HOME記事キャラクターモデル1/450イデオンを各部徹底改修して設定画のスタイルを再現! スケール感を表現する塗装とディテールアップ【サンライズ特集2024】

1/450イデオンを各部徹底改修して設定画のスタイルを再現! スケール感を表現する塗装とディテールアップ【サンライズ特集2024】

2024.04.21

イデオン【青島文化教材社 1/450】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

劇中のスタイル再現とディテールアップで巨大感を演出する

『機動戦士ガンダム』を大ヒットさせた富野由悠季監督が、翌年の1980年に手掛けたSFロボットアニメ『伝説巨神イデオン』。第6文明人の遺跡から発掘された巨大メカは合体して人型ロボットのイデオンとなり、バッフ・クランの重機動メカと激戦を繰り広げる。作例は、TV放映当時から精力的にプラキットを展開していた青島文化教材社のおよそ40年ぶりのリリースとなった最新キット「1/450伝説巨神イデオン」を使用。設定画のスタイルを再現すべく各所を徹底改修。全高100mを超える巨体を表現すべく、全身に微細なディテールを追加し、塗装表現と合わせてスケール感を演出している。

伝説巨神イデオン

□1980年5月8日〜1981年1月30日□東京12チャンネル(現テレビ東京)系□メカニカルデザイン/サブマリン

 富野由悠季監督によるSFロボットアニメ。西暦2300年代、地球の植民惑星ソロ星で、異星人バッフ・クランと人類が接触。ソロ星の少年コスモたちは古代遺跡から発掘された巨大メカ、イデオンとその母船ソロシップで脱出するが、バッフ・クランの執拗な追撃に晒される。バッフ・クランの機動メカはこれまでにない人型を大きく離れたスタイルで当時話題となった。後に新作カットを大幅に加えた劇場作品「接触篇」「発動篇」が公開された。

イデオン
全長/105m
重量/5650t

▲ソロ星の先住民“第6文明人”の手で造られた巨大メカ、ソル・アンバー、ソル・バニア、ソル・コンバーの3機のメカが合体して、全高105mにもおよぶ巨神イデオンになる。ソロ星の第1発掘現場で地中から発見され、バッフ・クランの攻撃がきっかけで母船であるソロシップとともに起動した。キットは変形・合体をオミットしたフルアクションモデルで、オリジナルアレンジも加わったスタイリッシュな造形。作例はより設定画や劇中イメージに近づけるべく、腕や脚を中心に改修を加えた

▲キットに付属する同スケールのジョングも丁寧に塗り分け。本記事冒頭の特撮カットにも登場してもらった

▲頭部は3種のバイザーパーツが用意されており、差し替えることで劇中で見せた走査線が走ったような表情を再現することができる

▲ハンドパーツは握り拳や平手、武器持ち手など、表情豊かな4種類が用意されている
▲全身各所に549門のミサイル・ポッドを備えるイデオン。劇中ではたびたびミサイルの一斉掃射を行っていた。キットにはそれを再現できるミサイル発射エフェクトが用意されているが、作例では残念ながらオミット

▲腹部の球体パーツは回転してグレン・キャノン2連装砲座が展開するギミックを再現

▲プラ板とパテによりツルツルになった腕、脚を中心にモールドを彫り情報量を追加。0.15mmのラインチゼルを使い、あまり深く彫らないことで巨大感を損なわないように。またスジ彫りのパターンは左右非対称とし、ランダムに彫ることで地球とは違う文明、概念の機体である表現としてみた

▲頭部はバイザー上部のラインが一直線になるようにポリパテで修正しつつエッジ出し。頬当ても一部カットしプラ板で先端を新造。マスクも切り欠き部分にパテを盛りラインを修正した
▲製作途中の全身写真。頭部、腕部、脚部を中心に形状修正を行っているのが分かるだろう

▲腕部は大きく改修を加えた部分。メリハリのある形状を、設定画のような箱状になるようプラ板で囲み整形。内側のシャッターモールドも形状修正に合わせて作り直している

▲脚部はプラ板とポリパテでライン修正。キットにあるハシゴのようなディテールはオミットし、つま先もプラ板で大型化

▲腹部のシャッターパーツは、波動ガンから伸びるエネルギーチューブを接続できるパーツに差し替えることができる

▲波動ガンはストレート組み。クリアーグリーンのサイト部分はモールドにホワイトを流し込んで強調している

【カラーリングデータ】
赤=ガンダムカラーRX-78レッド Ver.アニメカラーにエヴァレッドとオレンジイエローを少量
白=Mr.カラーGX1番・クールホワイト
青=ガンダムカラーUG17番・ティターンズブルー2
黄色=オレンジイエローにイエローを少量
関節色=Mr.カラー331番・ダークシーグレー

 皆さんこんにちは! チョートクです。今回はアオシマ1/450イデオンを担当させていただきます。TVシリーズの放映期間中に生まれた世代なので、『伝説巨神イデオン』はゲームなどで触れるレベルでしたが、まずは劇場版の「接触篇/発動篇」を視聴し、映像、音楽のクオリティにどっぷりハマりながらの製作となりました。
 アオシマ1/450イデオンは可動、プロポーションも悪くないのですが、各部の形状にアレンジが入っています。視聴後すぐということもあり、ここはアニメに寄せたい! と改造することにしました。

■頭部
 頭部はバイザー上部のラインが横一直線になるようにパテを盛り、各部のエッジも追加しました。頬当ては一部を切り飛ばし形状を修正した後にプラ板で先端を新造しました。マスクは切り欠き部分にパテを盛りラインを変更。バイザーは付属のクリアーパーツの裏からMr.メタルカラー・ステンレスを塗装し、キットパーツを活かしました。走査線のモールドにはホワイトをスミ入れするとメリハリがつきました。

■ボディ
 ボディは特に大きな改造はせず、スジ彫りの追加にとどめました。

■腕部
 特にアレンジの強い腕部も改造していきます。設定画と見比べ、まずはヒジ関節を前腕側に7mmほど移動しました。前腕の白い部分はキットでは手首に向かって末広がりですが、アニメだと逆で、手首に向かって細くなっているので、前腕の白いパーツを前後逆に差し込み、隙間はプラ板で調整しました。肩はプラ板の箱組みで新造し、一部キットパーツを貼り付けて情報を持たせました。
 ボディ側のシャッターもプラ板で新造し設定画に寄せました。上腕部もアレンジにより凸凹したラインになっていますが、腕は肩から前腕にかけて「連続した直方体」に見えるシルエットにしたく、プラ板を貼り付けてシンプルな箱状に変更しました。
 ミサイル発射部とキャタピラはキットパーツを使用しました。

■脚部
 脚は曲線で構成されたヒザのダクトと直線的なスネ、足首からヒザ裏までつながる滑らかな曲線を再現するためにプラ板とパテで形状変更を行いました。つま先も設定画に合わせるために先端をカットし、プラ板の箱組みで新造しました。

■塗装
 モールドの確認でグレーサフを吹き、処理の甘いところをラッカーパテで修正。サーフェイサーエヴォ ブラックで下地を作り塗装に入りました。

■100mクラスの巨体に見せるテクスチャーの追加
 100mを超えるサイズのイデオンに対し、とてつもなく巨大なロボットのイメージを持っていましたが、海上自衛隊のイージス艦あたごが全長165m、東京都庁舎の高さが243.4mということを考えると、実際のサイズ感、解像度が見えてきました。前述したスジ彫り追加もそうですが、さらに巨大感を演出する方法として塗装でテクスチャーを追加することにしました。
 まずはスミ入れ+ウォッシングとしてMr.ウェザリングカラーステインブラウンを塗り付けていきます。Mr.ウェザリングカラーうすめ液を含ませたティッシュで余分なスミ入れを落としますが、上から下方向へ拭くことで、落としながら汚れを流して水垢や錆の流れを追加しました。全体に遺跡としての廃れた感じをイメージし、赤いパーツ以外の黄色、青パーツにもステインブラウンでスミ入れし、同様に汚れを流しました。
 しっかりと乾燥時間を取ったら、太めのこより状にしたティッシュにMr.ウェザリングカラーフィルタ・リキッドのグレーズレッドを含ませ、こよりの先端をパーツにスタンプしランダムにテクスチャーを付けていきます。全体のバランスを見ながら全身に色を乗せ、終わったらいったん完全乾燥させます。さらに色を足すために今度はMr.ウェザリングカラーのラストオレンジを使いスタンプしました。単色の赤い面に数色の赤、茶、朱を重ねることで面に情報量が追加されて巨大感が出ました。最後にシャープペンでチッピングを追加したら完成です。

■武装とおまけ
 波動ガンは一部パーツを後ハメ加工したのみで、ストレートに組み上げて塗装をしています。ガンダムカラーUG17番・ティターンズブルー2にグレーを混ぜたもので全体を塗装し、部分的にさらにホワイトを追加したもので塗り分けています。クリアーグリーンのサイト部分はモールドにホワイトを流し込んで強調してみました。こちらもステインブラウンでウォッシングをかけ、スミ入れはマルチブラックで仕上げています。付属のジョングも塗装して仕上げてみました。

青島文化教材社 1/450スケール プラスチックキット“ACKS”

伝説巨神イデオン

製作・文/長徳佳崇


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ⓒサンライズ

長徳佳崇(チョウトクヨシタカ)

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