫でるように研磨。一概には言えないが主に2000番ぐらいの紙ヤスリをメインに使用。写真は完成した状態のものだが、実際には「4」で一度、エッジ研磨を挟み合計2セット研磨している。 状態によりさらにエッジ研磨を増やす場合もある

ヒザ 工程
▲0は無塗装の比較用パーツ。1、2、3、4、5は砥ぎ出しの過程を順に並べていったものだ
ヒザ 完成

完成!

 RX-78-2 ガンダムの全身を砥ぎ出しブラッシュアップ。5回にわたる砥ぎ出しと拭き取りで輪郭線を表現し、直線的なラインを一層際立たせている。気を抜けば努力が水の泡となる技法ゆえか、マウンドに立つ選手のようにどこか厳かな雰囲気をまとう一作となった。

NUMBER 51 ホームラン宣言
NUMBER 51 後ろ
▲バッティンググローブ(ハンドパーツ)、リストバンド、スパイクもユニフォームと同様に実物のモチーフ合わせで塗装
ICHIRO ランドセル
▲「ICHIRO」の表示が凝ったランドセル。写真にはないが、パーツ差し替えで2018年序盤の安打数「3089」が表示可能
ランドセル 砥ぎ出し
▲右は砥ぎ出し済みパーツ。製作途中ながら一気に造形が引き締まった
ランドセル 下
▲ランドセルの下には「51」の背番号を再現

 エッジラインの「対極」に相当する「線」を仮に定義するならば、いわゆる「スジ彫り」、モールド、パネルラインといった言葉で表現されるような凹部の線になると思います。折り紙で例えると「山折り線」がエッジラインで、「谷折り線」がスジ彫りであると、ざっくりと解釈しています。メジャーなスジ彫りに対し、模型製作における「山折り線」=エッジラインの表現方法の裾野はあまり広がっていないなあ、と考えるのは屁理屈? でしょうか(笑)。スミ入れを丁寧に施して完璧に仕上げたとしても僕にはいつも物足りなく感じました。全身のあらゆるラインに「線」(アニメ線)が存在しているガンダムが僕にとっての標準、現実なのです。山折りのエッジにも線が表現されて初めて「完成」だと受けいられるのが僕の理想であり、今やそれが製作の原動力になっています。

■サーフェイサーは使わないのか?
 エッジライン周辺にはサフが乗っていないほうが望ましいと考えています。僕は塗料の食い付きを向上させる意味で、最初の塗装(黒)を強めのシンナーで希釈することにより、サフの役割の一部を補っています。

■クリアーは砥ぎ出し用のほうが、剥げにくそうだが?
 研ぎ出し用だと硬すぎて、明らかに作業効率が落ちます。普通のクリアーでも一般的なソリッドカラーに比べるとはるかに塗膜は硬いので充分です。

■中研ぎの工程は省略できないのか?
 クリアーの使用量をギリギリまで減らして、層を薄くすることにより「中研ぎ」の工程を省略できます。しかし、さらにエッジが剥げやすくなりハイリスクです。

■エッジをシャープにするための、正確なヤスリがけを行うには?
 「当て木」の使用が必須だと思います。僕は自分が使いやすい当て木を自作したものを使っています。

■完全に塗装を終えてから、エッジ研磨を 一度で済ませられないのか?
 塗膜が厚くなるに従って研磨しても表面の色が落ちにくくなり時にはひび割れが生じます。こうなると、もう「ただのチッピング」です(笑)。理論的には、塗装の合間の研磨作業の回数を増やすほど、研磨しやすく、また精度の高いエッジラインを得られます。 


 今回はありがたいことに、この輪郭線の表現について語る場を設けていただきました。「こういったやり方もあるよ」と、みなさんが日々対峙している、さまざまな作業を向上させるための取っ掛かりにでもなれば幸いです。

NUMBER 51

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレードユニバーサルセンチュリー”RX-78-2 ガンダム使用

NUMBER 51

製作・文/sawa

HG RX-78-2 ガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●1100円、2015年7月発売●1/144、約18cm●プラキット

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©創通・サンライズ

sawa(サワ)

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