HOME記事キャラクターモデル【ファイブスター物語 作例】オージェ・アルスキュル【桜井信之】令和に蘇るアトロポスの勇姿

【ファイブスター物語 作例】オージェ・アルスキュル【桜井信之】
令和に蘇るアトロポスの勇姿

2021.12.30

オージェ・アルスキュル【ボークス 1/100】 月刊ホビージャパン2022年2月号(12月25日発売)

ファイブスター物語ロゴ
オージェ・アルスキュル
特撮

塗装と艶で魅せる美しきモーターヘッド(MH)

 早くも1次発売が完売となり2次生産分の予約がスタートしたIMS「オージェ・アルスキュル」。年末年始は再販品も含めて『ファイブスター物語』(F.S.S.)キット製作で楽しむという方も多いことだろう。もちろん今後手に入れる予定だという方も含めたすべての『F.S.S.』ファンへ! 今回の作例は月刊ホビージャパンでもさまざまな製作技法を伝えてきた桜井信之が担当。作例ではクリアー層を研ぎだし、薄いクリアー層を幾重にも重ねることで陶器のような質感を表現。製作技法の伝道師、その技量をご堪能あれ。

オージェ・アルスキュル
FRONT

▲︎FRONT

オージェ・アルスキュル
頭部アップ
▲月刊ニュータイプ(KADOKAWA刊)にて掲載されたチンガードが付いた頭部デザインも差し替えにて再現
オージェ・アルスキュル
蛇腹部アップ
▲︎独特のフレーム塗装が光る蛇腹部分。本体の白、ポイント色の朱とも良く絡み、スネのパールバイオレット、「アクティブ・バインダー(オージェ・バインダー)」や腰アーマーの銀、ふくらはぎのプリズムブルーブラックとも差別化するため、パールホワイト5・パールブルー4、パールレッド1の混色パールを塗装後、彩度と輝度を落とすためクリアーブラックを2コートし落ち着いたメタリック色にしている
肩部「アクティブ・バインダー」基部アップ
肩部「アクティブ・バインダー」基部スライド展開アップ

▲肩部「アクティブ・バインダー」基部。スライド展開する装甲は塗装の剥がれを考慮して片方の突起を削っている

オージェ・アルスキュル
REAR

▲︎REAR

アクティブ・バインダー
▲︎「アクティブ・バインダー」。誌面での印刷映えを考え、バインダーを含めシルバーは上品なしっとり系の銀ではなく、粒子の大きいガイアカラー・スターブライトシルバーを使用。部分的にMr.カラー・シャインシルバーを“キャッチライトが入るであろう”箇所にスポット吹きをしている。今回はあえてメッキ調シルバーの使用は見送っている

「アパッチ」との熾烈な戦闘の最中「アクティブ・バインダー」を脱ぎ捨て両者の死闘は激しさを増す

アクティブ・バインダーはずし
FRONT

▲︎FRONT

腕部表アップ
腕部裏アップ

▲︎装甲の隙間からちらりと覗くフレームが楽しませてくれる腕部。しなやかな指先まで気を抜かない仕上がりが見事だ

光剣と実剣
▲光剣︎(上)と実剣(下)。実剣は刀身を磨くことで輝きを与えている
アクティブ・バインダーはずし
REAR

▲︎REAR

スネ部アップ
▲︎スネ部装甲は一見“紫”に見えない程度のパールバイオレットで塗装。「シュぺルター」と姉妹機である点をこの色に込めている。パールホワイト6、パールパープル3、パールブルー1で混色して吹いている。なお脚部ランダムスレートは開閉選択式
ふくらはぎアップ
▲ふくらはぎの装甲はフレーム色との差を出すために、ガイアカラー・プリズムブルーブラックを選択。この向こうに「イレイザーエンジン」が入っていることを考え、MH的な“焼け表現”を偏光カラーで表現
キット素組みとの比較
▲キット素組み(左)との比較。アイボリーの成型色からクールなホワイトになったことで一味違ったイメージとなっている

 月刊ホビージャパンでは初めてF.S.S.・IMSシリーズの作例を担当させていただきます。まさか 月刊ホビージャパン から作例依頼がくるとはこの上なき光栄です。さて、テストショットが送られてきたので、早速パチパチと仮組みしていきます。まず気付いたのが基本設計の目新しさです。従来のIMS・MHの場合、ボディ(胸部)に肩部・上腕と前腕を組み合わせる設計ですが、本キットの場合、肩から胸部・腹部までが一体化した基本パーツに、各種ディテールを組み合わせていく新たな設計。これだけ大きく重い「アクティブ・バインダー」を保持させるための対策だということがすぐ理解できます。これは90年代、「オージェ・アルスキュル」デザインが発表された直後から何度もレジンキットとして立体化し、蓄積されたノウハウから考え出された物でしょう。僕自身、同社の「オージェ・アルスキュル」は「SUPER SPIRITS SERIES」、「Mechanical Moving Series」、「HIGH-SPEC GARAGE KIT」と3種類の1/100キットを組んでおり、この巨大な「アクティブ・バインダー」の保持が最大の注意点だったのですが、仮組みしての第一印象は『オージェキット史上、NO.1の安定感』だと確信いたしました。とはいえ上腕の可動域も充分なので、ポージングには何の問題もありません。加えて3枚のバインダーは1パーツで成型されている点も大正解でしょう。「HIGH-SPEC GARAGE KIT」から採用されたこの方式は、それぞれのバインダー角度が揃わず、あの美しいラインが乱れるという絶対に避けたい現象を、いとも簡単で大胆に解決した発明品とも言える設計です。未体験の人には『何で一体なんだ?』と思われるかもしれませんが、実際に組んでみると大正解なことが伝わると思います。なぜならバインダーパーツをきれいに一体化させるより、表情を付けるために分割する方が簡単だからです。正直、塗装を始めるまでの工作工程はこれまでのIMSのどのキットよりも早く組み上がりました。これも重要な点で、組み立てに労力がかかり過ぎると、塗装工程でもモチベーションが保てません。精神的に“ほぼ無傷”で塗装工程に移行出来るということは、余った体力と精神力のすべて“輝かせるための作業”に投入出来るのです。というわけで基本塗装終了クリアーを3回コートし中砥ぎ、その後薄めに溶いたクリアーを1日の朝と晩に2コート。これを4日間繰り返し最後に7000・9800番のコンパウンドで2段階磨いています。塗装はオフィシャルの完成品との違いを出すため、暖色アイボリーではなく、あえてクールホワイトで塗装。『ミラージュマシンはやっぱりホワイトが似合うはず!』を信じて塗装しましたが、良い感じに纏まったと思います。
 最後に今回、星団最強の伝説のカメラマンに撮影していただきました。憧れの方だったのでまたひとつ夢が叶いました。生きていると良いことってあるもんだね(笑)。では。

オージェ・アルスキュル

ボークス 1/100スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”

オージェ・アルスキュル

製作・文/桜井信之

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桜井信之(サクライ ノブユキ)

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