HOME記事スケールモデル第二次大戦を戦い抜いた英国魂「スーパーマリン スピットファイアMk.Vc」【山田昌行】

第二次大戦を戦い抜いた英国魂「スーパーマリン スピットファイアMk.Vc」【山田昌行】

2021.12.01

スーパーマリン スピットファイア Mk.Vc【エアフィックス 1/72】 月刊ホビージャパン2022年1月号(11月25日発売)

スーパーマリン スピットファイアMk.Vc

最新キットで甦った英国魂のルネッサンス

 1955年の1/72ファースト・キット以来、約70年にわたりスピットファイアを作り続けてきたイギリスの老舗メーカー、エアフィックス。近年は最新テクノロジーによるラインナップのリニューアルがなされてきたが、1/72スケールのスピットファイアもその例に漏れず、Mk.I、Mk.Vbに続き、ついにMk.Vcがリリースされた。今回は機首下面にエアフィルターを装着したTrop.仕様を再現。満足のいくディテール再現で組み立ても簡単、リーズナブルな価格とあいまって群を抜く出来映え。改良を加えつつ第二次大戦の全期間を戦い抜いた英国の魂を作れ!

スーパーマリン スピットファイアMk.Vc 俯瞰
▲スピットファイアMk.Vcは、Mk.Vbの主翼を「ユニバーサル・ウイング」に変更したタイプで、20mm機関砲の増備などさまざまな武装に対応が可能だった
スーパーマリン スピットファイアMk.Vc 俯瞰後方
▲エアフィックスのキットは完全新金型によるリニューアル。機首下面にエアフィルターを装着したTrop.(熱帯地)仕様の機体を再現している
スーパーマリン スピットファイアMk.Vc あおり
▲作例のマーキングは1942年11/12月、北アフリカのアルジェリアでアメリカ陸軍航空隊に供与された機体で、機首に大きなシャークティースが描かれている。もう1種類は南イタリアに展開した南アフリカ空軍の機体を用意
スーパーマリン スピットファイアMk.Vc 左主翼
▲左主翼。中央部の大型バルジは20mm機関砲を片側2門搭載したユニバーサル・ウイングの特徴だが、給弾の問題により1門に減らされている
スーパーマリン スピットファイアMk.Vc 機首
▲エンジンはMk.Vと変わらずマーリン45を搭載。機首下面のエアフィルターの顕著な張り出しは空気抵抗が大きく、速度の低下を招いた
▲キャノピーは開閉選択式だが、閉じる場合は胴体の矢印の部分をカット。上が加工済み、下が加工前の状態
▲塗装が終わったコクピット部のパーツ構成は1/48並みの充実度。シートベルトは鉛の薄板で追加した
▲メーターパネルはデカールが用意される。コクピット下部の内壁は別パーツで、床板がない状態を再現

■注目のスピットVc!
 なかなか入荷しなかったエアフィックス新製品、中でももっとも注目していた1/72のスピットファイアMk.Vcがようやく発売されたので、さっそく製作していきたいと思います。
 本体のモールドも以前のように太くなく、かなりシャープになっています。パーツの合いも大変よく、1ヵ所を除きパテの使用はありません。

■コクピットの組み立て
 コクピット部はかなりのパーツで再現され、1/48並みといっても過言ではないでしょう。コクピット下部の内壁が別パーツになっており、床板のない本機の特徴をよく再現しています。メーターパネルにはデカールが用意されていますが、シートベルトがないので、鉛の薄板で追加してあります。
 このキットで唯一面倒くさいのが、キャノピーをクローズにする場合、胴体の一部をカットしなければならないことです。キャノピーをオープン状態で作ればなんの問題もないのですが、キャノピーを閉めた状態で作る方も多いでしょうからここはなんとかしてほしいところです。
 あとやっと改善してくれた部分が、プロペラ部を後から取り付けられるようにしてくれたところです。今まで液冷エンジンの機体は、とくに1/72だと胴体左右の接着時に挟み込むというのがほとんどでした。これでは塗装の邪魔になり、プロペラの回転は諦めて最後に接着してしまうことになっていましたが、これなら大丈夫です。またプロペラを取り付ける際に接着剤が流れ込まないような工夫もされていて素晴らしいことです。

■機体の組み立て
 コクピットを取り付け胴体を組み立てます。主翼は脚庫の隔壁を取り付け、上下を合わせればピッタリと合います。これを胴体に取り付け、尾翼部を取り付ければほぼ形になってしまいます。今回のキットは塗装例2種とも熱帯仕様なので、機首下面は熱帯地用フィルターパーツを選びます。ランナーには通常のパーツも含まれていますので、確実にバリエーション展開されますね。
 主翼の機銃は、作る機体によって使うパーツが異なりますので注意。主翼下面のラジエーターパーツはパーツの精度がきわめてよいので、別途組み立て塗装し、最後に取り付ければマスキングの手間が省けます。
 脚部、プロペラ、排気管は別途組み立て塗装を済ませておきます。キャノピーはマスキングして胴体に取り付けてしまいます。

■塗装およびマーキング
 塗装例Aを選びました。やはりシャークティースと米軍のマーキングがひと味違いますね。全体をガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、下面色のアズールブルー(C370)を塗ります。マスキングしてミドルストーン(C21)を塗り、さらにマスキングしてダークアース(C369)を塗ります。
 タミヤ製スミ入れ塗料黒でスミ入れ、ウォッシングしデカールを貼り、C181とC182を等量に混ぜたものでオーバーコートし、別途組み立てておいたパーツを取り付ければ完成です。

■とにかく素晴らしいキットです
 今まで数えきれないほどのスピットファイアのキットが発売されましたが、今になってまだ従来品を凌ぐキットが発売されるとは思っていませんでしたね。今後エアフィックスからは、1/72でテンペストやモスキートの新金型キットがリリースされますので楽しみですね。

スーパーマリン スピットファイアMk.Vc

エアフィックス 1/72スケール プラスチックキット

スーパーマリン スピットファイアMk.Vc

製作・文/山田昌行

スーパーマリン スピットファイアMk.Vc
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●1870円、発売中●1/72、約12.7cm●プラキット

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山田昌行(ヤマダマサユキ)

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