HOME記事スケールモデルタミヤ ウォーバードコレクションに仲間入りしたF-35C型をキットレビュー! デカールのシルバリング対策は必見!

タミヤ ウォーバードコレクションに仲間入りしたF-35C型をキットレビュー! デカールのシルバリング対策は必見!

2025.11.17

F-35C ライトニングII【タミヤ 1/72】 月刊ホビージャパン2025年12月号(10月24日発売)

F-35C ライトニングII
特撮

タミヤ ウォーバードコレクションに、ついにF-35C型が登場!

 昨年1/48スケールで大きな話題となったタミヤのF-35Cが、ついに1/72ウォーバードコレクションに仲間入り。A/B型との違いの再現はもちろん、組み立てやすさ、塗装のしやすさなどにも万全の配慮がなされている。タミヤのF-35シリーズの掉尾を飾る本キットは、同社の歴史の集大成となる究極のプラモデルだ!

F-35C ライトニングII
俯瞰
F-35C ライトニングII
キャノピー アップ
▲ステルス機特有のコーティングが施されたキャノピーは2色のクリアーカラーを調色して再現。キットには塗り分けに便利なキャノピーマスクシートも付属する
F-35C ライトニングII
後ろ1
▲F-35CライトニングIIは、アメリカ海軍向けの艦上戦闘機型で、航空自衛隊も採用したA型、「いずも」型護衛艦に搭載されるB型とはさまざまな部分が異なる
F-35C ライトニングII
後ろ2
▲C型の相違点のひとつである外翼折り畳み部分は胴体上面部品と一体成型で、展開状態でも確実に組み立て可能。折り畳み状態の再現も容易で、ヒンジ部分も精密に再現される
F-35C ライトニングII
前
F-35C ライトニングII
垂直尾翼 アップ
▲6種類のマーキングから、作例ではアメリカ海兵隊VMFA-251サンダーボルツ所属機を選択。ステルス機らしからぬ派手なカラーリングだ
F-35C ライトニングII
機首左側
▲機首左側。ダブルタイヤ化された前脚などの強化された降着装置も正確に再現。デカールのシルバリング対策にはターナーのグロスバーニッシュを使用してみた
F-35C ライトニングII
胴体裏
▲ウェポン類は胴体下の25mmガンポッド、翼下のAIM-9Xサイドワインダー空対空ミサイルが付属。アレスティングフックのストライプはデカールで用意されている
F-35C ライトニングII
主翼
▲翼面積が拡大された主翼。前後のフラップはダウン状態で組み立てられる。基本塗装後にセピア色のパステルを薄くウォッシングし、部分的に濃淡を付けて拭き取り
F-35C ライトニングII
エンジンノズル
▲胴体後部の特徴的な形状のエンジンノズル。左側のAPU(エンジン始動などに使用する補助動力装置)排気口は、黒の油絵具を使ってスス状の汚れを再現

最新の米海軍艦載機をタミヤの最新キットで愉しむ

F-35C ライトニングII
後ろ3
▲今回の1/72 F-35Cのキット化により、タミヤではA型、B型、C型3タイプの1/48および1/72の全6キットが揃い踏み。いずれも歴史に残る傑作キットだ

キットについて
 タミヤ 1/72 F-35Cは、パーツ数を抑えて作りやすさを優先した設計で、同社1/48 F-35Cのようなウェポンベイ内部の再現こそないものの、選択式ながら主翼の折り畳み再現やガンポッドなど、艦載機型の「ツボ」をしっかりと押さえています。
組み立てについて
 組み立ては組立説明書どおりに進めていけばとくに問題はなく、まさにプラモデルのお手本のような内容です。巷では「タミヤ製品は部品精度が高いため塗装の厚みによって合わせがきつくなる」といった話がありますが、このキットは部品同士のクリアランスが適度で、そういった杞憂はまったくありませんでした。ただひとつ注意すべき点は、胴体上下部品の分割線が、機首側面やエアインテーク側面に張り出したエッジの稜線にあるところです。ここを接着やヤスりがけの作業の際に削りすぎて、シャープな形状を鈍らせないようにすることです。
塗装について
 機体の基本塗装は指定のタミヤカラーLP-84カモフラージュグレイとLP-85ミディアムエアーグレイを使用しましたが、いずれもツヤ消し塗料のためデカールを貼った際に起きるシルバリングが懸念されます。対策としてデカールを貼る部分にのみグロスクリアーを吹きつけて下地をグロスにしておく方法が一般的ですが、作者は以前からこのクリアー塗装がデカール貼付部以外にもかかってしまうことが気になっていたので、作例では次の方法を試してみました。
 まず基本塗装が終わったのちに、デカールを貼る部分にターナー色彩U-35グロスバーニッシュを面相筆でさっと塗ります。乾燥後にデカールを貼り、丸一日ほど乾かしたらキッチンマジックリンを含ませた綿棒でデカール周囲の余分なグロスバーニッシュを拭き取ります。この拭き取りによってグロスバーニッシュの層はデカールの下にしか存在しなくなります。こうすることで、デカールの密着は良好でシルバリングは発生しませんでした。
 デカールは機体表面のRAMコーティングやアレスティングフックのストライプなどが含まれています。このスケールではかなり小さなデカールもありますので紛失に注意しましょう。主脚柱やミサイルにぐるりと巻き付けて貼るものは、タミヤ マークフィット(スーパーハード)などの、やや強めのデカール軟化剤を使用することをお勧めします。
 実機のキャノピーはステルス機特有のコーティングが施された、じつに悩ましい色合いで天候や角度によって金色や緑色などさまざまな色に見えます。作例はガイアカラー047クリアーパープルに046クリアーブラウンを少々混ぜた色を内側からエアブラシで塗布しました。
 仕上げにGSIクレオス水性ホビーカラーH110半光沢クリアーを全体に吹き付けます。しっかり乾燥させたあと、ヌーベルカレーパステル#143セピア色を#600耐水ペーパーの上で粉末にしたものを石鹸水で溶き、平筆で機体表面に薄くウォッシングします。乾いたら水で湿らせた綿棒や筆で余分なパステルを拭い取りますが、部分的に残して濃淡のアクセントをつけます。
 ウェザリングは胴体後部の左垂直尾翼根元にあるAPUと呼ばれる始動装置にスス状の汚れがみられるので、黒の油絵具を使ってそれらしく表現しました。

タミヤ 1/72 スケール プラスチックキット

F-35C ライトニングII

製作・文/熊谷丈洋

ロッキードマーチンF-35C ライトニングII
●発売元/タミヤ●4400円、発売中●1/72、約21.8cm●プラキット


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熊谷丈洋(クマガイタケヒロ)

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