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スミ入れにどの色を使う? 組み立て前にスミ入れするのはアリ?【いまさら聞けないプラモデルの基礎:素組みへのスミ入れ2】

2025.07.05

初めてでも安心!プロモデラー「ノモケン」と学ぶプラモデルの入り口!! File.09


どの色を使う? 流し込みスミ入れペンでのスミ入れ

パーツ色との組み合わせで効果的な色を考えよう。ガンダムマーカー流し込みスミ入れペンでのスミ入れ

 前回、「スミ入れ」は、モールド(形状)を強調する演出的な塗装ですと紹介しました。今回は凹みに流し込みやすいマテリアルを使った実践編です。ここではひとつのキット全体にスミ入れするので、パーツの色とスミ入れ色の組み合わせを考えておくことも大切です。スミの色によって見た目の印象も変わりますし、パーツ色によって効果が出やすい場合、出にくい場合もあります。そんなところを踏まえて、スミ入れの工程を紹介していきます。

①スミ入れをする

▲ この例は「ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン」を使いランナータグに試し塗りをして、それぞれのパーツ色に対してスミ入れ塗料の色がどのように見えるのかチェックします。流し込む色は透け気味に着色され、濃い色の上では分かりにくくなります
▲ パーツ色が濃い場合、影色ではなく明るめな色でスミ入れし、モールドを引き立たせたりもします。この例はダークグレーのパーツにライトグレーやオレンジでスミ入れしてみました。色の違いで印象が変わるのが分かるでしょう
▲ こちらは脚の白いパーツにグレーとブルーでスミ入れした比較。グレーでは濃淡が強く出て全体の印象が沈んだ印象。ブルーはそれよりも淡く、ホワイトが引き立つように感じられます。今回は、こちらのブルーで白いパーツをスミ入れすることにしました
▲ 実際のスミ入れ工程。ガンダムマーカー流し込みスミ入れペンは塗料がミゾに流れやすいものです。ミゾや凹みにインクが入るよう、パーツの所々にペン先をあてていきます。ハミ出しなどあまり気にせずに塗っていきましょう
▲ パーツ全体にスミ入れしたところ。少し乾いてから拭き取るので、先に塗り進めてしまっています。スミ入れ前には気付かなかったリベット跡(小さな凹み)にも塗り足し、ハミ出しがある状態です

②ハミ出した塗料の拭き取り

▲ 素組みの場合、パーツ色を傷める心配は少ないので擦り気味にハミ出しを拭き取っていけます。細く切った消しゴムを使うと各面に対処しやすく、効率がいいです。厚みは残し、しなりにくくして使うのがポイントです
▲ 広めの所は消しゴムの“面”で、細かな所は消しゴムの“カド”を使って、拭き取っていきます

▲ この塗料は専用の“消しペン”で余分な塗料を拭き取ることもできます。細かな拭き取りをする場合は、消しペンの液を綿棒などに染みこませ、これで拭き取ることで繊細な作業が可能になります

▲ 身近にあるティッシュなどでも拭き取りは可能です。こうしなくてはいけないということはありませんので、自分に合った方法で仕上げていきましょう

③無い色は違うスミ入れ塗料も使用してみよう

▲ ガンダムマーカー流し込みスミ入れペンにはブラックがありません。また流し込み用では塗りつぶしもできないため、横のダクトは油性ペンであるガンダムマーカー スミ入れ用で塗装しました
▲ こちらは爪楊枝でハミ出しをこすり取っている様子。細かい箇所、シャープに仕上げたいところでは、このようなアイテムが役にたちます

④スミ入れ後にゲート跡を見つけた場合の対処

▲ スミ入れがゲート跡に溜まった場合。出っぱりならばナイフで削ぐなどして整えます。凹みの場合は消しペンの液で溶かして薄めましょう。詳しいゲート処理は「ゲート処理回」を確認してください
ゲート処理回の記事はこちら

割れ防止! タミヤスミ入れ塗料でランナーのままスミ入れ!!

ランナーから切り離さずにスミ入れはできるのか?

 スミ入れに最適な濃度に調整されているエナメル系塗料である、タミヤのスミ入れ塗料。前回ご紹介したように、凹みに沿って流れやすいので、モールド全体を一気に塗ってスミ入れしていくことができます。一方、エナメル系塗料はハメ合わせなどパーツに力が掛かったところに使うと“割れ”を起こす危険があります。それならば組み立て前、ランナーからパーツを切り出す前にスミ入れ塗装をし、そのあと切り離して組んでいけば良いのでは? ということでやってみました。ランナー状態のままのスミ入れはどんなことになるのか見ていきましょう。

①スミ入れをする

▲はじめにランナーごとに使うスミ入れ色を考えます。ここではホワイト、ブルー、ダークグレーの箇所には「グレイ」、レッド、の箇所は「ブラウン」、イエローの箇所は「オレンジブラウン」を選びました
▲スミ入れ塗料は使う前にしっかり撹拌しておきます。キャップ裏の細いブラシを使って、各パーツへ手早く塗っていきます。他に筆を使う程でもありませんでした
▲凸凹の多いところも、スーッと流れやすいので、ハミ出しを抑えつつ塗っていけます。凹みに塗料をが溜まりすぎないようにしましょう

②ハミ出した塗料の拭き取り

▲ タミヤ スミ入れ塗料はエナメル塗料なので、エナメル系の溶剤で拭き取りができます。溶剤を綿棒などに含ませて拭き取っていきましょう。速乾性エナメル系溶剤(ガイアノーツ)は溶剤の乾きが速いので、拭き取り跡が残り難く、パーツへの浸透も抑えられます
▲ スミ入れ塗料が半乾きくらいの状態で、綿棒でハミ出しを拭き取っていきます。乾いてきたら溶剤を少しつけて使いますが、溶剤が多いと凹みの色まで薄くなりやすいので注意します
▲ 画像はMr.クリンスティックII [プラモデル用品](GSIクレオス/660円)で拭き取っているところ。密度の高いスポンジ状の先端で、パーツ面のハミ出しを拭き取るのに適した道具です。綿棒のようにケバ立ちがおきず、仕上がりがシャープになります
▲ 各色にスミ入れを済ませました。色ごとに進められるのと、ランナーを持って作業ができるのは良かった点。ゲート付近はランナーが邪魔で拭き取りがしづらい場面もありました。各パーツがばらけた状態なので、作業全体では意外と時間が掛かったように思います。このあと、切り離して組み立てました

③ランナーのままスミ入れした際のゲート跡の対処

▲ ランナーのままスミ入れ塗装をすると、ゲートの周りに塗料が残りやすく、組んだあとにそこが目立ってしまいます。そういった場所は通常のゲート処理をするわけですが、ゲート周辺に残ったスミが無くなる程度に整形するので、それが目安にもなってくれます
ゲート処理回の記事はこちら

[次のページ]スミ入れの仕上がりをチェック! >

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