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【1/144メイレスケンブ製作指南】STEP-4 プロモデラー目線でキッチリ仕上げる【JUNⅢ】

2021.10.11

STEP-4 プロモデラー目線でキッチリ仕上げる/メイレスケンブ【ホビージャパン 1/144】 月刊ホビージャパン2021年11月号(9月25日発売)

 10月4日よりスタートとなるSUNRISE BEYOND×BANDAISPIRITSによる新作ロボットアニメーション『境界戦機』をいち早く楽しむ特別付録プラキット「1/144 メイレスケンブ」。ストレートに組み立てるだけでも充分カッコいいが、本キットをより楽しんでいただくために4種の製作法を紹介。

 ラストはプロモデラー目線によるキッチリ仕上げを紹介。“小サイズモデルの付録キットだからお手軽に”ではなく、プロモデラー目線でいつもの作例のようにキッチリ製作していく。よりランクアップした完成品を入手したいのであればぜひご参考に。

1/144ケンブキッチリ仕上げ

①頭部の工作

頬のダクトモールドはタガネで丁寧に彫り四角く開口
首後ろ側の肉抜きをエポパテで埋め

▲頬のダクトモールドはタガネで丁寧に彫り四角く開口。首後ろ側の肉抜きをエポパテで埋めて、パテ硬化後に各面に合わせて整形。設定画を参考にデザインナイフとエッチングソーでスジ彫りを行い、パネルラインを再現しました

アンテナは削り込みシャープ化
▲後頭部の左右アンテナは先端部にプラ板を貼り足してから削り込みシャープ化。先端部は一度V字またはL字に削り、プラ板の接着面を確保しておくと削る際の負荷が分散されて整形しやすくなります
アンテナは両側面を削り込み厚みを軽減
▲アンテナは両側面を削り込み厚みを軽減。頭頂部の板状モールドはアンテナ付け根部で削り設定画のデザインに近づけました。付け根部も削り形状を修正。額の側面と頭部上面は赤く塗り分けしやすいようスジ彫りを追加しています。塗り分けの境目はスジ彫りを入れておくとスミ入れの際に各色が引き締まり立体感が増します

②胴体の工作

胴体はエポパテで埋めて処理
▲胴体はコクピットハッチ前側の肉抜きをエポパテで埋めて処理。頭部を取り付けるとあまり目立たないのですが、隙をなくしていくとカッチリと仕上がります。胴体パーツは左右を接着して合わせ目を処理。股関節の軸穴は後述する脚付け根加工に合わせて開口部を広げています
襟周りの形状の修正
▲サフ吹きの際に気が付いた、というよりも思い出したのが襟周りの形状の修正。パーツの構成上襟側面の先端が省略されているのでプラ板を貼り足してから各面に合わせて整形しました
裏側の接続ピンをカット
▲胸の赤いパーツは襟を加工すると組めなくなるので、裏側の接続ピンをカットしています。ピンをカットすると固定しづらくなるので、塗装後の組み付け時に瞬間接着剤を点付けしてパーツを固定するとよいでしょう
金型の都合で省略された箇所を加工して設定画に近づけた
▲金型の都合で省略された箇所を加工して設定画に近づけました。腹部両側はプレートが垂れ下がったような形状なので、パーツの不要な箇所をデザインナイフなどで丁寧に切り取っています。切り取ったときにできる開口部はエポパテで埋めました
一部の形状を省略しつつプラ板でモールドを追加
▲腹部の背中側の面は一部の形状を省略しつつプラ板でモールドを追加しました
腰部リアスカート裏はエポパテとプラ板でモールドを追加
▲腰部リアスカート裏はエポパテとプラ板でモールドを追加。設定画を参考に見える範囲で製作しました。ビャクチのデザインも参考にしています。パテ部は平らに整形後スジ彫りでパネルラインを追加。プラ板は可動アーム部の一部を立体的に再現。工作しやすいようそれぞれの材料を使い分けています

③腕部の工作

パテで埋めてモールドを追加
▲ヒジの赤いパーツは裏側が若干見えるのでパテで埋めてモールドを追加。腕のパーツは接着して一部の合わせ目を消しているので、赤いパーツを後付けできるよう腕本体側の接続部の一部を切り取っています
腕部加工前の状態
▲腕部加工前の状態。上腕と手の平に肉抜きがあるので、エポパテで埋めて設定画の形状に近づけていきます
プラシート切り出したものを貼り付けてディテールを再現
▲ウェーブ「プラシート(0.2mm)」を切り出したものを貼り付けてディテールを再現。プラ板を使うことで均一な段差や溝の深さを再現することができ仕上がりがきれいになります。丸モールドは円の直径が違うポンチを使ってくりぬき均一な幅の溝ができるようにしています。前腕はパーツの合わせ目を消してから外側にスジ彫りでパネルラインを追加しました
平手は指の付け根にある補強部をデザインナイフなどで少しずつ丁寧にカット
エポパテで埋めディテールを追加

▲平手は指の付け根にある補強部をデザインナイフなどで少しずつ丁寧にカットしています。サフを吹いた後に作業すると削る箇所が分かりやすいでしょう。手のひら側は肉抜きをエポパテで埋めてからスジ彫りやピンバイスでディテールを追加しています

④脚部の工作

外装裏側に納まるようプラ板で製作したモールドを追加
▲太モモは外装裏側に納まるようプラ板で製作したモールドを追加。フレーム前後にコトブキヤ「プラユニット 丸モールドⅡ」を貼ってディテールアップ。塗装しやすくするためにそれぞれ別パーツにしています。塗装後に両面テープで貼っています
可動範囲拡大のためにボールを取り付け
▲キットは股関節が軸タイプですが、可動範囲拡大のために軸の一部を切り取ってからウェーブ「BJプラサポ1」のボールを取り付けています。元の軸の下側にある溝を利用して真鍮線を通せるようピンバイスで開口し、ボールジョイント部を補強しています
両サイドの凸モールドは加工して凹モールドに変更
靴裏はエポパテとプラ板を使い分けて各開口部を埋め

▲つま先の付け根にある両サイドの凸モールドは加工して凹モールドに変更。ピンバイスで浅く開口してから中に同じ径のプラ丸棒を加工したものを差し込んで段差を表現。両サイド裏側はエポパテで埋めて平らに整形。靴裏はエポパテとプラ板を使い分けて各開口部を埋めています

左が素組みで右が各部加工後
▲左が素組みで右が各部加工後。頭部アンテナのシャープ化と脚関節ボールジョイント化による立ち姿の変化をご確認ください

より隙のない仕上がりに

 プロモデラー目線によるキッチリ工作でより隙のない仕上がりになった。各部形状はさらに設定画に近いものとなり、脚付け根の可動範囲の拡大で立ち姿にも表情を加えることができた。

1/144ケンブキッチリ仕上げ
素組み比較
素組み比較後ろ
▲キット素組み(左)との比較。元々小サイズキットとは思えないほど各部形状やディテールがよく再現されたものであったが、ここまで解説してきた工作によって全体的な完成度が底上げされているのが一目瞭然だ

FRONT

1/144ケンブFRONT

SIDE

1/144ケンブキッチリ仕上げSIDE

REAR

1/144ケンブキッチリ仕上げREAR

⑤武装を作り起こす

 付録キットということもあり、各武装は付属していないので、HG 1/72 メイレスケンブを参考にプラ板などでスクラッチします。プラ板にはさまざまな厚みがあるので、組み合わせて積層にすることで各部の厚みを再現しました。

60mm携行機関砲
▲60mm携行機関砲は本体(L字)、銃口部、サイト部、トリガーブロック、本体下部のマガジンおよび前方ブロックに分けて製作。その後、各ブロックを接着固定してから細かなディテールを追加しています
超熱振式戦闘直刀
▲超熱振式戦闘直刀は刀身に沿って溝があるので、プラ板から切り出す前にあらかじめスジ彫りで溝を再現。切り出した後に直線でスジ彫りを入れるのが難しいので発想の転換です。グリップにあるマウント用凹みは省略しました
ウェポンラックの左右のアーム部
▲ウェポンラックの左右のアーム部は各ウェポンの装備に合わせて上下の長さを変えています。直刀側のアームは設定画に合わせて少し長く伸びた状態で製作(ちょっとこだわってみました)
ウェポンラックに各武器を装備した状態
▲ウェポンラックに各武器を装備した状態。プラのテンションで各ウェポンが保持できるように接続部を調整しています。塗装すると確実に塗膜で厚くなり、組み付け時にパーツの破損が起こるので、塗装後にアーム内側の塗膜を削り取って再度調整を行っています
ウェポンラックはネオジム磁石で簡単に本体に脱着
▲ウェポンラックはネオジム磁石で簡単に本体に脱着できるようにしています。本体背中パーツの接続ピン中央を切り欠いてハイキューパーツのネオジム磁石を仕込み瞬間接着剤で周囲を固定しました
ウェポンラック側にもネオジム磁石を仕込んでパーツが固定できる
脱着後もきれいに見せることができる

▲ウェポンラック側にもネオジム磁石を仕込んでパーツが固定できるようにしています。磁石式接続にすると本体側の表面に無駄な穴を開けることもなく、脱着後もきれいに見せることができるのです

本体に取り付けた状態
▲ウェポンラックおよび各ウェポンを本体に取り付けた状態です
完成したウェポンラックおよび各ウェポン
今回は初期稿Ver.を採用して白で塗装

▲完成したウェポンラックおよび各ウェポン。直刀は約6cm、機関砲は約4cmという小ささながら、しっかりと形状が再現されているのが見てとれる。ちなみに本来のウェポンラックはアームもグレーだが、今回は初期稿Ver.を採用して白で塗装している

1/144メイレスケンブ(フル装備)完成!!

144ケンブキッチリ仕上げ武装
▲追加製作した武装を取り付けたフル装備の1/144メイレスケンブ。武装を付けるとまた印象が変わってくる
『境界戦機』のタイトルロゴをイメージしたベースを製作
▲オマケで『境界戦機』のタイトルロゴをイメージしたベースを製作。「文字までは入れられませんでした」(JUNⅢ)
全塗装製作(哀川和彦)、成型色活かし(sannoji)、キッチリ仕上げ(JUNⅢ)
全塗装製作(哀川和彦)、成型色活かし(sannoji)、キッチリ仕上げ(JUNⅢ)
▲左から全塗装製作(哀川和彦)、成型色活かし(sannoji)、キッチリ仕上げ(JUNⅢ)。同じキットでも作り方によって完成度は大きく変わってくる。ぜひ自分なりの目標を設定して完成させてみてほしい

■カッチリ仕上げに挑戦!
「カッチリ仕上げ」でお願いされたのですが、結構カッチリとした出来なので、アンテナ部のシャープ化や成型上の都合でできた肉抜き埋めなどの作業を行いました。あとは設定画を参考に一部省略されている形状を再現しています。可動部はいじらない予定でしたが、ウェポンラックを追加したので少し力強く見せるために、股関節をボールジョイントに変更しました。ウェポン等はプラ板工作でフルスクラッチしています。3DプリンターなんてないのでJUNⅢプリンター出力全開で製作しました(爆)。HGキットを参考にしていますが、ディテールをすべて合わせるのは大変なので若干省略して何となく製作しております(汗)。実は何個か失敗しながら形作りを行っているのですが、トライ&エラーを繰り返すことで精度が徐々に上がるものなんだなと改めて思いました。オマケで展示用に蛍光のアクリル板でベースを製作。勢いで製作しているのでまとまりのない仕上がりとなってしまいましたが、ベースに展示してみるとまた違った楽しみ方ができるので、自分だけのオリジナルベースにチャレンジしてみてください。

■塗装
 GSIクレオスのMr.カラー、フィニッシャーズのフィニッシャーズカラーを使用。
白=ホワイト+グレーFS36270+グレーFS36320
赤=レッドFS11136+マルーン+ピンク
黄=黄橙色+ホワイト+ニュートラルグレー→ゴールドパールリキッド
関節等=ニュートラルグレー+インディーブルー
機関砲=ニュートラルグレー+ウイノーブラック
 ひとつのパーツに数色を塗装するので塗装→乾燥→マスキング→塗装を繰り返して地道に作業します。マスキングは丁寧に行うと後の修正が少なくなるので慎重に作業しましょう。塗装後の塗り損ねやはみ出しの修正は、塗り損ね→面相筆でリタッチ、はみ出し→再塗装または1000番〜1500番の紙ヤスリで丁寧に表面の塗料を削り取っています。面倒な作業を増やさないためにもマスキングはしっかりと行いたいものです。スミ入れ作業は、ヤスリ掛けを行っている箇所にスミ入れすると細かな傷に入り込んでキレイに拭き取れなくなるので注意。いちどクリアー光沢(または半光沢)で塗膜をコートしておくとよいでしょう。スミ入れ後はみ出した箇所を丁寧に拭き取ったらツヤ消しクリアーでトップコートしてツヤを整えています。

144ケンブキッチリ仕上げ

ホビージャパン 1/144スケール プラスチックキット

メイレスケンブ

製作・解説/JUNⅢ

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🄫2021 SUNRISE BEYOND INC.

JUNⅢ(ジュンゾウ)

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