HGUCザクII で川口名人の「伝説のディオラマ」をトリビュート【コジマ大隊長】
2022.01.22ジャブローを目指せ2021【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年2月号(12月25日発売)
川口名人が手掛けた伝説のディオラマを最新キットでトリビュート
2021年12月ついに発売を迎えた最新版HGザクII。キットは2020年のシャア専用ザクIIをベースにしつつ、アンテナ無しの頭部と量産機のランドセルを新規造形で再現。ザクIIプラキットの新たなスタンダードといえる本アイテムでなにか面白いことをできないかと考えたところ、「HOW TO BUILD GUNDAM」(小社刊)にて川口克己氏が発表したザクIIを主役とした伝説のディオラマ作品をトリビュートするのはどうかという結論に至った。
基のディオラマは湿地帯の表現をテーマに、ジャブローを目指す2機の重装備のザクIIを表現した一作。今回の作品にあたり白羽の矢が立ったのは月刊ホビージャパンにて数々のディオラマ作品を手掛けてきたコジマ大隊長。最新キット&最新マテリアルを駆使し、基の作品に対しリスペクトを払いつつ進化版として完成させている。
■ジャブローを目指せ
1981年の「HOW TO BUILD GUNDAM」にて発表された川口名人こと川口克己氏の伝説的ディオラマ。これについてはもはや説明するまでもなく、ザクIIという汎用性に優れた機体があらゆる環境で活躍できるということを明確に表現し、映像の枠に囚われない情景模型を読者の意識に強く刷り込んだエポックメイキングな作品です。今回最新版HGザクIIでの作例オファーをいただき、現代の最新キット&マテリアル、そして進化した技術を駆使してこの名作の進化版を製作すべく、40年越しの挑戦をしました。
■ザクII
今回のザクIIは最新キットということで、関節の可動域とフォルムの両立が素晴らしい。今回はモノアイをより立体的に加工し、湿地戦用機体の記号で足首のシーリングの追加、ヒジ関節の後ハメ加工を施しただけで、ほぼキットのポテンシャルだけで勝負しました。
隊長機はキットのザク・バズーカとプラ材でランドセルにザク・マシンガンのマウントを増設、マガジンは腰にマウントしているようにプラ板で小改造して接着。キットのハンドパーツを切り離して指差しているように加工もしました。
“おか持ちザク”はさらにマゼラトップ砲、F2型のミサイル・ポッド3機分や自作クラッカーも装備させています。ミサイル・ポッドのマウントはF2とスネの形状が異なるため、エポパテを内側につけた状態でスネパーツに固定し、硬化後にはみ出しを削り取ることで安定感が増すようにしています。腰にマウントしている武装は真鍮線で合体させたものをマウントラッチに差し込むように固定しました。
特徴的な迷彩塗装はガイアノーツのダークイエローIをエアブラシで全体に吹いてから境界線に当たる部分をオリーブグリーンで筆塗りで描き、グリーン側を最後にエアブラシで塗りつぶす方法をとっています。シールドはエアブラシだけで塗り分けたので、両者の仕上げの違いも比較してみるのも面白いですね。
■湿地帯
地面はいつものようにスタイロフォームをニクロムカッターで切削して地形を造形。トミックスのシーナリープラスターに木工用ボンドと塗料を混ぜたものを塗布してから砂や草のパウダー系のマテリアルを撒き、そこからさらに立体的なマテリアルを配置していきます。テーマが湿地での情景なのですが、地形を作る段階で水没している部分とそうでない部分の高低差を明確にしているので、低地部分にはクリスタルレジンを流し込みます。この時役者は地面にしっかりと固定し、地面を掘って足がめり込んだ状態にすると、柔らかい地面に立っているような絵となりリアリティが増します。ディオラマの周囲は幅広のセロテープで囲ってレジンの流出を防ぎ24時間硬化時間を取りますが、この段階で葦のような水草はレジンに差しこんで一緒に硬化させています。水面は単調にならないようKATOの「ウォーターシステム さざ波」とジェルメディウムに珪石を混ぜて作った白波で表情付けを行いました。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレードユニバーサルセンチュリー”ザクII 使用
ジャブローを目指せ2021
ディオラマ製作・文/コジマ大隊長
HG ザクII
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●1760円、発売中●1/144、約13cm●プラキット
ⓒ創通・サンライズ
コジマ大隊長(コジマダイタイチョウ)
セミスクラッチやディテールアップ、ウェザリング塗装など、あらゆる手法に精通するベテラン。