造形王・山田卓司の「昭和100年ディオラマ」シリーズ連載決定!第1回はタミヤのフォルクスワーゲンを軸にした「お医者さんが来てくれた日」
2025.07.24お医者さんが来てくれた日【スクラッチビルド 1/24】●山田卓司 月刊ホビージャパン2025年8月号(6月25日発売)
お医者さんが来てくれた日
情景王の昭和100年ディオラマシリーズ始動!
今年2025年は和暦では令和7年ではあるが、昭和で数えるとちょうど100年目を迎えている。そこで今回から昭和100年を記念し、昭和の風景を切り取っていく不定期連載がスタート。もちろん製作を担当するのは、これまでも懐かしき昭和時代を情緒あふれるディオラマとして描いてきた情景王・山田卓司。記念すべき第1回は「お医者さんが来てくれた日」。タミヤの1/24フォルクスワーゲンを軸に、古き良き木造家屋などをスクラッチで製作している。
▲医者と看護師はタミヤ「キャンパスフレンドセットII」をベースにエポパテを盛り付けて改造。ナースキャップは薄手のプラペーパーを折り曲げて再現している
▲フォルクスワーゲンはタミヤ1/24 スポーツカーシリーズNo.136 フォルクスワーゲン 1300 ビートル 1966年型。ウインドウや車体各部のメッキモールはハセガワ「ミラーフィニッシュ」、ナンバープレートはウェーブの「N・デカール」、車検証はフジミの「ご当地ナンバープレートデカール」を使用している
▲木造二階建ての民家は近隣の古民家を資料に、屋根瓦、雨樋に至るまでプラ板、プラ棒などでスクラッチ
昔の映画やテレビドラマを観ていると、お医者さんが個人宅を訪ねて往診する場面をよく見ます。我が家は隣が病院だったので往診してもらった経験はないのですが、これは昭和の風景としていつか作っておきたいと考えていました。20年くらい前「フォルクスワーゲンを使って何か作品を」という発注があったものの、あいにくその話はキャンセルになってしまい作らず仕舞いになっていました。フォルクスワーゲンが似合うオーナーならお医者さんが良いのでは? と考えていたら先の構想と結び付き、以来この「お医者さんの往診」のアイデアを温め続けていたのです。
まずはフォルクスワーゲン。こちらはタミヤ1/24のキットを使用。発売時期は少し古いのですがモールドはシャープで、エンブレムなどはメタルインレットが用意されています。ウインドウや車体各部のメッキモールはハセガワ「ミラーフィニッシュ」を使用。ナンバープレートはウェーブの「N・デカール」。こちらは現在絶版なのが本当に残念。昔の車検証はフジミの「ご当地ナンバープレートデカール」より。現在の道路はほとんどの地域が舗装されていて、自動車が大きく汚れることはありませんが、この時代ならばということで、足周りはウェザリングを施しています。お医者さんと看護師さんはタミヤ「キャンパスフレンドセットII」より改造。ナースキャップはいろいろと調べて実物に近い薄さのプラペーパーを折って作りました。
背景となっている二階建ての民家は“昭和”を一番感じさせる下見板張りの木造建築。古い民家は残された写真資料がたくさんあるのですが、自宅近くに奇跡的に現存していたお宅を発見。資料とさせていただきました。玄関の格子戸や窓など建具はエバーグリーンのプラ材より。結果的に屋根瓦、雨樋に至るまで、この民家は100%プラ材による工作です。ベージュ色のプラ板はこちらも現在絶版のウェーブのプラ板。木製のものを作るのに重宝するので復活してくれると良いのですが。プラ板はノコギリや鬼目ヤスリで擦って木の質感を表現しています。令和の現在に見られる風化した質感は、建ってから日が浅いであろう昭和時代の民家の再現としてどうなのだろう? と悩みましたが、今回は模型としての説得力を優先させました。
地面は家の基礎部分を含めて地面の凸凹に至るまでスタイロフォームの削り出し。地表はタミヤテクスチャーペイントに加えて赤玉土を砕いた土を撒いています。プラ板より作ったコンクリート製ゴミ箱と、お散歩中の野良猫をレイアウトして完成。
1/24スケール スクラッチビルド
お医者さんが来てくれた日
ディオラマ製作・文/山田卓司
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山田卓司(ヤマダタクジ)
月刊ホビージャパンを代表するレジェンドディオラマビルダー、情景王。キャラクターからAFVまでさまざまなジャンルを手掛ける。