一世を風靡した「コピック塗り」を再度検証してみる
令和仕様で楽しむ「コピック塗り」
平成のガンプラテクニックにおいて「簡単フィニッシュ」は革命だった。そのひとつとしてモデラー・MAX渡辺がさまざまなメディアで提案したのが「コピック塗り」である。大手文具メーカーのG-Tooが発売するアルコールマーカーであるコピックは、ガンプラの成型色を活かした仕上げとの相性が抜群だったのだ。MAX渡辺がコピックで塗り上げたガンプラには、「美しいぼかし」や「スミ入れ」が施され、その完成度とお手軽さによってエントリーユーザーからベテランモデラーまでを虜にし一世を風靡した。
ここではそんなコピック塗りを現代のガンプラに施してみる。そして、現在模型シーンで大活躍の台所用洗剤との相性も抜群ということがわかったので、その様子も合わせてご紹介しよう。(構成・文/フミテシ)
使用するコピック
コピックチャオ
▲初めてコピック製品を買う方向けに開発された、購入しやすい安価なエントリーモデル。もっとも定番のコピックスケッチと性能は一緒でインク量が少なめ。色数は180色。アルコールマーカー
コピックチャオ
●発売元/G-Too●308円、発売中●全180色
コピックモデラー&コピックマルチライナー
▲水性顔料を使用した極細コピック。コピックモデラーは模型用にカスタムされたスペシャルな1本で、0.02mmという驚異的な細さ。マルチライナーも極細のコピックで0.03~1.0mmの細さ(色によって細さのレンジは異なる)となっている。マルチライナーは10色あるので、用途に合わせて色をセレクトできる。モデラーはウォームグレー、マルチライナーはラベンダーを使用した
コピックモデラー 模型スミイレ用
●発売元/G-Too●販売元/グッドスマイルカンパニー●275円、発売中●全2色(ブラック/ウォームグレー)
コピックマルチライナー
●発売元/G-Too●242円、発売中●全10色(ブラック/クールグレー/ウォームグレー/セピア/ブラウン/ワイン/コバルト/オリーブ/ピンク/ラベンダー)
コピック塗りのポイント
1.トップコートは「最後」に施そう!
▲当時の記事ではツヤ消しコートを施してからコピックを塗って、無水エタノールなどでぼかしたりしていたが、コピックのインクは水性塗料・ラッカー塗料ともにダメージを与え、若干溶け出す。その溶け感も当時は「ぼかし」として活かしていたそうだが、それはプロモデラーならではの感覚も必要になる。安定して使用したいなら、コピック塗装を終えたあとにコートしよう。コピックはプラに直接塗っても即乾燥してしっかりと定着する
溶けてシミになる!
▲こちら、ラッカーのツヤ消しスプレーでコートしてからコピックでスミ入れし、コピックのぼかしペンである「カラーレスブレンダー」で拭き取った様子。カラーレスブレンダーの溶剤パワーによって表面のツヤ消しコートが溶け出し、シミのようになってしまった。こうならないためにも、トップコートは最後に施そう。トップコートでコピックが溶けることはほとんどない
2.カラーレスブレンダーと台所用洗剤を使い分けよう!
カラーレスブレンダー
▲コピックで塗った場所を消したりぼかしたりできる「カラーレスブレンダー」。こちらはスミ入れをきれいに消すというよりも「ぼかし」に使用するのがおすすめ。意外と溶剤のパワーが強いので、パーツの上で消そうとすると塗料がさまざまな方向に流れていく傾向があり、きれいにスミ入れを整えるのには向いてない
台所用洗剤
▲昨今の模型シーンで大活躍なのがマジックリンなどの台所用洗剤。こちら、コピックのインクもバッチリ拭き取れる。しかも、エナメル塗料や油彩ベースのMr.ウェザリングカラーで行うようなウェザリング塗装まで台所用洗剤があればお手軽にできてしまう。カラーレスブレンダーとうまく使い分けるとよい
きれいめ仕上げ! 素組みにスミ入れだけしてみよう
まずはそのまま組んだガンプラに「スミ入れ」だけしてきれいな仕上げにチャレンジしてみよう。コピックは色数が多いので、パーツの成型色に合わせたスミ入れの色も容易にセレクトできる。今回白いパーツにはBV25 グレイッシュ・バイオレット、黄色にはE08 ブラウンを塗ってみたぞ。
▲グレイッシュ・バイオレットをパーツのディテールに沿って大まかに塗っていく。大胆に色を塗れるのがコピック塗りの醍醐味
▲黄色パーツにはブラウンが似合う。コピックチャオは安価なエントリーモデルで手に入れやすく、さらに180色もあるのでガンプラの成型色に合った色を見つけることが可能だ
▲ぼかしたいところはカラーレスブレンダーを使用。かっちりときれいなスミ入れを施したい場所は、台所用洗剤を染み込ませたガイアノーツのフィニッシュマスターで拭き取った
▲コピック塗りが提唱された2002年頃に比べて、ガンプラの成型色は大きく進化。コピック塗りもより映える仕上がりとなる
▲モールドがとてもシャープな現在のガンプラ。コピックでスミ入れするだけで、一気に雰囲気がアップする。パーツが割れたりすることもない
コピック塗りで楽しむ「ウェザリング仕上げ」
▲ここからは台所用洗剤をフル活用したウェザリングをご紹介。まずはコピックE77 マルーンを大胆にもパーツ全体に塗ってみる。その後、台所用洗剤を含ませた筆でウォッシングする。すると模型用のウェザリング塗料で汚しているような感覚でパーツに汚しを施せる
▲外装の汚しの色を単調にしたくない場合は、さまざまな色をドットのように散らしてみよう。ドッティングというウェザリング技法だ
▲散らした色を台所用洗剤を含ませた筆でぼかしていく。パーツの上でさまざまな色が混ざり合うことで単調な汚しにならず、成型色にさまざまな色味が薄らと追加される
▲小さな傷はコピックモデラーとコピックマルチライナーを活用しよう。小さくて色味を抑えた傷はコピックモデラーのウォームグレーで、少々ハードな傷はマルチライナーのラベンダーを使用。ブラックを使うと傷の主張がかなり強くなるのでオススメしない
▲コピックだけで傷や砂汚れなどをこのように表現できる。カラーレスブレンダーや台所用洗剤で何回もやり直しできるのもいい
▲汚れが垂れている様子は、コピックで線を描いたあとに、台所用洗剤を含ませた綿棒で塗料を下方向に伸ばした
▲コピックでウェザリングしたあとに、水性プレミアムトップコートつや消しを吹いた状態。コピックならではの染料のおかげで成型色のグリーンにさまざまな色変化を加えることができた
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