コトブキヤ新作「ゴジラ(1989)」を原型担当自ら筆塗り塗装! リアリティの上がるクリアーカラーを使用したグレー塗装に注目!!【筆塗りTribe】
2025.11.21
筆塗りTribe/ゴジラ(1989)【コトブキヤ】●伊原源造 月刊ホビージャパン2025年12月号(10月24日発売)
原型師自らが筆塗りでゴジラ(1989)を魅せる!
話題のキットから往年の名作プラモまで、どんなプラモも筆塗りで楽しんじゃおうという本連載「筆塗りトライブ」。今回はコトブキヤの新作プラキット「ゴジラ(1989)」をお届けします。塗ってくれたのは本キットの原型製作を担当したZO MODELSの代表・伊原源造。現在筆塗りトライブで活躍しているモデラーも、彼の塗りに影響を受けた者が多く、筆塗りレジェンドモデラーのひとり。しかしそんな彼も、最近はエアブラシ塗装がメインで、このゴジラは「久しぶりの筆塗り」とのこと。自分たちが生み出した最新のプラキットと、かつて思いっきりのめり込んでいた筆塗りで相対する。そんな彼の模型人生が見えてくる本作を、思いっきりお楽しみください。
(構成・文/フミテシ)
今回のパイセン
伊原源造/今回の「コトブキヤ ゴジラ(1989)」の原型を担当したZO MODELSの代表。月刊ホビージャパン連載「H.M.S.」での大活躍はもちろん、メカからクリーチャーまで、さまざまなフィールドで披露した彼の塗装は多くの人を魅了してきた。
筆塗りの準備
キットの整形
▲キットは合わせ目がほとんど目立たない構成だが、より一体感を強めたいということで、接続部は溶きパテを塗って整形している
丸筆を使用
▲伊原源造は「丸筆」を愛用。今回は上野文盛堂の丸筆や、過去に伊原がディレクション&プロデュースしてモデルカステンから発売された模型用筆「progress brush」で基本塗装。目などの細部はタミヤ モデリングブラシPROII 細を使用している
ラッカー塗料ならでは
▲こちらは何年も継ぎ足して使用している「オリジナルグレー」。さまざまなグレーが混ざり合ってまるで地層のようになっている。ラッカー塗料は一度固まっても溶剤を入れれば再度使用可能。こちらのグレーを今回使用する色に混ぜて深みを出していく
手袋を使用
▲手が汚れたり、大きな指紋が付くのを予防するために、薄い作業用の手袋を着用。100円ショップやドラッグストアで購入できる
グレー
▲メインカラーとなるグレーは、ガンダムカラーの「ファントムグレー」。隣にあるのは、コトブキヤの完成見本を塗った際に調色したグレー。今回こちらは使用しない
Ex-02 ブラック
▲美しい光沢が特徴のガイアノーツの定番ブラック。これにツヤ消し剤を添加して、好みのツヤにして塗っていく
白
▲ジェット機の塗装でよく使用されるほぼ白色のグレー「グレーFS36622」と、黄色味がかった白の「グランプリホワイト」を爪や目の塗装に使用
クリアーカラー各種
▲ゴジラのグレーに、さまざまな色味を加えるのにクリアーカラーを使用。グレーに濁ることなく赤みや黄色みを足せて、下地の透け感も活かせる
ツヤ消し剤
▲マシーネンクリーガーの塗装で横山宏が広めたツヤ消し添加剤「タバコライオン」(歯磨き粉)。今は販売されていないが、これを加えることで塗料を一気にツヤ消しにできる。粉をドバドバと投入するだけなので、とっても手軽。もちろん模型用塗料のツヤ消し剤を使用してもOK
下地塗装
Ex-ブラック+タバコライオン
▲黒下地から塗装。まずはEx-ブラックにタバコライオンを加えて、好みのツヤ消しブラックに調整する
薄めの塗料を流し込むように
▲うすめ液で緩めに溶いた塗料を、ゴジラの細かなモールドに流し込むように塗っていく
溶きパテの色が透けていても大丈夫
▲今回下地に塗る黒は、キットの成型色とはまた違った色合い。溶きパテの色が透けるくらいの薄さで塗っているが、この透けたグレーや成型色もまた、上塗りした時に色味を変えてくれる要素になるので、そのままにしておく
GODZILLA(1989)
▲クリアーカラーや光沢カラーでも塗装しているので、体表のところどころに色気のあるツヤ感が生まれる。この“生物感”を出すためには、光沢カラーを各所に使うのがポイントだ
クリアーカラーを使用したグレー塗装
▲下地の上からグレーを塗る。まずはGSIクレオスの「GXクリアグリーン」「GXクリアブラウン」「GXクリアオレンジ」を皿に出し、タバコライオンを加える
継ぎ足して使用しているオリジナルグレー
▲そこにオリジナルグレーを追加して、適宜混ぜながら塗っていく
さまざまなグレーの色味が踊る
▲ここは塗る人の好み。地面に近いところはブラウン系のグレー。血が通ってそうな箇所は赤いグレー、影色になりそうな箇所はグリーングレーと使い分けて塗っていく
基本は薄く塗っていく
▲こちらも、写真越しにも表面が濡れているのがわかるくらい緩めの塗料で塗っていく。そうすることでフィルタリングのようにうっすらとグレーにさまざまな色味が加わるのだ。下地も透けるので、黒の色味も活かせる
クリアーグレーの塗装終了
▲各クリアーカラーを混ぜたグレーの塗装が完了。ここから色味をなじませていく
ファントムグレー
▲ファントムグレーを、先ほどのクリアーカラーが入った皿に投入。ファントムグレーも各クリアーカラーと混ぜながら塗っていく
グレーの色味を確認しながら塗装
▲ファントムグレーはかなり暗めのグレー。よりゴジラらしくなる。先ほど塗ったクリアーグレー部分の色味がなじんでいない箇所などに薄く塗って、グレーの色味を整えていく
本体塗装完了!
▲先に塗ったクリアーグレーが奥まった部分に入っているので、自然と陰影が付いている。この塗装なら、後からウォッシングしたりせずにリアルな雰囲気を表現できる
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