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【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック ミキシング編】
パーツ盛りミキシング HGガンダムAGE FX×HGトランジェントガンダム

2021.12.12

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック ミキシング編 月刊ホビージャパン2022年1月号(11月25日発売)

【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック ミキシング編】パーツ盛りミキシング HGガンダムAGE FX×HGトランジェントガンダム

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。今回のテーマは「パーツ盛りミキシング」。ガンダムAGE-FXにトランジェントガンダムのパーツを盛りつけて、組み替えとはまた少し異なる「盛る」というスタイルのミキシングを学んでみましょう!

講師/林哲平

※本作は名称含めて模型オリジナルのものであり、サンライズ公式設定とは異なります。予めご了承ください。


パーツを盛ってみよう

ガンダムAGE-FXとトランジェントガンダム
▲ガンダムAGE-FX(以下FX)とトランジェントガンダム(以下トランジェント)、個人的に海老川兼武氏のデザインしたMSの中でも特に印象深いデザインの2機です。トランジェントの装甲をFXに装着していく方向性でパーツ盛りミキシングを学んでみましょう
FX
Cファンネルすべて外し
▲FXはCファンネルを全身に装着した遠距離攻撃主体のMSです。今回は外装にパーツを盛るということもあり、突き出たCファンネルと干渉してしまうのですべて外し、元機体の方向性とは逆の格闘戦主体MSとしてカスタムしていきます。カスタムするときは元の機体の特性を伸ばすか、それとも逆に振るかを考えると方向性を考えやすく、説得力のあるMSにしやすいですよ
トランジェントの肩アーマーをFXの両肩に両面テープで貼りつけ
▲さっそく外装を組みつけて案を練っていきましょう。最初はトランジェントの特徴的なパーツである肩アーマーをFXの両肩に両面テープで貼りつけます。内側のダボなどがパーツに干渉してピッタリくっつきませんが、この段階では加工はせず、そのままくっつけてください。いきなり加工すると試行錯誤しているうちにもっといい組み合わせを見つけたとき、やり直しが効かなくなることが多いです
トランジェントの肩アーマーを合わせた状態
▲トランジェントの肩アーマーを合わせた状態。肩アーマーはシルエットを大きく変える部分ながら、他の部分と干渉しにくいので変更しても可動やギミックにあまり支障が出ない部分です。内側から外側へと、斜めに突き出した鋭角的なラインの肩アーマーはわかりやすくカッコよさを強調してくれます。パーツを盛るときは肩アーマーから盛るのがオススメです
ヒザ
トランジェントのサイドアーマーを装着

▲ヒザもパーツを盛りやすい部分です。ここも可動やギミックに干渉しにくいので、比較的大きなパーツをつけても問題ないことが多いのです。ここにはトランジェントのサイドアーマーを装着してみました。Cファンネルがついた場合だと干渉してしまいますが、外しておけばこの通り。突き出たヒザアーマーで鋭角的なシルエットを強調すると格闘機らしい、攻撃的なスタイリングとなります

左肩にトランジェントのバックパックを大型剣に見立てて装着
▲海老川氏デザインの格闘機といえばダブルオーガンダム セブンソードのように、左肩に巨大な武器を装着するスタイルが抜群にカッコいいですよね。ここはトランジェントのバックパックを大型剣に見立てて装着してみましょう。ギミックなどは後から考えればいいので、パーツを盛っているときは自分の思い描く「カッコいい」を最優先してくっつけてみてください
腰にはトランジェントのGNパルチザンの先端部分をソードとして装着
▲腰にはガンダムエクシアのGNソードのように、トランジェントのGNパルチザンの先端部分をソードとして装着します。格闘機でビームサーベルなどではない、実体剣をもっているならば腰に武器をつけるとわかりやすくイメージを強調できますし、パーツを盛ってスタイルを強化することにも繋がります
基本的なパーツ盛りとスタイリングが決まった状態
▲基本的なパーツ盛りとスタイリングが決まった状態。肩と腰に着いた大型の実体剣により、ダブルオーガンダム セブンソードのような格闘機らしいスタイリングとなりました。パーツをチェックしたら両面テープを剥がし、本格的なパーツ加工と接着に移ります

パーツを加工して装着していこう

ヒザの加工
▲一番簡単なヒザの加工から始めてみましょう。トランジェントのサイドアーマー裏側にはポリキャップ接続部用の出っ張りがあり、そのまま接着すると浮いてしまうので荒切り用ニッパーで切り飛ばし、残ったはみ出し部分をデザインナイフでカットして接着面を平らに整えて接着面積を広げつつ、パーツをより密着しやすくしておきましょう
スチロール用接着剤を塗りガッチリと接着
ヒザ加工後

▲タミヤセメントなどの高粘度タイプのスチロール用接着剤を塗りガッチリと接着します。スチロール用接着剤はパーツ同士を溶かして融着させるため接着力が強力な上、瞬間接着剤のようにすぐに固まるわけではないので、微妙な位置決めが重要でズレて接着されてしまうと取り返しのつかないパーツを盛りつける接着には最適です。ただし、接着剤がはみ出してしまうとツヤ消しでごまかしても汚くなってしまうので、できるだけ接着剤がはみ出さないように塗る場所や接着剤のつけすぎには気をつけよう

内側のダボや出っ張りが大きく干渉
リブや出っ張りをナイフでさらに削り取り

▲続いて肩アーマーを装着します。合わせてみると、このように内側のダボや出っ張りが大きく干渉します。このようなパーツは削る部分が広くなるため慎重な作業が必要となります。先ほどのヒザアーマー同様に破壊用ニッパーで不要部分を切り取ってから、パーツをより密着させるために内側の細かなリブや出っ張りをナイフでさらに削り取ります。このような細かい部分のカットにはオルファのアートナイフプロ(曲線刃)が向いています。刃先が湾曲しているため、平面にわずかにはみ出した切り残しのリブなどをピンポイントで削り落とすことができるのです

トランジェントの肩アーマー内側の干渉部分を削り取った状態
▲トランジェントの肩アーマー内側の干渉部分を削り取った状態。未加工状態のものと比べてみると、いかに多くの部分を削っているかわかってもらえると思います。大きく削らなければいけない部分の改造には少し勇気が必要ですが、少しずつ加工すれば問題ありません。「パーツにものすごく大きなゲートがついている」ぐらいで作業すると気持ちが楽になりますよ
肩アーマーの完成状態
▲肩アーマーの完成状態。FXの肩にトランジェントの肩アーマーを被せ、上に空いた隙間はトランジェントのつま先を接着します。トランジェントのブルーはFXの腹部や後頭部のアンテナと同じ色なので、無塗装でも違和感なく組み合わせることができます
胸の中心
▲胸の中心というのは正面から見て非常に目立つ部分なので、ぜひともパーツを盛りたい部分です。トランジェントの胸は別パーツとなっており、そのままでもFXに装着できそうですが…。合わせてみるとFXの胸の出っ張りが干渉して合わず、そう簡単にはいかないようです
トランジェントの胸パーツを中心部でカット
▲そのままでは使えないのならば、パーツの形状を変えてみましょう。トランジェントの胸パーツを中心部でカット、中心部をニッパーやデザインナイフで切り取り、両側のクラビカルアンテナのみを使います。削り取った部分は多少凹凸がありますが、ツヤを消せばほとんど目立たなくなります
襟に配置
▲組み合わせを試したところ胸には合いませんでしたが、このように襟に配置すると00系ガンダムのクラビカルアンテナ風の配置となり、角度によってはガンダム系MSによく見られるバックパックのビームサーベルのようにも見えるので説得力とカッコよさを兼ね備えた配置となりました。なお、このような細いパーツは力をかけると外れやすいので、リアルタッチマーカーでスミ入れしてから接着します
肩内側の出っ張り部分を削り落とし
▲襟にアンテナをつけたところ、肩パーツと干渉して肩が上がらなくなってしまったので肩内側の出っ張り部分を削り落として対処します。ここは見えない部分ですし、こうすれば可動範囲も変わりません。パーツを足すと思わぬ部分に齟齬が出ることがあるので、そんなときは見えない、目立たない部分を削って調整するのがベストです
FXとトランジェントの頭部
▲FXとトランジェントの頭部。頭部はガンプラでもっとも目を惹く部分なので、どんな部分よりも最優先の改造ポイントです。ガンダムの頭部は小さいのでパーツを盛る場所は限られてくるのですが、一番オーソドックスかつ効果抜群なアンテナの増設をやってみましょう
トランジェントのアンテナをFXの頭部に接着
▲トランジェントのアンテナをFXの頭部に接着して4本ツノとします。ヒサシがFXのブルーからホワイトとなり、角度もFXよりも鋭角的になったことで目つきが鋭い格闘機らしい顔立ちとなりました。頬当ては胸上面に増加装甲として装着。ブルーの上にホワイトが入り、形状に加えカラーリング的にもいいアクセントとなりました

武器脱着ギミックを考えよう

GNドライヴをニッパーで切り落とし
▲外装は接着するだけでOKでしたが、ここからは手に持たせるために脱着が必要な武器の装着ギミックを考えていきましょう。まずはトランジェントのバックパックからです。そのままだとGNドライヴがついており、『ガンダムAGE』の世界観に合わないのでバッサリとニッパーで切り落とします
GNドライヴを切り取ってできた大きな空間をトランジェントのヒザと足首カバーを組み合わせ接着
▲GNドライヴを切り取ってできた大きな空間をトランジェントのヒザと足首カバーを組み合わせ、接着して塞ぎます。今回は『ガンダムAGE』の世界観に合わせてこのように改造していますが、デザイン的にはGNドライヴがついていてもそれほど違和感ないのでビルドカスタム的な方向性や「そのままでもカッコいい!」という人はここはそのままでも全然大丈夫ですよ
トランジェントのバックパックに3mm穴を開ける
▲トランジェントのバックパックに持ち手をつけ、実際に大型剣として振り回せるようにギミックを追加してみましょう。まずは持ち手を差し込むための3mm穴をこの位置に開けましょう。このような接続軸は外側から目立たない位置に開けるのがベストポジションです
GNパルチザンの下半分の柄クリアーパーツがつくほうの先端を3mm穴に差し込んで固定できるように調整
▲GNパルチザンの下半分の柄(パーツNO.B1)から持ち手を作ります。クリアーパーツがつくほうの先端をデザインナイフで削り、3mm穴に差し込んで固定できるように調整しましょう。削りすぎると緩く抜けやすくなってしまうので、そうなったときは瞬間接着剤で軸を太らせてください
軸を差し込んだ状態
▲軸を差し込んだ状態。持ち手がついたことで手に保持できるようになったので、ただの盛り用カッコいいパーツではなく、ギミックが組み込まれた意味のあるパーツとなりました。パーツを盛るときはそのパーツが装着されている意味まで考えて配置すると、より説得力の高い組み合わせとなります
ベースとなるCファンネル
トランジェントのバックパックを合わせてみて、接続方法を考える

▲トランジェントのバックパックを脱着可能にするための接続パーツを作りましょう。ベースとなるのは一番小さいCファンネル。サイズが小さいので自己主張することがありませんし、薄いので本体への密着感を損なうこともありません。トランジェントのバックパックを合わせてみて、接続方法を考えていきます

Cファンネルに軸打ちするためのアタリを描き込む
▲試行錯誤しているとCファンネルに軸打ちしてトランジェントのバックパックを保持するのが一番シンプルかつ楽な方法のようです。まずはCファンネルに軸打ちするためのアタリを描き込んでいきます。これを怠ると中心線がズレたり、変な位置になってしまうことが多いので必ず描き込んで位置をチェックしてください
Cファンネルにピンバイスで3mm穴を開ける
▲Cファンネルにピンバイスで3mm穴を開けます。クリアーパーツは硬く、いきなり3mmの穴を開けようとすると力がかかりすぎて割れてしまうので1、1.5、2と小さい穴から始め、少しずつ大きく広げていきましょう
3mm穴にトランジェントのグレーランナーを差し込み
▲3mm穴にトランジェントのグレーランナーを差し込み、高強度タイプの瞬間接着剤でガッチリと固定します。あくまで接続ジョイントであるので、軸を保持する強度に関係のない部分は切り取ってコンパクトにまとめ、少しでも小さく目立たなくしておきましょう
トランジェントのバックパック裏側の隙間に3mm穴を開ける
▲トランジェントのバックパック裏側の隙間にピンバイスを差し込んで3mm穴を開けます。ここを接続ジョイントの差し込み穴とします。穴やダボを切り取った部分が目立ちますが、ここは完成後ほぼ見えなくなる部分なのでそのままでOKです
トランジェントのバックパックをジョイントで接続した状態
▲トランジェントのバックパックをジョイントで接続した状態。本体に密着しつつ小型で目立たないジョイントを作ることができました。FXはファンネル接続用のハードポイントが豊富なので、工夫次第でいくらでも脱着式の武装を盛れる超優秀な素体でもあるのです。ジョイントパーツはそのままだとクリアーグリーンが目立つので、塗膜が強いMr.カラーのニュートラルグレーで塗装しておきましょう
腰にGNパルチザン先端を装着するためのジョイント
▲腰にGNパルチザン先端を装着するためのジョイントを作ります。GNパルチザンは厚みがなく、肩のようにCファンネルに軸を打つ方法は使えません。なにかいいパーツはないかと探してみたところ、トランジェントの前腕フレームが使えそうです。この丸い穴部分を接続部としてみましょう
サイドアーマーに収まるように不要部分をニッパーとデザインナイフでカット
▲サイドアーマーに収まるように不要部分をニッパーとデザインナイフでカットし、丸穴を3mmピンバイスで広げておいてから接着します。このような外づけの軸穴の場合、穴がピッタリすぎると脱着のとき力がかかりすぎてもぎ取られることがあるので、保持力は落とさない程度にほんの少し緩めぐらいに調整しておいてください
GNパルチザン先端部分に3mm穴を開ける
トランジェントの3mm白ランナーを差し込む

▲GNパルチザン先端部分に3mm穴を開け、トランジェントの3mm白ランナーを差し込んでジョイントへの接続軸を作ります。出っ張った部分をピッタリと面に合わせるのは大変なので、このように2mmほど貫通させて表面を整え、外側からは丸ディテールとして見えるようにしておくと作業が楽です。ここも高粘度タイプのスチロール用接着剤でガッチリ固定しますが、生乾きだと腰のジョイントに差し込んで外すときに接着がすぐ外れてしまうので、やはり3日くらいかけてしっかりと乾燥させておきましょう

GNパルチザン先端を実体剣として装備した状態
▲GNパルチザン先端を実体剣として装備した状態。キットのパーツとランナーを上手く使うことにより、改造パーツなどを使わずとも違和感なくまとめることができました。武器の接続部は脱着するたびに強い力がかかるので、とにかく接着強度を最優先してください
組み合わせとスミ入れが終わった状態
▲組み合わせとスミ入れが終わった状態。スミ入れは淡いパープルグレーで、海老川氏が描くクリーンな印象のガンダムと相性のいいリアルタッチマーカーのリアルタッチグレー1で施し、イエロー部分のみリアルタッチオレンジを使用しています

仕上げでワンポイント工夫してみよう

デカールを貼る
▲FXは面が広いので、デカールを貼ってよりカッコよく仕上げてみましょう。『ガンダムAGE』用の汎用デカールもありますが、今回はRGダブルオークアンタ用のものを使用しました。同じ海老川氏デザインなので、相性抜群で違和感もありません。ただし、うっかり「00」「GN」の文字が入っていたり、ソレスタルビーイングのマークは使わないように注意しましょう
プレミアムトップコートつや消しを全体に吹く
▲デカールを貼って一日くらい乾燥させたら、プレミアムトップコートつや消しを全体に吹いてツヤを消します。「海老川ガンダム」は清潔感が命。多少面倒でも、ある程度パーツをバラして作業するほうがよりクリーンに仕上がりますよ
ガンダムAGE-FX トライセイバー
フロント
ガンダムAGE-FX トライセイバー
リア

 ミキシングビルドは手足の交換などの組み替えが基本ですが、それよりも一歩進んだテクニックとしてパーツを「盛る」というものがあります。他のガンプラの外装を切り取り、思いのままに装着して自分好みにカスタマイズする。細かい加工も必要になってきますが、より多彩な表現が可能となります。外装要員としては成型色が白く、面が多くかつ外装がバラバラなキットが使いやすく、ユニコーンガンダムやRGのガンダム系MSがオススメです。この手法が得意なモデラーさんの中でも、特にセイラマスオ氏の作品はパーツ盛りミキシングにおいて最高の教科書となるので、盛るときはぜひとも参考にしてみてくださいね♪

ガンダムAGE-FX トライセイバー

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット
“ハイグレードガンダムAGE” ガンダムAGE-FX+
“ハイグレードビルドファイターズ” トランジェントガンダム 使用

ガンダムAGE-FX トライセイバー

製作・文/林哲平

※本作は名称含め模型オリジナルのものであり、サンライズ公式設定とは異なります。

© 創通・サンライズ

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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