【粋塗装特集】「シャア専用ザクII」を甲冑風に塗る
2022.02.03MS-06S シャア専用ザクII【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)
MGザクIIを使用したちょっと特殊な作例をお届けしよう。こちらは塗装を駆使してシャア専用ザクIIを「甲冑風」に仕上げるというなかなかの難題。本作例を担当したまつおーじは、自身が得意とするキャンディ塗装の技法を駆使して漆塗りのような艶やかで深みのある色合いを塗装で表現。形状的な変化はないが「和」の雰囲気が漂う重厚感のあるザクIIを完成させた。
漆塗り風キャンディ塗装のススメ
「和」らしさを押し出すべく塗装で漆塗りの風味を表現。その手順を紹介しよう。
COLUMN
失敗しても大丈夫
キャンディ塗装は繊細な作業。少しのホコリやミスが仕上がりに大きく影響してしまうが、多少のミスは削ってしまえば大丈夫。ヤスリやコンパウンドで磨いてクリアーカラーを吹けばリカバー可能だ
完成!
■難しい…
今回のお題はMGシャア専用ザクIIを和の甲冑のように仕上げてください、ということでした。参考写真もいただいて引き受けたものの、さてどうしようか。甲冑といってもいろいろな種類があるためどう表現するかめちゃめちゃ悩みましたが、私の中では漆塗りに金縁というイメージが強かったので大まかに装甲はツヤ有りで金縁、フレームはツヤ消しにしようと決めました。塗装がメインの作例ということで、今回は漆塗りの表現や金とのコントラストが肝になると考えました。
■塗っていくうちに
工作は胴体の装甲に金縁を入れるためのスジ彫りを施して、あとはゲート処理と若干の表面処理程度です。
さて、メインの塗装について。まずは「漆塗りとは?」というところから考えます。漆は樹液で塗り重ねて色の深みやツヤをコントロールしていますよね。あれ? これって何かに似てる気が…。キャンディ塗装と同じだ! とはいえ単なるキャンディ塗装では漆っぽくはならないので、キャンディ塗装の手法を使いつつ色をメタリックではなくソリッドカラーを塗り、上塗りを茶色や黄色などの樹液っぽい色でコートすることにしました。
果たして上手くいくのか? と思いながら始めましたが、実際塗ってみるとこれがなかなか面白く、下地の色をクリアーカラーでフィルタリングしたことで反射光の色が変わるといいますか、なかなか面白い感じになりました。誌面で伝わればいいのですが…。
■塗装レシピ
具体的にはサフを吹いた後、
・黒部分はアルティメットブラックの上にクリアーブラウン。
・胴の濃い赤はローズディープレッドにクリアーイエロー。黄色に振り過ぎて茶色くなったのでさらにクリアーレッドで赤味を追加。
・朱色はプレミアムレッドにクリアーイエロー。
をそれぞれ重ねています。まずまず漆感は出たんじゃないでしょうか。
当初盾は赤、スパイク・アーマーは黒と決めて塗っていたのですがどうもしっくりこず、盾に黒を塗ってみたところめちゃめちゃいい感じの色味で斑もいい具合。こ、これだ! ということで即採用。プレミアムレッドにクリアーイエロー、薄めた黒で斑をつけてクリアーイエローでさらにコート。うん、いい感じ。もうこの盾が塗れただけで満足ですw。
金縁はグリーンスタッフワールドさんの金のピグメントをエナメルクリアーに混ぜて塗っています。
■いかがでしたでしょうか
甲冑というより漆塗りにこだわってしまった感が否めませんが、なかなか面白い表現ができたのではないでしょうか。
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレード” シャア専用ザク Ver.2.0使用
MS-06S シャア専用ザクII
製作・文/まつおーじ(firstAge)
MG MS-06S シャア専用ザク Ver.2.0
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●3850円、2007年5月発売●1/100、約18cm●プラキット
ⓒ創通・サンライズ
まつおーじ(firstAge)
あけましておめでとうございます! 2022年はどんな出会いがあるのか楽しみです。本年も応援よろしくお願いいたします。