【最終決戦、マイナス宇宙の世界で】
初号機と第13号機の最終決戦
2021.07.30
最終決戦、マイナス宇宙の世界で【コトブキヤ 1/400】 月刊ホビージャパン2021年9月号(7月21日発売)
コトブキヤキットで第3新東京市の最終決戦を描く
特集最後の作例は情景王・山田卓司によるディオラマをお届けする。舞台はシンジの初号機とゲンドウの第13号機によるマイナス宇宙での最終決戦。第3新東京市のような特撮映画のミニチュアセットの上で戦う、予告編でも使われたシーンを切り取っている。これまで多くのエヴァディオラマを手掛けてきた山田氏。何度も映画館に足を運び完成させた業界最速の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ディオラマをじっくりお楽しみいただきたい。
どのような内容になるのか? 逐次公開された特報、予告編映像を観ながらいろいろと推測していたのですが、完成した映画はすべてにおいて想定外の素晴らしい内容でした。長い間エヴァと接して来た私は終始涙腺が緩みっぱなしでした。
さて、その予告編の中にエヴァンゲリオン第13号機と初号機が第3新東京市ビル街の中で戦う場面があり、ヒーロードラマでは定番の主役対偽物(例えば「ウルトラマン」のザラブ星人回)を思い出しワクワクして、いの一番にこの場面のディオラマ製作の立候補をしてしまいました。
『:Q』で初号機はAAA ヴンダーの主機となりましたし『:破』終盤で第3新東京市は破壊されたはずで、なぜこんな場面があるのだろう? と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観る前は不思議だったのですが、劇場で映画を観て「そういうことか!」と。舞台の街並みを特撮映画のミニチュアセットのように表現していたことが面白くて、そんなところも含めてディオラマとして作ってみたいと考えました。ここは庵野秀明監督のミニチュア特撮への愛情や思い入れ、畏敬の念が感じられるところです。
エヴァンゲリオン初号機と第13号機はコトブキヤの製品を使用。どちらのキットも劇中のエヴァを上手く表現したプロポーション、ディテール。ほどよく動く可動機構、細かい塗り分けもあらかじめされているところも素晴らしい製品です。ディオラマの中のポージングは予告編のキャプチャー画像を何枚かプリントして検討しました。キットとして完成度が高いぶん、ポーズを固定するのはやや大変ですが、基本的には芯にアルミ線を仕込み、表面はエポパテで馴らす工作で乗り切りました。
ロンギヌスの槍はキット付属のもの。カシウスの槍はプライズフィギュア付属のものを流用。新たにリリースされるコトブキヤの製品にはこのカシウスの槍も付属しています。
インターネットのメイキング記事によるとエヴァを人間に見立てた場合、周囲の建物は約1/45スケールとのこと。これをキットのサイズから割り出すと約1/450。今回は換算しやすい1/500スケールとしました。ビル街のデザインは予告編のキャプチャー画像を参考にしながらすべて手作りしています。規則的に並んだ窓が厄介なのですが、すべてプラ材料の組み合わせで作りました。
ベースは各種特撮資料写真集にわずかに写り込んだミニチュアセットのディテールから推測しながら1/10スケールで作りましたが、実際のものとは少し違いがあるかもしれません。
手前には低層の住宅街が描かれていますから、ここはKATOやトミーテックのNゲージのストラクチャーを使用しました。現実のミニチュア特撮でもスケール違いの建物を使って遠近感をつける手法はよく行われていますね。
作例を動画でチェック!
コトブキヤ 1/400スケール プラスチックキット
汎用ヒト型決戦兵器 人造人間 エヴァンゲリオン初号機&エヴァンゲリオン第13号機 使用
最終決戦、マイナス宇宙の世界で
ディオラマ製作・文/山田卓司
ⓒカラー ⓒカラー/Project Eva. ⓒカラー/EVA製作委員会
山田卓司(ヤマダタクジ)
ご存知、情景王。これまでも数多くのエヴァディオラマを手掛けてきたディオラマビルドの第一人者。