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ドイツ海軍「クリスチャンラディック」&Sボート&Uボートセットを製作!【斎藤圭吾】

2021.10.29

クリスチャンラディック&Sボート&Uボート【青島文化教材社 1/350】 月刊ホビージャパン2021年12月号(10月25日発売)

クリスチャン・ラディック Sボード&Uボード

帆船・魚雷艇・潜水艦が楽しめるバラエティ艦船セット

 大戦間に竣工したノルウェー海軍の練習帆船「クリスチャン・ラディック」は、第二次大戦勃発後1940年にドイツ海軍に接収され、潜水艦母艦として運用。1945年に爆撃により沈没したが、戦後に修理され再びノルウェーで就役、近年は観光船として使用されている。青島文化教材社では「クリスチャン・ラディック」を発売中だが、新金型でドイツ海軍の魚雷艇「Sボート」をモデル化、AFVクラブ製の潜水艦「UボートVIIC型」と組み合わせた3隻セットでリリース。帆船・魚雷艇・潜水艦という三者三様のお得な艦船キットをとことん楽しみ尽くそう!


クリスチャン・ラディック

GERMAN NAVY CHRISTIAN RADICH

クリスチャン・ラディック
▲作例は帆船時代の「クリスチャン・ラディック」として製作。戦後はドキュメンタリー映画への出演、国際ミーティングやレースへの参加などに活躍した後、1999年以降は観光船としてノルウェー近海のフィヨルドツアーなどに従事している
帆は化粧用のあぶらとり紙で再現
▲キットに付属していない帆は化粧用のあぶらとり紙で再現。畳んだメインセイルとスルーセイルの帆も、紙を実艦と同様に畳んで作成している
帆を括るブレイルは0.03mmペンで線を描いて再現
▲マストとその帆は帆船モデルのキモ。帆を括るブレイルは0.03mmペンで線を描いて再現。張り線はメタルリギング0.3号を使用した
船首
▲古いキットだが充分に手を加えれば見映えは抜群。船首には青いドレスの女性フィギュアヘッドも再現
中央部
▲中央部。舷側には2mm幅のマスキングテープやエッチングなどで外板継ぎ目を追加して情報量を増やす
船尾右側
▲船尾右側。ラットラインは伸ばしランナー、滑車は1/700のホーサーリールのエッチングから自作した

■キットについて
 青島文化教材社から第二次大戦ドイツ海軍の潜水艦母艦「クリスチャン・ラディック」、魚雷艇Sボート、潜水艦Uボートの3隻セットが発売されました。
 Sボートは青島文化教材社の新金型のキットで、一番小さいですが、この3隻セットの中での主役といっていいでしょう。「クリスチャン・ラディック」は1/350帆船シリーズとして出ているノルウェー王国帆船で、旧イマイ製の金型のため古く大味な造形です。UボートはAFVクラブ製で、一番モールドが精密です。

■「クリスチャン・ラディック」の製作
 他の2隻と年代を合わせるため、ドイツ軍に徴用された潜水艦母艦時代の状態を再現しています。キットの変更点は帆が同梱されていないのみですが、実際はマスト上部がカットされていたりと大きく異なります。潜水艦母艦時代に寄せるには難しく、また折角の美しい帆船なので、帆船時代の「クリスチャン・ラディック」を豪華なディスプレイモデルとして作り込みました。
 船体側面に2mm幅のマスキングテープを縞々に貼った後、サフを3回厚吹きして外板継ぎ目を再現。縦線は海魂のIJN艦船砲塔基座&船体補強バーエッチングで製作。シンプルな舷側に情報量を出しました。
 艤装は基本そのままですが、太さが目立つボートダビットをレインボーの汎用ボートダビットエッチングに変更。また実際の写真資料を見て、艦尾にキットで省略されているボートダビットとカッターを設けました。

■マストとセイルとの矛盾解消
 帆船最大の見どころであり肝であるマストとその帆(セイル)には特に気を使いました。このキットは2時方向からの風を受けている設定で、セイルを45度傾斜させています。しかしそのまま傾斜して取り付けるだけでは、後述するラットラインにセイルが干渉してしまいます。この矛盾を解消するため、横浜みなとみらいに保存されている帆船「日本丸」を見てきました。
 実際に見てわかったのが、マストとセイルには大きなクリアランスがあること。キットでは強度確保のためマストとセイルが繋がっているので、接合部を切除し「日本丸」同様にV字の支柱を間に設け、大きくクリアランスを取ることでこの問題を解決。V字の支柱はプラストラクトの0.5mm角棒で再現しました。ただしマストとセイルをカットすることで取り付けが大幅に難しくなります。多方向から確認しながら慎重に取り付けましょう。
 帆はあぶらとり紙で再現しました。帆を括るブレイルの再現はコピックマルチライナーの0.03mmペンを使用。ミズンマスト後方のスパンカーブレイルは本来水平より45度傾斜する形で設けられていますが、スパンカーの傾斜に沿わせたほうが違和感がないので、見映えを優先し、実際とは異なる角度で再現しています。メインセイルとスルーセイルの帆は畳んでいますが、実際同様あぶらとり紙をクシャクシャと畳んでいます。

■細部の工作
 ラットラインは伸ばしランナーで自作しました。縦線を取り付けたあと横線を製作。骨が折れる作業で丸一日を要しました! トップマストとトゲルンマストの小さなラットラインは海魂のエッチング1/700戦艦用ラットラインを使用。このエッチングは明治期の船舶模型を作る上で非常に重宝しています。
 張り線はモデルカステンのメタルリギング0.3号を使用。クセがつきにくく強度が高く、マスト全体の強度向上に一役買っています。セイルを動かすブレースには1/700ホーサーリールエッチングを切断して再現した滑車を設けました。
 ベースは模型工房Mから販売されているステンレス製艦船模型用金属脚Sを使用しました。ヘアライン仕上げで重厚感があります。アクリルケースははざいやのオーダーメイド。質感高くリーズナブルです。

■おわりに
 帆船は古いキットが多く、また知識を要するので難易度は高い部類にあります。しかし同時に達成感も素晴らしく、その美しさと迫力にウットリしてしまいます。帆船模型が家にあるって素敵じゃないですか? ぜひご家庭のリビングに色を添えてください♪


Sボート

GERMAN NAVY S-BOAT

魚雷艇“Sボート”
▲ドイツ海軍の魚雷艇“Sボート”は「シュネルボート」(「高速船」)の名の通り、42ノットの快速を生かし英仏海峡、北海、地中海、バルト海などさまざまな海域で船団襲撃などに活躍した
S-100型を再現
▲キットは完全新金型で、大戦中期に登場したS-100型を再現。全長約10cmの小さなモデルだが、実艦の特徴がみごとに捉えられている
S-100型後期タイプを再現
▲キットは中央部に2cm連装機銃、後部に3.7cm機銃の対空火器が増備されたS-100型後期タイプを再現。艇首には2cm単装機銃を装備している
船体は水色系の軍艦色
▲船体は水色系の軍艦色をイメージし、XF-80ロイヤルライトグレイ+XF-23ライトブルーで塗装した
手摺りはテトラモデルの日本海軍用手摺りを使用
▲手摺りはテトラモデルの日本海軍用手摺りを使用。連装機銃の砲身は0.5mm真鍮パイプで作り直している
艇尾
▲艇尾。後方の3.7cm機銃の射撃制限枠、発煙装置や爆雷投下レールもしっかりと再現されている

■Sボートの製作
 キットの持ち味を生かし軽いディテールアップで仕上げました。テイストは青島文化教材社らしく大人しめのモールドで、Sボート特有の丸みを帯びた愛らしいフォルムとよくマッチしています。
 船体は両舷分割ですが、艦首と艦尾、そして艦首上面と船体の間に大きな隙間ができてしまうのでラッカーパテで埋めました。
 ディテールアップポイントは、手摺りはテトラモデルの日本海軍用手摺りを使用。テトラモデルのエッチングは太くて強度があるのが特徴ですが、これも例に漏れず扱いやすいです。連装機銃の砲身は0.5mm真鍮パイプで作り直し、シャープにしました。

■Sボートの塗装
 すべてタミヤアクリルでの塗装です。船体はXF-80ロイヤルライトグレイ+XF-23ライトブルーを1:1で調色した色を使用しました。付属の塗装指示書の色合いと、運用された明るい英仏海峡の海から水色系の軍艦色にしてみました。
 甲板はXF-77佐世保海軍工廠グレイ、木甲板はXF-64レッドブラウンを使用。仕上げのウェザリングはタミヤスミ入れ塗料ブラウンを使用しました。

■おわりに
 素組みではコレクション性の高いあっさりしたテイスト、でもディテールアップすると途端に映える、モールドの塩梅が非常に巧みなキットだと感じました。Sボートの持つシンプルな造形が作りやすく、同時に奥深さを感じさせられました。


Uボート

GERMAN NAVY U-BOAT

Uボード
▲ドイツ潜水艦の代名詞ともいえる“Uボート”は、第二次大戦では大西洋を中心に輸送船団攻撃で大きな戦果を挙げた。しかし大戦中期以降はレーダーや対潜哨戒機の発達により苦しい戦いを強いられた
最多生産型のVIIC型をモデル化
▲キットはAFVクラブ製で、最多生産型のVIIC型をモデル化。対空火器が少なく艦首に防雷網カッターを取り付けた初期のタイプを再現
フルハルとウォーターラインの選択式
▲キットはフルハルとウォーターラインの選択式で、展示用スタンドも付属。また手摺りも含めて非常にシャープなモールドが施されている
ノコギリ形の防雷網カッターを装備
▲艦首の上下にはノコギリ形の防雷網カッターを装備。舷側には注排水口や魚雷発射管のドアを詳細にモールド
艦橋は潜望鏡やループアンテナなどを細かく再現
▲艦橋は潜望鏡やループアンテナなどを細かく再現。前方には8.8cm砲、後方には20mm機銃を装備している
艦尾
▲艦尾。舷側の外板継ぎ目、スクリュー周りの縦舵や横舵などの複雑な構造などを余すところなく再現している

■Uボートの製作
 キットの精密さを生かし、ストレート組みを行いました。スクリュー周りは形状が複雑で、若干難儀しますが見た目ほどではありません。船体や構造物の合いも大変よく、パーツも少ないのであっという間に形になりました。モールドも精巧かつシャープです。
 ただウォーターラインと選択可能な構造のため、バラスト部分に合わせ目の段差が生じます。モールドもあるのできれいに処理するのは意外と困難です。今回はその合わせ目箇所に吃水線の塩を被ったような表現を行い、あえて合わせ目を活用しました。
 UボートVII型はとくにですが、手摺りの形状も独特なもので、これを自作しようものなら高度な技術を要する作業です。しかしこのキットはプラ製の精密な手摺りが付いています。プラパーツなりの厚みはあるので、400番のサンドペーパーで擦り若干薄肉化しましたが、他のエッチングを使用した1/350のキットと並べても遜色なく、プラパーツでこれは相当すごいと思います。

■Uボートの塗装
 船体はXF-66ライトグレイとXF-80ロイヤルライトグレイを1:1で調色したものを使用。甲板はXF-77佐世保海軍工廠グレイ、艦底はXF-63ジャーマングレイを使用しました。スクリューと銘板の文字はMr.カラーのゴールドを使用。銘板は水彩用の極細面相筆でリタッチを重ねて塗りました。
 ウェザリングはタミヤのスミ入れ塗料ブラウンの他、吃水線部分にエナメルホワイトを1/10に希釈したものを使用しました。

■おわりに
 素組みでの製作でしたが、他のディテールアップした2隻と比較しても作りやすく、見劣りしないハイクオリティな出来映えに終始脱帽でした。AFVクラブのキットはこのキットが初でしたが、また機会あればこのメーカーのキットを手掛けたいです。

クリスチャンラディック&Sボート&Uボート

青島文化教材社 1/350スケール プラスチックキット

クリスチャンラディック&Sボート&Uボート

製作・文/斎藤圭吾

クリスチャンラディック&Sボート&Uボート
●発売元/青島文化教材社●6380円、発売中●1/350、約20.8cm●プラキット

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斎藤圭吾(サイトウケイゴ)

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