HOME記事工具・マテリアルこれまでに学んだテクニックでガンプラをキレイに組み立て!!【いまさら聞けないプラモデルの基礎:ゲート、パーティングライン処理のまとめ】

これまでに学んだテクニックでガンプラをキレイに組み立て!!【いまさら聞けないプラモデルの基礎:ゲート、パーティングライン処理のまとめ】

2025.04.05

初めてでも安心!プロモデラー「ノモケン」と学ぶプラモデルの入り口!! File.06

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パーティングラインを処理する

パーツに残っている“金型の跡”を消して表面を整えます

 プラモデルのパーツはタイ焼きの型のように上下に分かれた“金型”に樹脂を流してカタチが作られます。その型の分かれ目の跡がパーティングラインです。多くはパーツのフチなどに目立ちにくいところにありますが、パーツの表面や中心をついていることもあります。わずかな凹凸や段差になっているこの部分を消してやることで“プラモデルをそのまま組んだもの”よりも、印象よくみえるようになります。

▲ パーティングラインはランナーの水平面を基準に、そこからパーツ形状に沿って上下していきます。この指パーツでは半分に分けるような位置に線があるのが見えます。またゲートはパーティングラインに沿った箇所にあります
▲ すでにゲート処理を済ませた状態で、さらにパーティングラインの部分をヤスリで削ってパーツ表面をならしていきます。削ったり、キズを仕上げる作業はゲート処理の場合と同様です。パーツを持ちやすいように先端の穴にツマヨウジを刺しています
▲ ヤスリを当てやすいところだけでなく、凹みになった指関節部分も整えてみます。ここはナイフを横にスライドさせるような削り方ですませています
▲ 指に表面に通っていたパーティングラインがなくなりました。これを各指で行うのは手間ですが、それだけに仕上がりに差がでるところでもあります

見映えをよくするプラスアルファ

ゲートやパーティングライン以外にも処理すると見映えがよくなる箇所もあります

 ゲートやパーティングラインは金型でカタチを作る上でやむなく付いているものです。それらを処理することでパーツが再現したかったカタチにより整うわけです。その延長としてパーツのフチの仕上がりにも注意してみましょう。場合によってはイビツなところがあったり、仕上がりがパーツ表面ほどには整っていないことがあります。

▲ パーツのフチ(小口)の様子に注目。“パーツの裏側”のような、少しザラつきのある状態になっています。完成後に見えるところなので、できれば他の面と同様に滑らかに仕上げたいところです
▲ フチの面をヤスリ掛けし、整えた様子。作業はゲート処理やパーティングライン消しと同様。あらかじめ気づいていたら一連の作業としておこなうと簡単です

ゲートが残りがちな組み立てと、各所を整えた仕上がりを比較してみよう

仕上がりの違いはどう見える?

 ゲートの残りなど細かなところは気にせずに「組めていればヨシ」という組み立て例と、ゲート処理やパーティングライン消しを行った仕上がりを比較してみましょう。

▲ 左はゲートが残りがちな組み立て。右は各部の処理をしたもの。遠目にみたら大きく違ってみえないかもしれませんが、より近づくと違いが現れます

▲ 頭部では左右のアンテナのゲート部、その面が整っているところに違いがみられます。アンテナの整形はより尖らせたりする加工にもつながり、イメージUPのためによく行われます。ここはパーツを折らないように注意も必要です。肩カバーのゲートやフチの状態にも注目

▲ 頭部を外した首回り。先の画像で左例の頭部が傾いているのは、残っていたゲートが干渉しているからでした。やはりゲートをキチンと切り取っておくことは大切

▲ ヒジ周辺。上腕に並んでいる段付きの円筒部。この横にもパーティングラインがあり、それを整えています。その上にみえる縦の線は“パーツの合わせ目”。これを整えるのはまた次のステップで

▲ 指はゲートやパーティングラインをしっかり整えておきたいところのひとつ。凹みや狭い所の整形にはそれにあった道具を使うよう工夫します。難しいときは目立つ表面のみ整形するだけでも効果があります

▲ ノズルパーツ。ゲートの処理はもちろん、底面から少し上にパーティングラインがあるので、そこも整えています。面の角度が変わる“峰”の部分なので、カタチを崩さないように注意します

▲ 大小ノズルが並んだところ。整えた様子は先に紹介した通りです。繰り返しになりますが、曲面のゲート処理や整形は切りすぎにならないよう、パーツ表面のラインを意識して行います


今回のまとめ

 プラモデルはいくつもの部品を組み合わせます。切り取りが良くないと組み付けが歪んだり、無理をすると破損するしたりすることもありえます。まずそこを踏まえた上で、さらにゲート跡やパーティングラインを整え、素組みでも見た目の印象をより良くするのが今回のステップ。プラモデルだけど明らかにプラモデルと分かる跡を消すというもの。組み立てだけを楽しんできた人も、ちょっと踏み出してやってみてはいかがでしょう。
 色分けされたキットではこれでツヤを落としてやれば塗装をした姿にも近づきます。パーツ表面の状態に気を配ることは塗装を施したり、パーツの加工をするにも大切な第一歩となります。

▲ 今回使用した工具はニッパー、紙ヤスリ、デザインナイフといった基本的なもの。これだけでも場面に応じてそれぞれを使い分けることで、充分な仕上がりが得られます。切り取りや整形に便利な道具はたくさんあるので、それらはまたあらためて触れることにしましょう

記事中の模型用語をピックアップ簡単解説!

■キムワイプ(商品名)
 精密機器に使う紙性の汚れ拭き。ケバ立ちや繊維が残らないので模型用途でも使われる。今回の磨き使った例は表面の硬さやザラつきを利用している。

■合わせ目
 パーツ同士が接するところ。継ぎ目とも呼ばれる。そこを埋めて一連の面にならす作業が「合わせ目消し」(継ぎ目消し)。 


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解説・文/野本憲一

 多くのユーザーから愛される模型製作ガイド「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」の著者・プロモデラー。当連載『いまさら聞けないプラモデルの基礎』では、令和最新版“プラモデル製作の基礎”を解説します。現在では数多くの選択肢があるプラモデル製作の道具やテクニック。「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもなぁ…」と思うものもあるはず。そんな“ギモン”を改めて学んでみましょう。


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