「サンドランド国王軍戦車隊104号車」TV放送中のアニメ第2話のクライマックスシーンを躍動感あるディオラマとして再現!【SAND LAND】
2025.08.23サンドランド国王軍戦車隊104号車【BANDAI SPIRITS】 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)
キットがリリースされたことは知っていましたが『SAND LAND』については知らなかったので全13話を観てみることにしました。ストーリー、登場キャラクターたち、メカデザイン、すべて鳥山明さんらしさに溢れています。「戦車と老人を描きたい」という執筆動機の通り、主役三人組のうちのひとり、保安官ラオの半生のドラマも泣かせます。戦車は主砲と同軸機銃、ハッチのハンドルや車体各部の手すりやライトなど、 各部のディテールにいかにもありそうな説得力があります。砲塔頂部や車体前部上方の円盤状のディテールは車内の空気をきれいに保つためのベンチレーターなのでしょう。『SAND LAND』の独自設定として車体4ヵ所に設置されているディテールは、中に「反石」と呼ばれる反重力物質が入っていて車体を軽くしているとのことで、軟弱な砂漠に足周りが埋まって走行不能になることを避けているのだと想像できます。
キットはバンダイらしく、劇中のディテールを過不足なく再現していて、かつスナップフィットで誰にも簡単に組み上げられる内容となっていて、万人にオススメできる良キットとなっています。車内ディテールもパーツ数を抑えつつ弾薬箱や消化器など細かく再現されていて、消化器のラベルや、ラオのかつての妻が写った雑誌の切り抜きまでシールで付属しています。
今回は第2話「国王軍の秘密」のなかで空中に浮かぶ国王軍の飛行運搬船/飛行タンク船を撃つため、反石を調節して1562kgまで重量を軽くし、ベルゼブブとお目付役のシーフがふたりで持ち上げている場面としました。
車体を浮かせているため、中ほどの転輪をサスペンションが緩んだ状態に改造。スケールモデルの戦車キット同様に履帯は組み立て式となっているのも嬉しいところですが、こちらも転輪に合わせてお湯に浸けてから曲げて弛んだ状態にしています。劇中で積み込まれたカバンや毛布をプラ板やエポパテで自作して追加しました。ただし、車内後方に滑り落ちているはずの、前方に積み込んだカートンは省略しています。ラオは砲手席に座らせ、ベルゼブブは戦車を持ち上げるポーズに大改造しました。なお、砲手席は一体成型のため、手すりを切り抜いてそれらしく追加工作しました。シーフはキット付属のフィギュアを小改造。フラッグはプラペーパーで作り替え、ポールはピアノ線にしました。
ベースはすべてスタイロフォームの切り出しにタミヤテクスチャーペイントを塗って仕上げています。轍部分は石粉粘土。小石は赤玉土を接着しています。

BANDAI SPIRITS 1/35スケール プラスチックキット
サンドランド国王軍戦車隊104号車
ディオラマ製作・文/山田卓司
サンドランド国王軍戦車隊104号車
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●6380 円、発売中、●1/35、約11cm●プラキット
映画『SAND LAND』Blu-ray&DVD、好評発売中!
2023年8月劇場公開『SAND LAND』のBlu-ray&DVDが好評発売中!本編106分に加え、特典映像に特典ディスク、さらに56ページの豪華特製ブックレット、オリジナルステッカーなどの封入特典がセットになった特装限定版(9900円)、通常版のBlu-ray(6380 円)、DVD(5280円)の3種類が用意されている。(発売・販売元/バンダイナムコフィルムワークス)
アニメ「SAND LAND:THE SERIES」
鳥山明氏の名作コミック『SAND LAND』を原作に、サンライズ、神風動画、ANIMAの3社制作によりアニメ化。2023年劇場作品『SAND LAND』に未公開カットや新たなシーンを追加し再構築した「悪魔の王子編」は第1話~第6話、鳥山氏が考案したフォレストランドを舞台にベルゼブブたちの新たな冒険を描いた「天使の勇者編」第7話~第13話の計2章、全13話構成となっている。
アニメ「SAND LAND:THE SERIES」
●毎週土曜よる11時45分~NHK総合テレビにて放送中!
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©バード・スタジオ/集英社 ©SAND LAND製作委員会
山田卓司(ヤマダタクジ)
本誌を代表するレジェンドディオラマビルダー、情景王。キャラクターからAFVまでさまざまなジャンルを手掛ける。