Ma.K.in SF3D
CAMEL

2021.07.09

Ma.K. in SF3D 月刊ホビージャパン2021年8月号(6月24日発売)

ロゴ

新たなカラーリングで傑作キットを堪能する

 2013年の発売以来、傑作キットとしての呼び声も高いハセガワ製1/20キャメル。2021年4月に成型色を変更しパッケージ、塗装カード、デカールを一新した“オペレーション・ダイナモ”版として再販された。
 横山宏はコクピットをビリヤードの8ボールに見立てた意欲的な完成品を発表。これに触発されたMAX渡辺は従来のキャメルのカラーリングと異なる“日本の野鳥”をイメージさせる作例を製作。両者とも無改造で新たなカラーリングに挑み、キットのポテンシャルの高さを証明することとなった。新鮮なカラーリングの傑作キットをじっくりご覧いただこう。


CAMEL MAX渡辺

▲本体下面の大胆なオレンジイエローが目を惹くMAX渡辺のキャメル。『Ma.K.』では珍しい色の組み合わせが新鮮だ
▲堅牢に自立するキャメルの脚部。組み立て時にシュトラール軍のクレーテ系脚部とのデザインの違いや機能的な構造が堪能できる
▲キャノピーの白い縁どりとハートウイングが全体を引き締める
▲月刊ホビージャパン1984年5月号に掲載された横山氏のキャメル初期アイデアスケッチ。球状のコクピットを基にデザインを進めていったことがわかる
▲濃淡2色のオリーブグリーンとオレンジイエローの組み合わせの妙が楽しめる側面。グリーン系の塗装面には白い注意書きのデカール、イエロー部には黒い注意書きを貼っていることにも注目。各部のバルジ(ふくらみ)や赤系のコード類が有機的な印象を与える
▲オリジナルモデルでは戦車の転輪やバイクのパーツを組み合わせて作られた脚部。全体が白く塗装されている

■夏です! 梅雨なんかすっ飛ばして夏!! ケッテー!!
 2021年6月、異例に早い梅雨入りか? って話題でしたが、まだ入ってない説?
 とか言っているうちに真夏日連発!! 天気って難しい!! そんなわけで決めました! もう夏です! 6/14からずっと雨予報が出てますが、夏の雨です!! そんな気分の模型芸人、トライアスロンシーズン到来ですよ♪

■祝! 名作キットキャメル8年ぶりの再販!!
 SFミリタリー遊びが『Ma.K.』の本懐なわけですが、キャメルって数ある横山デザインの中でもとびきりSF濃度が濃ゆいモチーフではないかと思うんですね。もっと言うとSF映画プロップ濃度とでも申しましょうか。
 月面をジャンプしながら移動するキャメルの動画が観たい! すごく観たい!! と思うのは僕だけではないはずです。そんなキャメル、初リリースから8年目にしてリニューアルパッケージ、成型色変更で再販と相成りました♪ めでたい!! キットのストックがなくて難民化していたファンの方も多いはず、さぁチャンスですよ♪♪

■カラーレシピ、奇策に走ってみましたが……
 初版発売時、そして今回の再販と横山センセの作例カラースキームが痺れるほどかっちょいいでしょお。マヂでジェラしぃですよ。いっそフルコピーしちゃおうかって思ったのだけど、記事的にはイマイチですよね。それはそれで個人的にやるとして、さぁどうしようかと。
 少しだけ考えて無難な線で今までやってなかったことをやろうと思い立ちました。オリーブグリーンの濃淡2色の迷彩にムーンライトなグレーの下面でやれば収まりは間違いなかろうと読んで。はたしてペトペトと上面を塗り進めていくうちに、これは失敗しないな、っていうのが確信出来ました。と、同時に仕上がりが良くも悪くも見えちゃったのです。で、気がついたらオレンジ味のオフイエロー作って塗ってましたよ模型芸人ww 普段の『Ma.K.』だと小面積に使うと効果的な挿し色になるカラー、識別帯なんかに使う系統の色です。大面積に塗るのはちょっと勇気がいるけど、日本の野鳥みたいになるといいなぁと思い、エイヤッって塗ってみました。どうにも気に入らなければ塗り直せば良いのですから。さてさて、あれれ? 悪くないww
 というわけで塗り直すのはやめてそのまま採用、コクピット横には羽根の生えたハートがカタチ、大きさ、色ともにバッチリはまりました♪ 〆切が重なって唸りながらの仕上げでしたが、こういう切迫した時って意外にも結果は悪くないことが多いんです。集中力ってやつですかね。(MAX渡辺)

ハセガワ 1/20スケール プラスチックキット

傭兵軍 月面用戦術偵察機 キャメル

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、堤啓介

CAMEL 横山宏

▲ハセガワのキットパッケージにもなった横山氏の“エイトボール”機の完成見本。キャメルは月面を跳躍するシーンが似合う
▲ビリヤードの8ボールに見立てたコクピットのレスキューボールとグレー系迷彩のコントラストが美しい横山氏のキャメル
▲後方からのショット。本体下面は1984年のオリジナルモデルを彷彿させるようなホワイトで塗られているのがわかる
▲キャノピーの裏側にはエアブラシで薄くゴールドを吹いてある。コクピット内部の密度間の高いディテールやサイトウヒール氏原型の全身フィギュアが完成後に見えるのもキャメルの魅力のひとつだ
▲アンテナはオレンジがかった金属色で塗装。本体下面後方には8ボールに羽が生えた“マイティエイト”の部隊マークが貼られている
▲月面の低重力を利用して跳躍するキャメルを再現するために真鍮パイプと真鍮線を組み合わせた軸で厚めの木製ベースに固定した

▲コクピット内のフットペダル部はパイロットを乗せる際に折れやすいので、真鍮線を通して回転可動できるようにした

▲1.暗いグレーの塗装後に表面を傷めないようマスキングテープを貼ってコンパスでアタリの円を描く
▲2.細い筆で象牙色を少しずつ塗る
▲3.円定規で直径の異なる円を描き8の字のアタリを付ける
▲4.暗いグレーで慎重に塗る
▲5.はみ出た部分をリタッチして完成!

 最初にこのキャメルをスクラッチしたのは1984年だから37年も前だ。なんと28歳の子供さん。この時代は『スター・ウォーズ』のように白で全体を塗るだけで「宇宙の乗り物」になった時代でした。当時の読者も月面で真っ白なキャメルが出てきたので喜んだんじゃないかな。しかも日東から『SF3D』のプラモデルが発売された頃だから、キャメルのキット化を期待してた人もいたと思います。
 そこから30年! ハセガワ様からプラモデル化されたのだ。ずっと待ってた甲斐のある傑作キットになりましたね。脊戸君の天才的な設計で左右の脚が共通パーツになっていて組み方で左右として使えるのがバツグンにいい。これは実際の兵器でも重要なことで、左側と右側の生産ラインを分けて兵器を作ってると戦争に負けちゃうよね。そういう意味でもキャメルのキットはすごくリアルに作られているんですよ。
 今回のキャメルは襟巻型の装甲が付いた後期型として再販するということで、新しいカラーリングを考案します。コクピットのレスキューボールをビリヤードの黒い8ボールに見立てたんだけど、「エイトボール」ゲームは8のボールを途中でポケットに落とした人が負けになるんですよ。だからアメリカの戦闘機や爆撃機では8ボールが撃墜されないお守りとしてマーキングされているんです。そういう意味があるので、この塗装のキャメルは海外ですごく評判がよかったんですよ。
 8ボールの白い丸や8の数字はコンパスで丸を描いてから筆で描いてます。白い部分は象牙色に塗るとビリヤードっぽくなることを発見しました。よりビリヤードのボールっぽくしたい人は付属デカールの白い部分を象牙色で上塗りしてみるといいよ。
 フォッケウルフFw190 A-8/R2に黒い機首のカッコいい機体があります。キャメルの頭を8ボールの黒にしたから胴体はフォッケウルフのA-8/R2に使われているグレーの迷彩にしました。筆で塗った迷彩の境目はエアブラシでぼかしてなじませます。
 キャメルはこれだけ大きいのに2本脚でしっかり自立するし、ヒール君の全身フィギュアもよくできててとてもいいキットになっています。今後はキャノピー部分を装甲で塞いだり重武装したバリエーションも出したいなあと思ってるので楽しみに待っててね。

ハセガワ 1/20スケール プラスチックキット

傭兵軍 月面用戦術偵察機 キャメル

製作・文/横山宏


[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.99

傭兵軍 月面用戦術偵察機 キャメル

 SFテイストあふれるデザインで根強い人気を誇るキャメル。傭兵軍では装甲スーツ以外での月面用2足歩行兵器はキャメルしかなく、汎用戦術偵察機として月面で使用されます。初出は月刊ホビージャパン1984年5月号。レスキューボールになる球状のコクピットが印象的なデザインの経緯を横山先生に伺いました。
「キャメルのデザインは最初にボール状のコクピットを考えて、それに胴体を付けていきました。当時アイデアスケッチを描いてます。イギリスの宇宙特撮に出てきそうなメカにしたかったんだね。『2001年宇宙の旅』のスペースポッドやディスカバリー号の先端がそうだけど、宇宙のメカのコクピットは球状のものが密閉性や強度から考えてもSFっぽくって説得力があるんですよ。キャメルは『2001年-』や『謎の円盤UFO』などのオーセンティックなSF作品に出せるようなカタチなんでしょうね。ニュルンベルクのモデルデスヤーレスでも賞をもらったし、最近もサンディエゴのホビーショーでキャメル作った人が賞を取ってましたよ。トム・クルーズ主演の映画『オブリビオン』でもキャメルっぽいメカが出てるし、丸いコクピットっていうのはパブリックなイメージなんでしょうね」
 横山先生はガチャガチャの大型カプセルをコクピットにしてからボディや脚部を製作したため、キャメルはクレーテやジェリーより大きな2足歩行兵器となりました。バイクのフロントフォークや戦車の転輪などの流用パーツで巧みに補強して作った脚部もクレーテ系とは一味違った趣があります。
 キャメルは傭兵軍の月面兵器ということで、ファイアボールのL.O.G.タンク、水平状のレーダー、バーニアノズルなどの意匠が継承されているのも見逃せません。水平のレーダーはファイアボール同様、360度くるくる回る設定です。レーダーを回転させて斜めにすると機体の印象が結構変わるのでオススメです。
 デザイン的に完成度の高いキャメルですが、2013年のハセガワプラキット発売時に襟巻型の追加装甲が発表された以外は、バリエーション機は立体化されていません。そこで月刊ホビージャパン2021年8月号で横山先生が言及されたキャノピーを装甲で覆ったキャメルや重武装化したキャメルに期待が高まります。キャノピーを塞ぐということでS.A.F.S.的進化を遂げるのかな? とドキドキしながら登場を待ちたいと思います。

文/KATOOO(レインボウエッグ)

月面用戦術偵察機 LUM-168キャメル
“オペレーション・ダイナモ”

●発売元/ハセガワ●7590円、発売中●1/35、約30cm●プラキット


1/20ラクーン再販決定! 横山氏の新規作例公開

 1/20ラクーンの再販が決定! 2013年の発売以来8年ぶりの再販となる。再販にあたり横山氏の新規作例を公開!! グリーン系の迷彩にハードなウェザリングが映える仕上がりとなっている。

S.A.F.S. type R ラクーン

●発売元/ウェーブ●価格未定、発売時期未定●1/20、約11cm●プラキット


「レディメイドメタル2」開催! 横山宏の最新作品を展示!!

 横浜のMERRY ART GALLERY本館で「レディ メイド メタル2」が開催中。第1回に続いて横山宏、MAX渡辺の作品が展示される。

▲「She attacks the new coronavirus」横山宏(フィギュア原型/林浩己)

レディ メイド メタル2

開催日/6月12日~7月4日(日) 12:00~20:00※月曜休館
場所/MERRY ART GALLERY本館神奈川県横浜市中区諏訪町16-1F
入場料/500円

© Kow Yokoyama 2021

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MAX渡辺 横山宏 KATOOO(レインボウエッグ)

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