「1/72ジェットモグラ」『サンダーバード』最新作上映記念企画第1弾!!【更井廣志】
2021.11.281/72ジェットモグラをリアルにディテールアップ&ウェザリング
1965年にイギリスで製作・放送された伝説のマリオネーション特撮作品『サンダーバード』。日本上陸から55年、ついに完全新作が日本語劇場版として、2022年1月7日(金)から上映となる。しかも、当時と同じマリオネーション撮影法を用い、サンダーバードの主要メカニックもCGではなく実物の撮影用モデルを新規で作り起こすという、往年のファンには堪らない作品となっている。そこで1992年11月号での表紙&巻頭特集など、さまざまな形で作例記事を展開してきた月刊ホビージャパンだからできる、3号連続『サンダーバード』企画をスタート。各メカニックの作例はもちろん、スタッフインタビューなどもお届けしていく。まずは人気メカ、ジェットモグラからご覧いただこう。
日本上陸から55年。奇跡の完全新作上映!
日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』
2022年1月7日(金)劇場上映開始/1月8日(土)オンライン上映開始
『サンダーバード』の熱狂的なファンでもあるスティーブン・ラリビエー氏により、クラウドファンディングという形で資金を募り、当時と同じマリオネーションによる撮影手法で完成させた最新作、日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』がついに日本上陸する。1965年のオリジナル版と見紛うほどの映像再現度と最新の撮影技術が融合した、新たなサンダーバード。日本語劇場版は樋口真嗣監督が構成を担当し、3つのストーリーを1本の映画としてまとめ上げている。
上映館などの詳細情報は公式サイトをチェック!
tb55movie.com
■はじめに
キットはプロップ模型を参考に非常に細かなディテールが再現されており、プロポーションも抜群です。無改造でも基本塗装を施しウェザリングを加えるだけでかなりの完成度となります。本作例ではそこからさらに踏み込んで、より巨大感やリアル感を出すためにシルエットに影響しない程度にディテールアップを施し(プロップ模型を「本物」と定義するならば邪道かもしれませんが…)、塗装やウェザリングに関しては、基本的にカラーモジュレーション技法で立体感を強調し、1/72スケールということを意識して塗装剥げ表現、土汚れ表現等を繊細に行いました。
地中に潜る、いわゆる「モグラ」には丸リベットパーツを貼り付けたり、リベットモールドを施しました。対照的に地上走行用の「タンク」とその上部に位置する「ガントリー」は六角ボルトモールドを貼り付けたり、AFVジャンクパーツより牽引フックやそれらしいパーツでディテールアップしました。
■モグラの工作点
アルミパイプやプラパイプを内蔵し、ドリルを後ハメできるように加工しました。メッキはハイターで落とし、目立つパーティングラインを消しました。また先端のフィンはシャープ化しました。
サイドの履帯は塗装後に被せられるように加工。実物の戦車を参考にして重量による自然な弛みを再現しました(ちなみにプロップ模型では弛んでいません)。
■塗装
オキサイドレッドサフ→シリコーンバリアー→各色塗装→真鍮ブラシやヤスリによる塗装剥がし→デカール→Mr.ウェザリングカラーでウォッシング等
後のウェザリング過程で明度が落ちるのと、スケールエフェクトを考慮して、明るめに調色。特にタンクとガントリーはディテールをはっきり見せる意味合いもあり、かなり明るくしています。
黄色=レモンイエロー→オレンジでグラデーション
グレー=ミディアムブルーを中心に混色した色→白を加えたものでグラデーション
それぞれのハイライトは白に近い色を筆で塗りました。
ドリルのシルバー=ガンメタ→シルバー(重量感と質感を表現しました。)
シリンダーのシルバー=グロスブラック→プレミアムメッキシルバー
■おしまいに
プロップ模型よりも本物らしく!(ちょっと矛盾していますが…)を目標に、ウェザリングマイスターの称号に恥じぬように、あらゆる技法でリアル感を追求・表現しました。
青島文化教材社 1/72スケール プラスチックキット
ジェットモグラ
製作・文/更井廣志
ジェットモグラ
●発売元/青島文化教材社●3850円、発売中●1/72、約25cm●プラキット
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更井廣志(サライヒロシ)
繊細なディテールアップとウェザリング塗装を得意とするウェザリングマイスター。