『伝説巨神イデオン』より、ユニークな外観が特徴の「ギド・マック」を当時キットで製作!大迫力キットを電飾やディテールアップでさらにアップデート
2025.01.16サンライズ・メカニック列伝 第69回/ギド・マック【青島文化教材社 1/600】 月刊ホビージャパン2025年2月号(12月24日発売)
ギド・マック
(『伝説巨神イデオン』より)
サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は『伝説巨神イデオン』から、バッフ・クラン宇宙軍制式重機動メカ「ギド・マック」1/600作例をお届けしよう!
ギド・マックは元バッフ・クランの武人ギジェ・ザラルですら一切知識を持ち合わせていなかった、まったく新しいタイプの重機動メカである。全長137mの巨大な機体でありながら従来のメカとは比較にならない速度と運動性能を備え、30基の21連ミサイルポッド、24門の対空速射加粒子砲、4基の大型クローを駆使した超高速戦闘を得意とする。2機が合体することも可能で、武装を倍化させたこの形態は「ギド・マック・ドウ」と呼称される。劇中ではイデ追撃隊長ハンニバル・ゲンが率いる戦艦ガドモア・ザンに4機が配備され、火力と機動性でイデオンを圧倒。TV版『イデオン』における事実上の最終メカと呼べる存在である。
作例は田仲正樹が私物を3セット投入して2機を製作。1機目はクローをフル可動化、一部パーツの差し替えで着陸姿勢も再現可能に。2機目は強度を重視した半固定仕様とした。いずれもキットの部品形状を最大限に活かし、メインノズルの伸縮機構はより確実なものへと刷新。電飾やディスプレイに関する提案も盛り込まれた、見どころ満載の作例として完成させている。
[製作途中状態]
ファンにとっては2機製作が基本のため、シリーズ内でも最大級の製作ボリュームとなるギド・マック。フォルムの再現度は非常に高く、左右非対称の胴体部品に目をつぶればストレート組みでも特に問題はない。田仲氏は各部にくまなく手を加えた1機目と、工作量を抑えた2機目(それでも結構な大仕事だ)を製作。読者諸氏におかれては2種の作例から、現実的に行える製作時のポイントを読み取っていただければ幸いである
[機首/胴体]
機首形状はほぼそのまま。30 MINUTES MISSIONSのヒンジを仕込み後ハメと可動化を行った。コックピットの回転機構はサイズ等から省略。胴体は成型が左右非対称、特に加粒子砲周辺はひと目でわかるほど歪んでいるが、時間的都合から前部着陸脚収納庫の位置修正に留めた。数が足りないミサイルポッドもキットのままだが、加粒子砲部は底をくりぬいて深さを出し、キットをもう1個使い砲を増やした。センサー部はLEDで電飾。下面の一部を切り取り、電池とスイッチを収めている。大型クロー基部は本体から切り取り、磁石で接続してクローを回転できるようにした。メインノズルは奥をくりぬいて適当な円筒状のパーツを接着し、奥行きを出した。合体時に本体へ収納できるように、基部には収納家具の扉に使うマグネットラッチを仕込んでいる。ノズルのコーン部はHIPS樹脂製キャップを使い、合体時にスムーズな着脱が可能。キット箱絵風の先端が尖ったものも、1/48 HIPEG 20mmガンポッド後端部で別途製作した。メインノズル周囲のダクトは、0.5mmプラ板に置き換えてシャープ化している
[着陸脚/白旗/ディスプレイ台座]
着陸脚
白旗
ディスプレイ台座
着陸脚は磁石による固定で着脱が可能。前脚3本は破損防止のため1パーツ化し、後ろの2本は目立たない位置で左右を洋白線でつなぎ補強。後脚もキットの着陸板を2セット使って強度を高め、4本の脚を1パーツにしている。地球連合軍戦艦スカラベリィと並んで駐機しているシーンで掲げられた白旗は、不織布製の両面テープにティッシュペーパーを貼り付けたものを切り出して製作。戦闘態勢用の台座は、AFVモデルのベースにおもりの金属部品を詰めてレジンで固定し各種パテで表面を岩塊風に加工、MGガンプラの台座支柱を取り付けたもの。本体に仕込んだ4mm径ポリパーツに接続する
[ギド・マック・ドウ]
合体方法自体はキットに準じているが、接続軸をKPSに交換して着脱しやすくしている。この形態専用の台座穴も設けているが、安定して飾るには強靭な複数の支柱と、なるべく大きな面積がある台座を用意するのが望ましい
[半固定版作例]
表面ディテールのシャープ化と電飾、合体のためのノズル加工のみ行った作例。2体作ることも考えると、こちらの作例を参考になるべく工作量を抑えて製作するのが現実的だろう
[大型クロー]
先端を削り込んで尖らせ、真鍮線とHGガンプラのヒンジでフル可動化。「もし可動化させるなら、経年によりプラの弾力が落ちていてすぐ緩むので真鍮線は使わないのが無難」とのこと。バーニアは真鍮パイプに置き換え、その中に入れたネオジム磁石で本体と接続。ケーブルは市販のカラーワイヤーで自作し、クローとは真鍮パイプ、本体とは磁石で接続する形とした
■ふたつでじゅうぶんですよ
キッチン以外のキッチ一族の人々の名前をいつも考えているサンライズメカファンのみなさんは、1/600ギド・マックの箱をたまに開けては「…デカい! …製作はまたの機会にしよう…」と押し入れに戻す日々を送ってきたはず。全長124m(合体時)のガルボ・ジックや、全長156.6mのザンザ・ルブも相当大きいのですが、ギド・マックは全長137mの機体が意表をついて縦に2機合体するので、そのボリュームと作りごたえは圧倒的なものとなります。加えて1982年発売の製品ということで合わせ目の処理も大変ですから、なるべく力を抜いてストレート組みに近い形でふたつ完成させたいところです(もちろんギド・マック・ドウを。1/1300キットでも)。
キットの胴体は明らかに左右非対称な成型なのですが、修正を始めてしまうと完成しなくなるので気にしないようにしましょう。ミサイルポッドや加粒子砲の数が設定よりも少ないのも、ミサイル発射口のモールドがいい感じなのでスルーします。クローはフル可動化しましたが、面倒なうえに破損のリスクも高まるので、最低限のシャープ化のみに留めたほうがいいと思います。クリアーパーツの奥には「ここにムギ球を入れて電飾してください」とばかりに穴が開いていますが、周囲にアルミ蒸着テープを貼って光を反射させるだけでも充分です。一方で必ずやっておきたいのは、ディスプレイ台座(巡航形態で飾りたい場合は用意しましょう)に接続したり、塗装時に持ち手を差し込んだりするための穴を設けておくこと。そして2機が合体する際にメインノズルを外せるように加工するか、ノズルが収納されたまましっかりロックされる機構を追加することです。これで格段に塗装がしやすくなります。作例は家具の扉に付けるマグネラッチを内蔵させて、ノズルを押し込むと奥に「カチッ」と固定され、再度押し込むと戻るようにしています。
■太い持ち手を取り付けて塗りましょう
講談社刊「テレビマガジンロボット大全集7 伝説巨神イデオン」、徳間書店刊「ロマンアルバム・エクストラ48 伝説巨神イデオン」およびキットの箱絵を参考に塗装。本体色が明確に「青緑」になるようにしました。以前も書きましたが、ブラウン管テレビの画面ではウォーカーギャリア、ファッティー、ARVガッシュ、ギャプラン、ゲルドーラ、神崎ケンのジャケット等の色が、かなり青に寄って見えていたのです。
本体=純色シアン+純色グリーンにフレッシュミントグリーン、ミッドナイトブルー、ハーマンレッドを各少量
自在式クロー等=自作の青紫系グレー
クロー基部等=自作の緑系ダークグレー
ミサイルポッドはハーマンレッドにピンク少量、本体色ごく微量。発射口の周りは箱絵を参考に暗い赤で塗り分けました(マスキングが大変ですが、単調な感じがなくなるのでお試しください)。ノズル内のコーンも箱絵を参考に暗い赤で。スミ入れ後に、ツヤ消し寄りの半光沢クリアーで塗膜をコートして終了です。
次回は主人公達の頼もしい味方である(いや、ライバルかな?)、あの大型メカの作例が登場します。
青島文化教材社 1/600スケール プラスチックキット
ギド・マック
製作・文/田仲正樹
▼ 関連記事はこちら
©サンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
月刊ホビージャパンガンダム班および「宇宙船」誌の映像倶楽部に所属。「〈キッチンジャー〉しか思いつかない」とのこと。