第二次大戦を戦い抜いた英国魂「スーパーマリン スピットファイアMk.Vc」【山田昌行】
2021.12.01最新キットで甦った英国魂のルネッサンス
1955年の1/72ファースト・キット以来、約70年にわたりスピットファイアを作り続けてきたイギリスの老舗メーカー、エアフィックス。近年は最新テクノロジーによるラインナップのリニューアルがなされてきたが、1/72スケールのスピットファイアもその例に漏れず、Mk.I、Mk.Vbに続き、ついにMk.Vcがリリースされた。今回は機首下面にエアフィルターを装着したTrop.仕様を再現。満足のいくディテール再現で組み立ても簡単、リーズナブルな価格とあいまって群を抜く出来映え。改良を加えつつ第二次大戦の全期間を戦い抜いた英国の魂を作れ!
■注目のスピットVc!
なかなか入荷しなかったエアフィックス新製品、中でももっとも注目していた1/72のスピットファイアMk.Vcがようやく発売されたので、さっそく製作していきたいと思います。
本体のモールドも以前のように太くなく、かなりシャープになっています。パーツの合いも大変よく、1ヵ所を除きパテの使用はありません。
■コクピットの組み立て
コクピット部はかなりのパーツで再現され、1/48並みといっても過言ではないでしょう。コクピット下部の内壁が別パーツになっており、床板のない本機の特徴をよく再現しています。メーターパネルにはデカールが用意されていますが、シートベルトがないので、鉛の薄板で追加してあります。
このキットで唯一面倒くさいのが、キャノピーをクローズにする場合、胴体の一部をカットしなければならないことです。キャノピーをオープン状態で作ればなんの問題もないのですが、キャノピーを閉めた状態で作る方も多いでしょうからここはなんとかしてほしいところです。
あとやっと改善してくれた部分が、プロペラ部を後から取り付けられるようにしてくれたところです。今まで液冷エンジンの機体は、とくに1/72だと胴体左右の接着時に挟み込むというのがほとんどでした。これでは塗装の邪魔になり、プロペラの回転は諦めて最後に接着してしまうことになっていましたが、これなら大丈夫です。またプロペラを取り付ける際に接着剤が流れ込まないような工夫もされていて素晴らしいことです。
■機体の組み立て
コクピットを取り付け胴体を組み立てます。主翼は脚庫の隔壁を取り付け、上下を合わせればピッタリと合います。これを胴体に取り付け、尾翼部を取り付ければほぼ形になってしまいます。今回のキットは塗装例2種とも熱帯仕様なので、機首下面は熱帯地用フィルターパーツを選びます。ランナーには通常のパーツも含まれていますので、確実にバリエーション展開されますね。
主翼の機銃は、作る機体によって使うパーツが異なりますので注意。主翼下面のラジエーターパーツはパーツの精度がきわめてよいので、別途組み立て塗装し、最後に取り付ければマスキングの手間が省けます。
脚部、プロペラ、排気管は別途組み立て塗装を済ませておきます。キャノピーはマスキングして胴体に取り付けてしまいます。
■塗装およびマーキング
塗装例Aを選びました。やはりシャークティースと米軍のマーキングがひと味違いますね。全体をガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、下面色のアズールブルー(C370)を塗ります。マスキングしてミドルストーン(C21)を塗り、さらにマスキングしてダークアース(C369)を塗ります。
タミヤ製スミ入れ塗料黒でスミ入れ、ウォッシングしデカールを貼り、C181とC182を等量に混ぜたものでオーバーコートし、別途組み立てておいたパーツを取り付ければ完成です。
■とにかく素晴らしいキットです
今まで数えきれないほどのスピットファイアのキットが発売されましたが、今になってまだ従来品を凌ぐキットが発売されるとは思っていませんでしたね。今後エアフィックスからは、1/72でテンペストやモスキートの新金型キットがリリースされますので楽しみですね。
エアフィックス 1/72スケール プラスチックキット
スーパーマリン スピットファイアMk.Vc
製作・文/山田昌行
スーパーマリン スピットファイアMk.Vc
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●1870円、発売中●1/72、約12.7cm●プラキット
山田昌行(ヤマダマサユキ)
最近は今回のスピットファイアのように小さ目のキット製作が多かったのですが、近く大型キットが完成します。