HOME記事ガンダム「HG 軍警ザク」をラッカー塗料筆塗り!光沢や密度が大きく変化して情報量が格段に増す大森記詩流の塗り重ね方法を伝授!【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】

「HG 軍警ザク」をラッカー塗料筆塗り!光沢や密度が大きく変化して情報量が格段に増す大森記詩流の塗り重ね方法を伝授!【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】

2025.08.11

ラッカー塗料の塗り重ねで実現する 筆で宿す“重み”の表現/MS-06-SSP 軍警ザク【BANDAI SPIRITS 1/144】●大森記詩 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)

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マスキング無しでもまっすぐな白線は引ける!

塗料皿にホワイトとグレー取り出した状態
▲白ラインはシールではなく塗装で再現。まずはグレーFS36320で下描きし、上からホワイトFS17875を重ねる
大森記詩製作「軍警ザク」製作途中白線の塗り方1
▲塗りたい白線より小さな筆を使い、「だいたいこのあたり」と決めて短い線を何度も引いて線をつなげる。この段階では完全な直線を目指すのではなく、ドライブラシの感覚で進める
大森記詩製作「軍警ザク」製作途中白線の塗り方2
▲次にホワイトを混ぜたグレーで上塗り。筆のかすれを活かすよう、綿をちぎったような“毛羽立ち”のようなタッチを意識
大森記詩製作「軍警ザク」製作途中白線の塗り方3
▲最終的にホワイトを重ねて完成。下地のグレーを完全に塗り潰さず、下色のかすれを残して仕上げる
大森記詩製作「軍警ザク」製作途中白線の塗り途中スネ
▲スネ部分も同様の手順。白いラインを線として捉えるのではなく「帯」と捉え、複数回線を重ねて面を塗るように考えると。マスキング無しでもまっすぐな線に見せることができる

武器の塗装も同様に“重み”を意識して

塗料皿で明るめのグレー調色中
▲ザク・マシンガンは本体のグレーよりやや明るめに調整。皿上で本体色と差が出るよう工夫
大森記詩製作「軍警ザク」マシンガン塗装中
▲こちらもまずはドライブラシで金属感を出し、エッジを残すように塗る。特にマガジン周辺は“使用感”を意識して金属感を残し気味に
大森記詩製作「軍警ザク」マシンガン塗装後
▲光沢感を抑えながらも金属の素材感が見える仕上がりに。奥まった部分との明度差で、立体感も強調される
大森記詩製作「軍警ザク」塗装比較
▲本来は全体的に手を入れるが、今回は撮影用に片側のみで進めてもらった。作業時間は約4時間。時間以上に「密度」が出ており、ここから塗るほどに“重さ”が宿る
大森記詩製作「軍警ザク」胴体
▲青系の微妙な色味の変化、筆跡、光沢感が混在しつつも破綻しない塗面。筆の跡は見えるが、不自然に主張せず、全体に溶け込んでいる。溶剤にリターダーを加えた効果がはっきりと表れている
大森記詩製作「軍警ザク」背面バーニア
▲背面の密度も非常に高く、パーツごとの質感の違いがしっかりと描き分けられている
大森記詩製作「軍警ザク」素組み比較
▲素組み(左)との比較。塗装によって色味の深さだけでなく、表面の光沢や密度が大きく変化している。塗り方だけで“情報量”が格段に増しており、大規模な工作を加えずともここまで印象を変えられることに注目したい
大森記詩製作「軍警ザク」

■魅力的なボックスアートの軍警ザク
 往年のSF映画に登場する近未来警察車両を彷彿させるボックスアートを参考に、劇中で日夜任務に従事する機体の使用感やモビルスーツの巨大感、1/144というスケール感を意識しながら、色をディテールとして取り入れています。今回は基本塗装後に仕上げの工程を行わず、筆致から覗くベースの黒色を物理的な剥がれ、機体色の濃淡をかすれや経年変化の表現として残したり透かしたりしながら、表情と密度のある色面を目指しました。
 レイヤーのように透過させながら塗ることができるラッカー塗料の特性を活かして、予め調色した機体色を均一に塗るのではなく、ボックスアートの濃淡の具合を参考にしながら3段階の青を塗り進めました。今回はモデル上で色が混ざり合うブレンディング効果よりも、薄い塗料の層を乗せながら思い描く色合いを作り出していくという感覚がポイントになります。隣り合った色の作用だけでなく、こうした色の奥行きを作り出せるのもラッカー筆塗りの魅力のひとつですよね。今回の塗り方だと発色するまで手間と時間がかかってしまうのでは? と思うかもしれませんが、ラッカーかつ薄塗りのため乾きも早く、筆致のばらつきも表情の幅になるため塗り潰しを気にしなくていいこともあり、想像よりもずっとスムーズに発色させることができます。また、溶剤を少し多めに含む薄塗りのため下の塗料が泣いてしまうことがあっても、これは視点を変えればまさにブレンディングになりますし、焦らず他の場所を塗り進めながら、にじみが乾いたらまた重ねてみましょう。意図しなかったにじみも筆塗り独特の情報量になってくれるので、リカバリーするという意識ではなく、いい表情のキッカケとして捉えてみてください。薄塗りだから泣きが生じる時もある、されど、薄塗りだからこそいい表情として取り込めるというわけです。完成までシームレスに塗り進められるラッカー筆塗りにぜひチャレンジしてみてください。

大森記詩製作「軍警ザク」

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレード”

MS-06-SSP 軍警ザク

製作・文/大森記詩


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