陸上自衛隊 3 1/2t トラック【國谷忠伸】
2022.01.101/72スケールで自衛隊車両を精力的にリリースしてきた青島文化教材社がついにAFVの本丸、1/35スケールに進出。しかもその第1弾が3トン半の呼び名で親しまれている3 1/2tトラックという、従来の自衛隊キットの弱点であったソフトスキンの枠を埋めてくれる絶妙なチョイス。これを喜んだ自衛隊ファンは多いのではないだろうか。今回はそんな3トン半を國谷忠伸が製作。今後自衛隊をテーマにしたディオラマの常連になること確実のキットの全貌をじっくりご覧いただこう。
筆者の地元では市中で比較的よく見かける車両ですし、災害があった時には大変お世話になりました。神奈川県藤沢市にあるいすゞプラザでは、少々仕様が違いますが実車が常設展示されています。
■キットについて
プロポーション、ディテールともに良好です。シャシーはステアリングや後部トラニオンボギー式サスペンションが可動して実物の構造を理解しやすいのと、情景などで表情をつけるのに便利な内容になっています。
一方でパーツの取り付けピンが曖昧だったりそもそもなかったりと、位置決めに注意が必要な部分があります。また目立つ位置にある部品の省略などもあるので、製作前にどう仕上げるのかを検討しておくといいでしょう。今回は基本的には素直に組みつつ、目立つ省略部分だけディテールアップしてみました。
■シャシーの製作
説明書の表記が頻繁に上下逆転するのでよく確認して進めましょう。後部反射板のデカールの向きは説明書冒頭の塗装参考図が正解なので注意です。後輪車軸を通すデフケースはトルクロッドをはめ込む部分に負荷がかかるのでガッチリと接着するのが重要です。
省略されている配線配管の追加には焼きなまして柔らかくした真鍮線が便利です。また、左側面につくスペアタイヤと燃料タンクのクリアランスがややシビアなので注意しましょう。タイヤブラケットだけを先に接着するとタイヤが収まらなくなる場合があります。燃料タンク前方にキャビンを上げるキャブチルト機構があるのですが省略されているので適当にプラ材ででっちあげています。作る場合はフロントフェンダーと干渉しないように大きさや位置関係に注意しましょう。
■キャビンと荷台の製作
キャビンのフロントガラスは先に天井の幌に接着するように指示されていますが、そちらではなくキャビン側に接着すると後で幌だけ外すことが可能になります。筆者は気付くのが遅れてしまい外せなくなってしまいました。
災害派遣表示は薄いプラ板を熱して表情をつけたものにデカールを貼りました。4隅に穴を開け糸で固定しています。車体への固定方法は資料写真を参考にしました。幌も同様にグロメットを開孔して糸で固定ロープを再現しています。後で知ったのですが糸の毛羽立ちが気になるときは糸用のワックスを使うといいようです。ロープもOD色がほとんどですが希に白色の例もあるようなので、模型的なアクセントとして生成りの糸を使用しました。
■塗装
主にタミヤアクリルを使用。車体色は陸自用OD色と濃緑色から混色し、シャシーはブラックのツヤ違いを使い分けています。実車は比較的きれいな車両を多く見かけるのでウェザリングはほとんどせずに仕上げました。
青島文化教材社 1/35スケール プラスチックキット
3 1/2tトラック(SKW-477)
製作・文/國谷忠伸
陸上自衛隊 3 1/2tトラック(3トン半)
●発売元/青島文化教材社●7480円、発売中●1/35、約20.5cm●プラキット
いすゞ自動車商品化許諾済
國谷忠伸(クニヤタダノブ)
2021年11月5日に発売したムック本「スーパーカブで遊ぶ」で、美女とキャンプツーリングしたりしています。よかったらこちらもよろしくお願いします。