「HOW TO BUILD GUNDAM」の衝撃。その誕生の秘話を掲載!! 【HJ×ガンプラ45年の歩み】
2025.09.081981 HOW TO BUILD GUNDAMの衝撃 月刊ホビージャパン2025年10月号(8月25日発売)
1981
HOW TO BUILD GUNDAMの衝撃
1970年代後半に「松本零士の世界」や『スター・ウォーズ』などキャラクターモデルを扱い始めていた月刊ホビージャパンは、ガンプラ発売前からスクラッチによるガンダム作品を誌面で発表、本作の魅力をいち早く読者に伝えていた。その後、1980年7月に発売された1/144ガンダムを皮切りに、ガンプラのキットリリースが相次ぐと、すぐに特集を組み始め、1年後の1981年7月にはそれらをまとめた別冊「HOW TO BUILD GUNDAM」を刊行する。
[HOW TO BUILD GUNDAMシリーズ]
HOW TO BUILD GUNDAM(1981年7月31日刊行)
HOW TO BUILD GUNDAM 2(1982年5月31日刊行)
月刊ホビージャパンで掲載したガンダム関連作例をまとめた伝説の2冊。当時のガンプラ少年達はホビージャパンの名前は知らなくても、この2冊は知っているはずだ。当時飛ぶように売れ、その販売部数は月刊ホビージャパンを優に超えた。この2冊からガンプラにどっぷりハマった50代ファンは多いだろう。特に2号は表紙のメインテナンスハッチ・オープンガンダムをはじめ、本書用の作り起こし作例が多数収録されており、後のガンプラシーンに大きな影響を与えた。
1980年8月号(1980年7月25日刊行)
「スペースワールド」と題した特集で初めて『機動戦士ガンダム』を大々的にフィーチャー。しかし、まだ当時は1/144ガンダムが発売されたばかり。ガンダム、シャア専用ザク、ズゴック、ゲルググなど、記事を彩るほとんどがスクラッチ作例で埋め尽くされた。
1981年1月号(1980年12月25日刊行)
新年特大号では1/144ガンダムを表紙に抜擢。「ガンダムWORLD」と題した特集を敢行。1/144ガンダム、量産型ザク、シャア専用ザクを使い、劇中の名シーンを再現したディオラマ作品を掲載した。
1981年3月号(1981年2月25日刊行)
初の単独表紙となった1981年3月号では、ストリームベースによるトリプル・ドムを掲載し、大きな話題に。この号で初めて月刊ホビージャパンを買った読者も多かったという。当時は小学生からの問い合わせの電話が編集部や営業部に殺到したとか。
HOW TO BUILD GUNDAM誕生秘話
1979年4月からTV放送された『機動戦士ガンダム』は、これまでの低年齢層向けの勧善懲悪なロボットアニメとは一線を画し、“戦争”をテーマとしたシリアスな世界を描き、視聴者の対象年齢を大きく引き上げた。放送当初は視聴率が振るわなかったが、中高生や大学生を中心とした、これまでのアニメ視聴層とは異なるファンを徐々に獲得。ファンの熱い要望に応え再放送されると、その人気は一気に加速、1980年7月のガンプラ発売までつながっていく。
月刊ホビージャパン編集部でもその兆候は見られたという。TV放送後の1980年の初め頃から、まずはプロモデラーやライターの間で話題となり、スクラッチモデルでの立体作品を掲載。その記事が大きな反響を呼ぶ。1980年7月からバンダイ模型(現BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン)より、ガンプラのリリースが始まると、徐々にファンの熱は高まり、ホビージャパン編集部や営業部にはガンダム関連記事の掲載の有無に関する問い合わせ電話が増えていく。しかし、その問い合わせの大半が小学生を中心とした低学年層だったことから、高校生・大学生を読者の中心に持つ月刊ホビージャパンで、大々的にガンダムを取り上げることには少なからず抵抗があった。低年齢層向けの誌面展開を行うと、これまで本誌を支えてくれている従来の読者が離れてしまうのではないか?
という議論が社内でも沸き起こったという。最終的には「ファンの声に応える」という社長判断もあり、1981年1月号では初めてガンプラが表紙を飾り、低年齢層のみならず幅広い層より大きな反響を得ることになる。
確実な手応えを感じた編集部はすぐにガンダム単独の別冊(単行本)を企画。版権元であるサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)に打診する。しかし、当時アニメ本は多く出版されていたが、“ガンプラ本”は皆無。サンライズのほうから「売れないのではないか」という懸念を示されたという。しかし、月刊ホビージャパンでの反響に自信を持っていた編集部はサンライズを説得。かくして伝説の名著「HOW TO BUILD GUNDAM」シリーズが刊行されることになったのである。以降の本書の大ヒットはファンの皆様ならご存知かと思うが、この大ヒットを受けて急遽、ハワイへの社員旅行が決まったなど、というのはまた別の話ではあるものの、どれだけヒットしたかが窺えるエピソードのひとつと言えるだろう。
姉妹誌「HJメカニクス23」にて掲載!
メインテナンスハッチ・オープンガンダムを徹底再現!!
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