HOME記事スケールモデル「いすゞ 117クーペ 初期型」をさらにエレガントに仕上げる【畠中浩】

「いすゞ 117クーペ 初期型」をさらにエレガントに仕上げる【畠中浩】

2021.12.02

いすゞ 117クーペ 初期型【ハセガワ 1/24】 月刊ホビージャパン2022年1月号(11月25日発売)

いすゞ 117クーペ

 乗用車部門の撤退から、すでに20年近くが経とうとしているいすゞ自動車だが、かつては個性的で魅力にあふれた乗用車を生み出すメーカーでもあった。今回ハセガワから待望のキット化が実現した117クーペは、そんないすゞ車のなかでも、長年フラグシップを務めたスペシャルな一台である。製作は前回に続いてハセガワの最新キットを手掛ける畠中浩が担当。美しいフォルムが魅力の117クーペとともに、同車をさらにエレガントに仕上げるための製作ポイントもご紹介していこう。

いすゞ 117クーペ 左
いすゞ 117クーペ
▲キットは徹底した実車取材をもとに、製造の一部に手作業を必要としたことから「ハンドメイド・モデル」と呼ばれる最初期型を忠実に再現。さらにおまけパーツとして1970年から販売された電子制御燃料噴射装置装備の「117クーペ EC」を再現可能なマフラーカッターとロゴマークも付属する
いすゞ 117クーペ 内装
いすゞ 117クーペ 内装アップ
▲内装はほぼ黒一色の指定だが、ツヤをコントロールすることで、シートやダッシュボードの質感を演出。フロアマットの製作法については【117クーペをより美しく仕上げる製作ポイント】を参照してほしい
いすゞ 117クーペ 車体下面
▲︎限られたパーツ数で雰囲気良く再現された車体下面は今回のキットでも健在
いすゞ 117クーペ 後ろ
▲欧州車を思わせるスタイリッシュなフォルム。今回はテストショットのためすべて塗装で仕上げているが、製品版では前後のバンパーやフロントグリル、ホイールキャップ、サイドモール、マフラーカッター等がメッキパーツとなる

117クーペをより美しく仕上げる製作ポイント

解説・写真/畠中浩(ももふく模形舎)

いすゞ 117クーペ 前
いすゞ 117クーペ ワイパー
ワイパー段差彫り

▲︎ワイパーは金型の都合上、アームとブレードの境目が曖昧になっているのでくっきりするよう、段差を彫っておきます。結果的にワイパーも細身になるので効果大です

いすゞ 117クーペ 窓枠
いすゞ 117クーペ 窓枠周辺スジ彫り

▲︎窓枠周辺は軽くでもスジ彫りをしておくとマスキングしやすく、塗り分けもシャープになるので面倒でも彫っておくと良いです

いすゞ 117クーペ 窓枠上部
▲窓枠の上部、指しているところは成型の都合で浅くなっていたのでAピラーと上部のラインをきれいにつないでおきます
いすゞ 117クーペ サイドのスジ彫り
▲サイドの塗り分け部分は凹みの上部に一本スジ彫りを入れておきマスキングしやすくしておきます
いすゞ 117クーペ メッシュモールド
いすゞ 117クーペ 外向きにスジ彫りを入れ

▲目立たないですが、メッシュのモールドが施されているこの部分、クリアー塗装で埋まるのを避けるため垂直ではなく外向きにスジ彫りを入れておきます。その後、黒塗装の後にマスキングをしてボディ塗装をすれば網モールドを埋めることなくシャープに仕上げることができます

ホイールアーチの部分
ホイールアーチの部分

▲ホイールアーチの部分は成型の都合上厚くなっているので半分程度に削り込む。油性マジックで塗ってから削ると分かりやすいですが作業後は完全に拭き取らないと塗装に滲み出すので注意

フロアマットは屋外用カッティングシートを切り出し
作例では3枚重ね

▲︎フロアマットは屋外用カッティングシートを切り出して重ねて再現。最終的に作例では3枚重ねにして床には密着させずにただ置いた感を出しています

■ボディ
 まず、作例はテストショットを組んでいるので製品版とは違う部分があるかもしれません。キットはいわゆる初期型の「ハンドメイド」と呼ばれるタイプ。板金技術の問題からデザイン通りの再現を諦めることなく、ある程度の形状をプレスで成型し、細かい所を手作業で仕上げたことから上記のように呼ばれています。すごくシンプルに見えるボディですが、よく見ると凝った仕上げがたくさん見られるんですよね。窓枠や細かい部分も手作業で作られた部分がたくさんあって本当に見応えがあります。そのためキットではボンネット上やルーフ部分など、金型の都合で浅い部分があるのでまずはそこを処理します。こういう場合は無理にフリーハンドは行わず、必要に応じてガイドテープなどを利用して正確に彫り直しましょう。別パーツになっているフロントのグリル下のパーツはシャシーをはめる時に力がかかるためプラ用接着剤を使ってしっかり接着します。また、窓ガラスやテールライトなど塗装後、はめ込みになる部分は事前にしっかりすり合わせをして塗膜の厚みぶんを調整しておきましょう。

■内装
 いつも通り、昭和感あふれる内装がしっかり再現されています。説明書の指定ではほぼ黒一色ですが、ツヤを変えたり黒を少しグレーに振るなどしてシートのビニールレザーな感じやダッシュボードの樹脂な雰囲気を大げさに塗り分けてやると雰囲気がよくなりますよ。今回は昭和時代の車にはよく置かれていた黒いゴム製のフロアマットを追加しておきました。適当なデザインですがカッティングシートを切り出し、ミッチャクロンと濃いめのツヤ消しグレーで塗装して貼り付けておきました。なかなかいい雰囲気だと思うのですが、キットにパーツとして入っていれば嬉しい部分ではありますね。ちなみに床の赤はこのくらいの年代の車ではよく見られた赤い絨毯のつもりです(笑)。

■塗装
 今回のボディはシルバーを選択したので下地処理は入念に行いました。各部にヒケも多く見られたため、いつものサーフェイサーではなくシルバーを軽く吹いて凸凹の確認、修正を行っています。厚吹きをしないようにしつつ、下地が整ったところでそのままガイアカラーのEx-07シルバーにGSIクレオスの色ノ源シアン、ブラック、ブルーパールで調色した塗料で塗装しています。クリアーはウレタンクリアーを使用。今回はテストショットを組んでいるためメッキパーツや窓枠などをメッキ塗料で塗装しますが、特に三角窓の部分などは細かいディテールも多いので全体的に薄く塗装して仕上げています。メッキ塗料は今一番お気に入りのガイアカラーのプレミアムミラークローム。この手の塗料は下地にクリアー層があるとよりきれいに輝くので毎回クリアーを塗っています。ただ、塗装後は塗膜が剥がれやすいため一切触れないのがネックですね。ちなみにこの車、実車は窓枠の一部とホイールカバーの一部がステンレスのヘアライン仕上げになっています。なんとかこれを再現できないかと思ったのですが塗装ではイマイチだったので、いずれまた再挑戦したいと思います。

■最後に
 117クーペ、古いキットは存在するのですがやはり最新キットで作れるのは最高ですね。で、いすゞからこれが来たということは、ピ、ピ、ピア、ピ…期待できますよね。楽しみに待ちたいと思います(笑)。

いすゞ 117クーペ

ハセガワ 1/24スケール プラスチックキット

いすゞ 117クーペ 初期型

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

いすゞ 117クーペ 初期型
●発売元/ハセガワ●3520円、12月3日ごろ予定●1/24●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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