「HG 軍警ザク」をラッカー塗料筆塗り!光沢や密度が大きく変化して情報量が格段に増す大森記詩流の塗り重ね方法を伝授!【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】
2025.08.11ラッカー塗料の塗り重ねで実現する 筆で宿す“重み”の表現/MS-06-SSP 軍警ザク【BANDAI SPIRITS 1/144】●大森記詩 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)
マスキング無しでもまっすぐな白線は引ける!
武器の塗装も同様に“重み”を意識して
■魅力的なボックスアートの軍警ザク
往年のSF映画に登場する近未来警察車両を彷彿させるボックスアートを参考に、劇中で日夜任務に従事する機体の使用感やモビルスーツの巨大感、1/144というスケール感を意識しながら、色をディテールとして取り入れています。今回は基本塗装後に仕上げの工程を行わず、筆致から覗くベースの黒色を物理的な剥がれ、機体色の濃淡をかすれや経年変化の表現として残したり透かしたりしながら、表情と密度のある色面を目指しました。
レイヤーのように透過させながら塗ることができるラッカー塗料の特性を活かして、予め調色した機体色を均一に塗るのではなく、ボックスアートの濃淡の具合を参考にしながら3段階の青を塗り進めました。今回はモデル上で色が混ざり合うブレンディング効果よりも、薄い塗料の層を乗せながら思い描く色合いを作り出していくという感覚がポイントになります。隣り合った色の作用だけでなく、こうした色の奥行きを作り出せるのもラッカー筆塗りの魅力のひとつですよね。今回の塗り方だと発色するまで手間と時間がかかってしまうのでは? と思うかもしれませんが、ラッカーかつ薄塗りのため乾きも早く、筆致のばらつきも表情の幅になるため塗り潰しを気にしなくていいこともあり、想像よりもずっとスムーズに発色させることができます。また、溶剤を少し多めに含む薄塗りのため下の塗料が泣いてしまうことがあっても、これは視点を変えればまさにブレンディングになりますし、焦らず他の場所を塗り進めながら、にじみが乾いたらまた重ねてみましょう。意図しなかったにじみも筆塗り独特の情報量になってくれるので、リカバリーするという意識ではなく、いい表情のキッカケとして捉えてみてください。薄塗りだから泣きが生じる時もある、されど、薄塗りだからこそいい表情として取り込めるというわけです。完成までシームレスに塗り進められるラッカー筆塗りにぜひチャレンジしてみてください。

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレード”
MS-06-SSP 軍警ザク
製作・文/大森記詩
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筆跡を重ねて塗り上げる

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