エアブラシがあれば「水性ホビーカラーの楽しいこと」全部できます!
エアブラシが引き出す「水性ホビーカラーの可能性」
水性塗料のエアブラシ塗装の楽しみ方をお届けする。昨今の筆塗りブームにより水性ホビーカラーは筆塗りに適した塗料というイメージが先行しているが、エアブラシ塗装においても素晴らしい性能を発揮する。そこでこの記事では、水性ホビーカラーの性能の良いところを全部盛りにした「エアブラシ塗装&筆塗り」によるハイブリッド塗装で完成させたストライクドッグの作例をお届けしよう。環境的にもラッカー塗料が厳しい……という方にとっての福音となれば幸いだ。それではエアブラシと筆を手に、塗装スタート!
フミテシ
元ホビージャパン編集部員。ホビーメーカー・マックスファクトリーの企画部を経て、フリーの編集者として独立。模型webメディア・nippperの副編集長でもある。
水性ホビーカラー塗装で目指す「ストライクドッグ」
まずは本作例において製作者のフミテシによるプランをご覧いただこう。ストライクドッグは劇中では地面に埋まったあとしれっと再登場したりしているから、「いったい何機いるんだ……」と思ってしまうが、パーフェクトソルジャー専用機ということで簡単には廃棄されたりしないだろうと妄想し、使いながらも整備されているイメージで製作。
実際の戦闘機に見られるようなパネルラインの「タッチアップ塗装」を取り入れて整備された雰囲気を演出。そのタッチアップ塗装のメリハリを、エアブラシ塗装のグラデーションと筆塗りによりかっちりとした塗り分けで表現することにした。
01 エアブラシ塗装+筆塗りによる「ハイブリッド塗装」
▲エアブラシだからこそできる均一な塗装と柔らかなグラデーション塗装を基本塗装として施した
▲筆塗りの筆跡(タッチ)は「兵器が使い込まれた雰囲気や小さな傷」の表現にもなる。細かなタッチはウェザリング効果がありながらも、大袈裟なダメージにならないので「ヒロイックさを保ちながらも使い込まれている雰囲気」が演出できる。また色の情報量も増えるので、迫力も増す(実際より大きく見える)
02 ウェザリング塗装を前提としたエアブラシ塗装
▲すべてが均一に塗装された上からウェザリングをするのはあまり効果的とはいえない。エアブラシ塗装の段階で、明るくしたいところ(退色などのイメージ)、暗くしたいところ(影や汚れが溜まって暗くなるであろうところ)に明暗のメリハリをつけておく。戦車模型や飛行機模型などにもある技法だ
▲汚れや雨水などが垂れた跡を表現する「ストレーキング」。これによって周囲の装甲の色が変化した様子なども、先にエアブラシの細吹きで描いておく。この準備をしておくと、汚し塗料でストレーキングを施した時に、さらに豊かな表情になる
03 デカールワークは仕上げじゃない! 塗りながら好きなタイミングで貼る
▲デカールは色や情報量が増えるという意味では塗装と同じ。塗りながらデカールを貼ると、より色味や自分がアクセントして置きたい色のバランス調整がしやすい。またデカールの上にうっすらと基本色をエアブラシや筆で塗ることで、デカールと本体がより馴染む
04 エアブラシだからこそできるポイントを絞った「ツヤ表現」
▲缶スプレーでツヤ消しや光沢トップコートを吹くと、広い面に塗料が乗ってしまう。エアブラシでコートを行えば、自分がツヤを消したい、ツヤを与えたい部分に狙ってコートできる。本作例では足元にのみツヤ消しを吹いて(水性ホビーカラーのつや消しクリアー)、ハードなウェザリング表現の仕上げとしている
05 タッチアップ塗装で専用機らしさを表現
▲水性ホビーカラーは色数も増えたことにより、近似色が多数ラインナップされている。これをうまく活用して、基本色から各部を微妙に色変化させて、「整備後に塗り直したであろう場所」を表現するタッチアップ塗装や、「長い間整備されておらず色が薄くなった装甲パネル」などを表現してみた
エアブラシ塗装で使用する主な塗料(すべて水性ホビーカラー)
基本色:
ライジングフリーダムブルー
▲常に新色を提供し続ける「水性ホビーカラー」は、新色が出るたびに品質が向上している。通常ラインナップのインディブルーよりも、この「ライジングフリーダムブルー」は絶妙なインディブルーの色味でさらに塗りやすくなった傑作塗料。これを基本色として使用していく
ハイライト色1:
フリーダムブルー
▲少々赤みが強いフリーダムブルー。こちらをライジングフリーダムブルーを塗った上から塗装していく。面の中央や出っ張っている箇所にエアブラシでグラデーション塗装するイメージだ
ハイライト色2:
ガンダムエアリアル ブルー
▲ほぼ薄紫、水性ホビーカラーのすみれ色に近いガンダムエアリアル ブルー。一番明るいハイライト部分、退色表現を施したい部分に塗っていく
水性サーフェイサーを混色可能! お好みの下地色を作ろう
▲下地にはGSIクレオスの水性サーフェイサー グレーを使用。こちらの瓶タイプのものに、通常塗料の紫、ツヤ消しクリアーを混ぜて、赤みあるグレーサーフェイサーを作った。これを関節色としても使用している
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