HJオリジナルガンダム外伝の主人公機「タイラント・ソード改“アグレス”」をデジタルモデリングで製作!令和最新の「タイラント・ソード」を見よ!
2024.11.24SX・NFR-01SES タイラント・ソード改“アグレス”【ノンスケールスクラッチビルド】 月刊ホビージャパン2024年12月号(10月25日発売)
デジタルモデリング工程
設計/Rhinoceros 3D
出力/Formware3d
出力機/ELEGOO Saturn 4K
出力キャスト/Resione M68 その他
■ラフ検討
まずはおおまかにフォルムを検討。4画面を同時にモニターに展開し、バランスを確認していく。ここでフォルムが確定したら設計スタート。
■色検討
ここでいったん色検討を行う。ざっくりした形状のままだが、パーツ割りなども合わせて検討する。タイラント・ソードは作例や立体造形によってカラーリングが一部異なるので、どのカラーリングにするかも考えておく。
■武器
■黒シール
■最終データ
細部を造形して最終データの完成。影も入り、実際の立体写真と見まがうような仕上がりとなっている。
■出力
技の歴史ということで僕の担当はデジタルモデリングになります。最新というよりはデジタルモデリングが「使える」技術となった10年くらい前からソフトと設計方法は変わっていません。ですが、設計ソフトや出力ソフトのバージョンアップ、出力機と使用材料の進化によって、精度や手間が大幅にレベルアップしており、完全に主流の一手法として確立したといっていいでしょう。
デジタルの良いところは同じ条件、同じ方法で製作すれば少なくとも最低限は必ず想定した結果がもたらされることにあります。本来技術とは再現性があってこそなので、ちょっとナイフとパテで上手く盛り削りできたとか、今回いい感じに筆塗りができたとかそういうラッキーパンチとは違って、覚えれば今後の造形ライフが相当クオリティアップすること請け合いです。
デジタルモデリングにはざっくり分けて2種類あり、ZBrushに代表される粘土細工にも似たスカルプト系とプラモデル設計と同じ軸のいわゆる工業CAD系があり、今回はCAD系ソフトのRhinoceros 3Dを使用してモビルスーツを作っていきたいと思います。
今回のお題は「タイラントソード」でして、この機体、メカならではのシャープな部品構成と有機的ともいえる独特のフォルムと面構成で、前述したいわゆる2種類のソフトのどちらが向いているといえない絶妙な機体となっております。
資料の側面図や全体カットから各ユニットをブロックで積み上げて、全体のフォルムとユニットボリュームを確認します。この作業で最終的なかっこよさが決定してしまうので納得いくまでいじくりまわしましょう。ここでボリュームが決められれば、あとはパーツごとに面を曲面に変換したり、モールドや細かい面取り等の作業的な工作を積み上げるだけです。途中、ソフト上で色を置いたり、バランスチェックをこまめに行います。今回は固定モデルで軸やダボも画面上で決定しますので、ポーズとパーツ割りも設計と同時に行います。画面上は重力がないので自立するように考えてユニット位置を決定するのがポイント。カラーレジンで出力して出力パーツを組んだ状態で完成とします。最低限のスミ入れは行いましたが、黒の部分もデジタル上で平面データを作って黒シールに印刷しています。
サポート切りとその後処理にヤスリをちょっと使っただけのデジタルを前面に押し出した作例いかがでしょう?
ノンスケール スクラッチビルド
SX・NFR-01SES タイラント・ソード改“アグレス”
製作・文/柳生圭太
ⓒ創通・サンライズ
柳生圭太(ヤギュウケイタ)
商品開発や原型製作に携わりながら、時にプロモデラーとしても活躍するベテラン造形家にして経営者。