HOME記事フィギュア【人気造形作家Yoshi.氏に聞く】52TOYS版『エイリアン』ゼノモーフの原型を務めたYoshi.氏に自身の生い立ちやゼノモーフの造形に関してインタビュー!

【人気造形作家Yoshi.氏に聞く】52TOYS版『エイリアン』ゼノモーフの原型を務めたYoshi.氏に自身の生い立ちやゼノモーフの造形に関してインタビュー!

2025.10.03

FIGLITE エイリアン ゼノモーフ【52TOYS】 月刊ホビージャパン2025年11月号(9月25日発売)

月刊ホビージャパン初登場! 52TOYS版ゼノモーフについてYoshi.氏に聞く

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 52TOYS版ゼノモーフの原型を担当したのが、『紡ギ箱』で知られる人気造形作家のYoshi.氏。月刊ホビージャパン初登場となるYoshi.氏に、プロフィールからゼノモーフの造形に関することまで、いろいろと聞いてみたぞ!

取材・構成/しげる

Yoshi.自画像

Yoshi.

フリーの造形作家・キャラクターデザイナー。ゲーム会社勤務を経て、造形作家としてデビュー。うねるような有機的な造形を得意とする。


─これまでのご経歴と、造形作家になったきっかけを教えてください。

 学生時代は特殊メイクや怪獣の着ぐるみなどを製作しておりましたが、プラチナゲームズに就職して、そこでCGやデジタル造形を学びながら働きました。具体的なタイトルだと、『NieR:Automata』や『アストラルチェイン』、『ベヨネッタ3』といったゲームで、主にロボットやクリーチャーなどのモデリングや一部デザイナーとして参加しています。さまざまなタイトルのデザインやモデリングをしているうちに自分でも世界観を一から作って、いろいろな媒体でデザインの仕事もしてみたいと思い、フリーランスになる決意をしました。

─これまでのプラモデルやフィギュアとの関わりはどのようなものでしたか?

 昔からオモチャはめちゃくちゃ買う側の人間でした。お仕事として関わらせてもらえるようになってからも「自分ならこれがほしい」とか、「こういう仕様がいい」といった要望をユーザー目線で提案したりデザインできるので、すごく幸せで楽しいお仕事だなと思っております。そんな感じなので、オモチャやフィギュアは趣味であり仕事でもあり、すっかり生活の一部になってます(笑)。

─造形に関して使用しているツールについて教えてください。

 主にZBrushでデザインや原型を行っています。絵の描けない自分にとってはこれがないと何もできなくなってしまうくらい、お世話になっているツールです。

─ご自身の代表作と言える作品は?

 やはり認知していただいているのはスタジオソータさんから発売された『紡ギ箱』でしょうか? カプセルトイというどこにでも配置されている媒体の性質上、小さいお子さんやご年配の方、海外の方など、本来なら作品のテイスト的に出会うこともなかったような方達にも認識していただけたけました。とてもありがたかったです。

─造形時に意識していることは何でしょう?

 オリジナルキャラクターの場合は、まず設定や物語を考えることから意識してますね。彼らがどんな経験をして、どんな思想で生きているのかをまず考えて、それを反映した見た目の印象になることを意識してます。お仕事のデザインの場合は、監督やディレクターさんがほしいイメージをヒアリングしながら、同時にユーザーにどういう印象を与えたいのかを聞きながらデザインを組み立ててます。

─影響を受けた作品、造形物は?

 コミック版の『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』、『アイアン・ジャイアント』などはいまだにブッ刺さってますね。健気な人外キャラがとても好きなので、自分がディレクターを務めた『IZON.』でもそれが色濃く影響されています(笑)。

─52TOYSからの最初のアプローチはどのようなものでしたか? 当初からゼノモーフを作って欲しいというオーダーでしたか?

 一番最初は「クトゥルフ系のオリジナルを一緒に作ろう!」というお話だったのですが、のちに上海ワンフェスでお会いした時に「エイリアンを作らないか?」と提案していだいて、正式に製作することになりました。

─52TOYSについてはご存知でしたか?

 もちろん存じ上げてました。特にBEASTBOX系は何個も購入してました(笑)。

─52TOYSの製品に関するご感想があれば教えてください

 ちゃんとオモチャが好きなオタクが作っているなという手触りのものが多い感じがします。変形もカッチリしていてクオリティが高いので、今でも普通に予約して購入してます。

─ゼノモーフの造形に際して、52TOYS側からの要望などはありましたか?

 「『エイリアン』の原作から離れすぎずにデザインをしてほしい」というくらいで、あとは本当に自由に製作させていただきました。

─製作プロセスについて、具体的にどのような手順や流れで製品化までたどり着いたか教えてください。

 まずは版権元様に確認してもらうための企画書用のデザイン画を用意するところからスタートでした。絵は苦手なのでラフデザインもCGで作りたかったのですが、絵での判断がまず必要とのことだったので、試行錯誤でスケッチをしました。正直、おそらくここが今回一番苦戦したとこかもしれないです。画力上げたい……!

─オリジナルのゼノモーフのデザインについて、Yoshi.さんのご感想を教えてください。

 やはり一作目のギーガーの意匠が一番反映されたデザインは今見ても美しいですし、これまでのグレイタイプの宇宙人という概念を根本から変え、のちのちのモンスターデザインに間違いなく影響と呪縛を残した無二のデザインだと思います。

─ゼノモーフというモチーフを再デザインするにあたって、考えたことや意識したことを教えてください。

 近年のエイリアンは無機質と有機質の融合というよりはクリーチャーのような質感とデザインのものが多いので、今回は一作目のような妙に人っぽさのある艶かしさや、無機質なパーツが入り込んだ異質さを意識してリデザインしました。なので、脚も逆関節ではなく人と同じような構造にしつつ、なおかつ着ぐるみ感のない比率にして人をベースにした全く異質なものであるという点が伝わるようなバランスにしました。肩パーツの隙間のある造形や、曲線で構成した身体など、オリジナル要素は入れながらも、ちゃんと誰が見てもエイリアンだと分かるくらいのアレンジに留めているつもりです。リスペクトと愛情をもって原型させていただきました。

─本製品の可動部分やギミックについて、こだわった部分を教えてください。

 「せっかくフル可動のエイリアンのフィギュアが出るのであれば、めちゃくちゃ動くものにしたいですよね」という話は52TOYSさんとはしておりまして。デザインも可動させる前提でのパーツ分割を意識して造形を進めてました。こだわりとしては、可動フィギュアでありつつも全体のシルエットはきれいで細めにした点があります。ギリギリまで細くなるようにしたかったので、ここに関しては設計側の方とかなり擦り合わせしました。

─塗装に関して、Yoshi.さんから指示を出したりチェックした部分はありましたか?

 ベーシックなカラーの方は52TOYSさんにお任せしておりました。出来上がったものを見て「ちゃんとエイリアンになった!」と一安心した記憶があります(笑)。真逆の色も見てみたいと思ったので、自分が自由に塗ったバージョンでは逆に白色ベースに末端が黒くなった塗装にしてみました。また新しい雰囲気になっているので、こちらも製品化してほしいですね!

─できあがった製品をご覧になって、感想などはありますか?

 自分の原型がここまで動くハイエンドフィギュアになるのは僕自身も初めてなので、手に持った時はとても感動しました。原型を納めた後の可動箇所の設計も、すごく元のデザインを大切にして進められたんだなということもわかって、めちゃくちゃ嬉しかったです。本当、足周りとかはものすごくよく動いてすごいですよ。ぜひ遊んでいただきたいです。

─製品に対するファンからのリアクションなどはご覧になっていますか?

 『エイリアン』は世界中にファンのいる作品なので発表までドキドキでしたが、やはり『紡ギ箱』も『エイリアン』も好きな方からはとても喜んで貰えて嬉しかったですね! コミコンで展示した際にも、海外の人からも「めちゃくちゃいいやん!」ってたくさんご意見貰えたので一安心しました(笑)

─今後も52TOYSとのコラボレーションを行っていく予定はありますか?

 エイリアンとよく対決している、あの誇り高い狩猟民族は現在製作しています! 52TOYSさんはものづくりのこだわりも品質も素晴らしいので、今後もいろいろご一緒できたら嬉しいですね。個人的には、プトゥンから裁人に変形するオモチャを作ってほしいです(笑)。

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