【0083特集】胴体のバランス変更を軸に全体的な印象を変えるRX-78 GP01-Fb ガンダム試作1号機 フルバーニアン【NAOKI】
2022.01.05RX-78 GP01-Fb ガンダム試作1号機 フルバーニアン【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年2月号(12月25日発売)
宿命の対決
コンペイトウで行われていた地球連邦軍の観艦式を襲った核の火は、瞬く間に地球連邦軍艦隊を飲み込んだ。
ガトーがガンダム試作2号機の核装備を解除し、艦隊に戻ろうとしたその時、
コウのガンダム試作1号機 フルバーニアンが襲い掛かる。
ついにソロモンの海で、ガンダム対ガンダムの宿命の対決が始まる。
シーマ艦隊との会戦で大破したガンダム試作1号機は、月面都市フォン・ブラウンのアナハイム・エレクトロニクス社の工場で修理と、宇宙用装備への換装が行われた。ユニバーサル・ブースト・ポッドを装備したバックパック、全身各所に増設されたバーニア・スラスターにより、試作1号機 フルバーニアンに生まれ変わる。作例はNAOKIが担当。キットの素性の良さを活かし、最大限パーツの形状を尊重しつつ、胸部の小型化とそれを補強する形の腰、手足のボリュームアップで、より設定画や劇中イメージに近い、ボリュームのあるフルバーニアンを完成させた。
FRONT
SIDE
REAR
キットのパーツを活かしつつポイントを絞ってバランス変更
フルバーニアンを製作するにあたり、キットのトップヘビーな印象を和らげるべく、上半身の小型化、腕、腰アーマー延長、脚部のボリュームアップを中心に工作。設定画で受ける下半身にもしっかりボリュームのあるフルバーニアンを目指している。
さて、今回は『0083』特集ということで、MG ガンダム試作1号機 フルバーニアンを製作。MGシリーズ極初期のキットですが、1/100での初プラキット化、コア・ファイターII変形/収納完全再現、陸戦→フルバーニアンへの換装などのトピックに加え、何より本キット用にカトキハジメ氏が描き下ろした画稿を元に、メカニックとして説得力の増したアレンジが効いていてカッコいいです。これまでに何度作ったことか! そんな素性の良い本キットを今なりにアップデートしてみました。それでは各部解説です。
■頭部
まずマスク部分を塗装しやすいよう、ヘルメットの分割ラインを変更して後ハメできるようにしています。主な形状変更は、・トサカを後方へ延長しつつアウトラインをポリパテで変更・頬当てをツインアイの横あたりを中心にライン変更・マスク取り付け位置を若干前方に移動・アゴを削り込んで小型化・アンテナをジャンクパーツで新造、などです。基本的な形状はとても好きなので、なるべくキットの良さを活かす方向で修正を加えています。
■胴体
コア・ファイターIIのギミックはオミットする方向で胸部幅を調整。キットパーツの側面をカットして左右幅を詰めてプラ板で新造。中央ブロックは張り出しを抑える形で取り付け位置を調整。胸部を小型化しています。逆に肩のセンサーや襟は大型化して、相対的に胸を小さく見せるようにしています。そして、どうせギミックをオミットするならと、首、腕の付け根は胴体側にボールジョイント受けを仕込んで可動部を新造、可動範囲の拡大を図っています。
股間ブロックは下方に延長。フロントアーマーは中央で3mm延長。サイドアーマーは上下を切り離して下方を延長。リアアーマーは2mm延長。一連の工作は胸部を小さく、腰部は大きくすることで、胴体のバランスイメージを変更するのが目的です。
胸部リバース・スラスターは、選択式のカバーを磁石での取り付け式にして再現しています。
■腕部
肩内部の取り付けフレームは腕を胴体に寄せるために受け側を削り込んでいます。上腕は貧弱に見えるので外側をボリュームアップ。前腕は2mm延長したうえに、袖口を3mm延長。設定画に見られるように内側に向けて角度を付けています。拳はMGガンダムダブルエックスのものを流用しています。
■脚部
今回一番印象を変更した箇所です。まず腰部への接続ですが、キットは時代を感じさせる一軸ボールジョイント接続で、可動範囲が狭いです。そこで、MGジム・スナイパーIIの股間軸と太モモ上部ブロックを移植しています。必要以上に可動範囲を拡大させるのが意図ではないのですが、立ちポーズのちょっとした表情付けなどにも有効です。
太モモは細いので外装をプラ板で計2mm幅増し。ふくらはぎは左右外側外装を裾に近い箇所で延長しています。
靴部は陸戦のものにスリッパを履かせるという設定の構造を再現しており、キットの特徴的な部分ですが、個人的なフルバーニアンの印象は設定画や劇中で見られるように、大型化したふくらはぎから生える細く長い靴で構成されるシルエットなのです。そこで陸戦のソールパーツはキットのものを大幅に幅詰めして使用。追加のソールパーツはプラ板で新造して、細く長いスリッパを再現しています。
■その他
シールドは構造上腕を90度回転させないと身体の横で構えられないので、MGジム・スナイパーIIのシールドより、取り付け部を移植して先述の問題を解消しています。
最新のキットに比べると当然見劣りする部分はありますが、形状自体はカッコいいですし、適度にシンプルな構造ゆえに手も入れやすいです。ストレスフリーな最新キットもよいですが、このぐらいの時期のキットに手を入れて、心ゆくまで理想のプロポーションを追求するのも楽しいです。それではまた!
■カラーリングデータ
本体白1=ニュートラルホワイト(NAZCA)
本体白2=スチールホワイト(NAZCA)
本体青=コバルトバイオレット(NAZCA)
本体赤=フレイムレッド(NAZCA)
関節色1=メカサフ ヘヴィ(NAZCA)
関節色2=シナイグレー1(モデルカステン)
センサー類=プリズムブルーグリーン(ガイアノーツ)
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット“マスターグレード”
RX-78 GP01-Fb ガンダム試作1号機 フルバーニアン
製作・文/NAOKI
ⓒ創通・サンライズ
NAOKI(ナオキ)
メカニックデザイン、造形、造形プロデュースなどさまざまフィールドで活躍するマルチクリエイター。