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1/32 キティホーク「T-28 B/D トロージャン」キットレビュー! ベトナム迷彩を施し武装を搭載した実戦仕様で仕上げる!

2025.06.18

T-28 B/D トロージャン【キティホーク 1/32】●石原肇 月刊ホビージャパン2025年7月号(5月23日発売)

T-28 B/D トロージャントップ画像

50年代を代表する米軍練習機を
ベトナム従軍仕様で仕上げる!

 第二次大戦後の1950年に就役、前輪式のジェット戦闘機訓練に対応した初等練習機T-28トロージャン。米海軍向けのB型は他国空軍へ輸出された他、米空軍でも戦術攻撃機型に改修したD型を1960年代のベトナム戦争で運用している。復活したキティホークの名作1/32スケールキットを、ベトナム迷彩を施し武装を搭載した実戦仕様で仕上げる。

T-28 B/D トロージャン 後ろ
トロージャン 前
▲T-28Dは、対ゲリラ戦用にA型の主翼を強化しガンポッド、ロケット弾ポッド、爆弾などを搭載可能にした支援攻撃型。エンジンやカウリングなどはB型に準じた改修が施された
トロージャン プロペラや内部エンジン
▲キットのエンジンカウリングは5分割されているので、隙間や段差が生じないように注意し、正確な円形になるように組み立てよう。プロペラや内部のR-1820エンジンも精密に再現されている
トロージャン カウリング周り
▲カウリングはB型以降の特徴を再現し、上部左右のカウルフラップ、下部のオイルクーラーアウトレットは開状態とすることができる。排気管は片側3本が収められている
トロージャン 3分割されたキャノピーはコクピット内部の出来がよいこともあり開状態として製作。
▲操縦席下部には「Zorro’s Mistress」のマーキングが描かれる。3分割されたキャノピーはコクピット内部の出来がよいこともあり開状態として製作。パイロットフィギュアは他キットからの流用
前方にフィンが付いた角形の垂直尾翼は、ノースアメリカン社の傑作戦闘機P-51ムスタングに似た形状。各翼の動翼はすべて別パーツ構成なので、動きを付けることが可能
▲前方にフィンが付いた角形の垂直尾翼は、ノースアメリカン社の傑作戦闘機P-51ムスタングに似た形状。各翼の動翼はすべて別パーツ構成なので、動きを付けることが可能だ
トロージャン 前 別アングル
▲デカールはアメリカ海軍/空軍、フランス、タイ、フィリピン、航空自衛隊など多数の運用国を用意
主脚収納庫はパーツ数を惜しまずリアルな仕上がりを実現。主脚ホイールは2種類、前輪は3種類から選択できる
▲主脚収納庫はパーツ数を惜しまずリアルな仕上がりを実現。主脚ホイールは2種類、前輪は3種類から選択できる。胴体下面の穴開きエアブレーキも開閉選択式だ
D型の他、B型改修型で主翼下に搭載可能となった12.7mmガンポッド、Mk81爆弾2発、ロケット弾ポッド。爆弾は他社のキットから流用、実弾仕様としてある
▲D型の他、B型改修型で主翼下に搭載可能となった12.7mmガンポッド、Mk81爆弾2発、ロケット弾ポッド。爆弾は他社のキットから流用、実弾仕様としてある
主翼をはじめとした機体表面にはパネルラインやリベットが緻密にモールドされている
▲主翼をはじめとした機体表面にはパネルラインやリベットが緻密にモールドされている。エルロンはやや下がった状態とし、後縁の3ヵ所に放電索を追加した
開状態とした胴体下面のエアブレーキ
▲開状態とした胴体下面のエアブレーキ。内部ももちろん再現されている。作例では固定状態としているが、主翼後縁内側のフラップも下がった状態を選択できる

実機のアウトラインはじつに美しい!

タイ空軍のタンゴ飛行隊で保管されている、T-28Bトロージャン 1
タイ空軍のタンゴ飛行隊で保管されている、T-28Bトロージャン 2
▲タイ空軍のタンゴ飛行隊で保管されている、T-28Bトロージャン。この飛行隊は空軍で退役したF-86FセイバーやT-33Aシューティングスター、F-8Fヘルキャット、O-1バードドックなどの機体を飛行可能な状態で保管している部隊で、バンコク市内に所在するドンムアン空軍基地のイベントなどで展示される

実機について
 ノースアメリカンT-28トロージャンは、T-6テキサンの後継機として開発された練習機で、アメリカ空軍などで採用された練習機としては最初に前輪式完全引き込み式脚が採用された。空軍型のT-28Aトロージャンは戦闘攻撃訓練などにも使用するため、パイロンガンポッドや爆弾、ロケット弾ポッドなどが搭載可能になった。のちに海軍はエンジンを強化したT-28Bを採用、ベトナム戦争が激化すると対ゲリラ戦向けにT-28Dが開発された。
 三菱重工は中間練習機としてT-28B1機を独自に購入して売り込んだが不採用となり、1956年に防衛庁に買い上げられ、実験航空隊(当時)で各種試験に投入されたあと、偵察航空隊に移管されたが事故を起こして飛行不能となり、現在は浜松基地のエアパークで保管されている。
キットについて
 5~6年前にキティホークから、1/32のT-28B/Dトロージャンが発売された。前後して同社から1/32のT-6テキサン、F-86Dセイバードッグ、1/48のF-101ブードゥー、F9Fクーガーなど、オールドモデラー好みのマイナーな機体も発売されたため、製作意欲満々で購入し、最初にパーツを切り離してから数年後の今年、ようやく完成した。このキットは、トランペッターやホビーボスなど中国製の新製品キットが市場に氾濫していた時代に発売された1万円を超える、当時としては非常に高価な製品だった。
製作
 キットは視界良好なキャノピーに覆われたコクピット内部や、詳細に再現されたライトR-1820エンジンが付属するので、塗装でリアル感を再現したい。計器パネルはデカールが用意されているが、作例では塗装で再現している。またエッチング製のシートベルトも付属しているが、今回は別売りのパイロットを使用した。この機体は前脚式なのでオモリを入れる必要があるが、キットはエンジンがパーツ化されているためオモリを入れるスペースがほとんど無いのが悩みのひとつ。今回はエンジン内部をくりぬいてオモリを入れコクピット周辺にもオモリを詰め込んだが、仮組み状態でも尻もちをつくため、結局前脚収納庫内にもオモリを詰め込んで尻もちをつかないように製作した。
 エンジンカウリングは5分割されているので、正確な円形に接着するには隙間や段差が生じないように注意が必要。同時にエンジンは機軸の中心に合わせる他、側面の排気孔の位置などにも注意して製作する必要がある。
 組立説明書では、前脚は収納庫を組む段階で固定するよう指示があるが、製作途中破損する恐れがあるため、胴体部分が完成後に接着している。前脚と主脚のタイヤホイール、プロペラのスピナーなどはマーキングの機体によって選択式だが、塗装する機体の区別が組立説明書では指示されていないので注意が必要だ。主翼や水平尾翼などは出来がよく、各動翼と胴体下面のエアブレーキは別パーツとなっているため、可動状態も再現できる。3分割されたキャノピーも開閉が選択可能で、今回はパイロットを乗せたため開放状態を選択した。
 デカールは派手なマーキングのアメリカ海軍機と空軍機の他、ベトナム迷彩のアメリカ空軍機、フランス空軍、タイ空軍、フィリピン空軍と航空自衛隊の第501飛行隊(珍しい)が選択できる。以前ローデンから発売されていたT-28B(1/48)をイエローのトレーナーカラーで製作しているので、今回はベトナム迷彩のT-28Dを選択。この機体はベトナム戦争が激化すると、対ゲリラ戦用にT-28Aの主翼を強化してパイロン数を増加し、ガンポッドのほかロケット弾ポッドや爆弾などを搭載可能にした支援攻撃型。ベトナム迷彩は市販のカラーを自分の好みで若干アレンジし、迷彩パターンは型紙を使用している。塗装が終わったらスミ入れを行った他、鉛筆を使用してグラファイトを各所に擦り付けてリアル感を演出。爆弾は他社のキットから流用した。
 この機体は民間に払い下げられた機体に、ベトナム戦争に参加した第1特殊作戦航空団/第317特殊作戦飛行隊(1SOW/317SOS)のマーキングが施されたため、ベトナム戦争当時では無かった胴体後部の上下にあるACL(衝突防止灯)が追加されている。また爆弾は実弾仕様にしてある。

キティホーク1/32 スケール プラスチックキット

T-28 B/D トロージャン

製作・文/石原 肇

T-28B/Dトロージャン
●発売元/キティホーク、販売元/ハセガワ●14740円、発売中●1/32、約31.4cm●プラキット


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