「アメリカ駆逐戦車 M18 ヘルキャット」をディオラマ&最速レビュー【山田卓司】
2022.01.12俊足の駆逐戦車、M18を最速レビュー!
最高速度80km/hという優れた機動力と76mm砲の高火力で第2次世界大戦を戦いぬいた、アメリカ軍の駆逐戦車、M18がタミヤのMMシリーズに登場。突然の発売アナウンスに驚いたAFVファンも多いというこのM18、2022年1月8日に発売されたばかりの今回は、山田卓司による作例とともに、キットの見どころをご紹介していこう。
タミヤ ミリタリーミニチュアシリーズNo.376として、『M18ヘルキャット』がリリースされますので紹介させていただきます。
船底のような車体にスイングアームやサスペンションダンパー、アームが取り付けられた足周りはそれまでの大戦米軍車両と比べて複雑な印象ですが、可能な限りパーツの一体化が進められています。転輪はひと組だけパーツNo.が違っていてそれはなぜかと見てみると、履帯を組み付けるための切り欠きが設けられています。履帯は最近の直線部分を一体化した接着組み立て方式ですが、この転輪の切り欠きに履帯の突起が噛み合い、組み立てやすくなるように工夫されています。
起動輪、誘導輪はリムに穴があり、スライド型を使わない限り一体成型は不可能なので、どのようにパーツ化するのだろうと気になっていましたが、手前側/奥側で分割。かん合精度は高いので苦労はしませんが、よくパーツをチェックしながら接着し、合わせ目はキレイに消しておくと良いです。
砲塔上部が開いているオープントップのため、見える範囲で車内の床や隔壁、袖部の砲弾も少ないパーツでそれらしく再現されています。特に砲弾は真鍮素材の色が良いアクセントとなりますので、真鍮色を塗装した上でマスキングして組み立て、車体塗装すると良いです。
なお、車体下部、さらに履帯、起動輪、誘導輪、転輪の塗装は済ませてマスキングした後車体上部を組み立てました。少し面倒ですが、組み立ててしまうと車体各部に付いた泥汚れ、履帯や起動輪の刃の磨耗表現や転輪外周のゴム部分の塗り分け作業がしづらいので、私は塗装しながら組み立てています。
フェンダー前部はマーキングによって二種類用意されています。私は軽快なイメージのBタイプにしました。こちらは「ヘルキャット」のマークが可愛いですね。
車体上部は吸/排気グリルが素通しのメッシュ状になっているところが良いですね。排気グリル内側はマフラーと思われるディテールが有るので、ここのグリルパーツはマフラーの塗装が済むまで接着しないでおくと良いと思います。
車外装備品は塗装の便を考えて車体塗装、デカール貼りの後に取り付けることにしたのですが、ついでに3Dプリントの「MJ Miniatures」のパーツを使って取り付けベルトを追加しました。装備品の形によってはそのまま取り付けられないので、適宜3Dプリントパーツの一部をを切り取って使っています。
砲塔内側もパーツが多いことと一部塗り分けが必要なところがあるので、段取りをよく考えます。
特に旋回装置周りの一体化されたパーツは特筆すべき精度です。砲塔を車体に取り付けると、車内の旋回軸とピタリと合致するところはちょっと感動します。
デジタル造形ならではのキャンバスカバーの彫刻は素晴らしく、合わせ目をズレないようによくチェックしながら組み立てます。ここの合わせ目はカバーの縫い目でもあるので消す必要はありません。
車体組み立て&塗装が終わったらデカール貼付。一部モールドのせいで貼りづらい所はありますが、デカール軟化剤やタッチアップ塗装で補います。
砲塔側面にはラックが付いていて、戦場写真では装備品がたくさん取り付けられていますので、エポパテでシートを自作、取り付け。さらにタミヤ「連合軍アクセサリーセット」からザックやシート、ジェリ缶。「アメリカ戦車兵セット(ヨーロッパ戦線)」よりM2用弾薬箱。「アメリカ軍10in1レーション用カートン」など荷物を載せました。
砲塔上部にあるアーム(E20)はウェルドラインが出づらいようにランナー配置されているのですが、折れやすいので念のため最後に取り付けることにしました。が、やはり不注意で折ってしまい、真鍮線に替えました。
ライトはレンズ部が透明パーツなので完成直前にライト内側をGSIクレオスのガンダムマーカーのメッキシルバーで塗装。その後にレンズをクリアボンドで接着しています。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
アメリカ駆逐戦車 M18 ヘルキャット
製作・文/山田卓司
アメリカ駆逐戦車 M18 ヘルキャット
●発売元/タミヤ●4180円、発売中●1/35、約19.2cm●プラキット
山田卓司
本誌ライター歴43年のご存じ”情景王”。キャラクターキットからスケールキットまで幅広いジャンルで作品を
発表し続ける。