「隠しキャラなり!?」
――『ガールズ&パンツァー 最終章』第3話より――
2021.06.20
「隠しキャラなり!?」【CAMs 1/35】 月刊ホビージャパン2021年7月号(5月25日発売)
山田卓司による『ガールズ&パンツァー』ディオラマ作例、今回は『最終章』第3話より、継続高校のT-26をお届けしよう。『劇場版』で頼もしい味方として初登場した継続高校。これまで隊長車のBT-42のみが登場していたが、今回で姿を現したのがT-26だ。実車のスペックはさほど高くないものの、劇中での狡猾な戦いぶりは充分に強敵として印象付けられたはずである。作例では偽装していた雪だるまから飛び出し、アリクイさんチームに襲い掛かった一瞬を立体化。巨大な雪だるまがなんとも目を惹く、非常にキャッチ―な作品に仕上がった。
『ガールズ&パンツァー 最終章』第3話前半の知波単戦はいずれまた、ということで、まずは初めて対戦する継続高校戦を製作しました。
このT-26、予告編から登場することは予想していましたが、まさか雪だるまの中からとは。劇中描写をよく見ると雪で壁を作って戦車を囲み、その上から雪だるまのカモフラージュをしていたようです。今回はこのシーンを再現しましたが、継続のT-26はなんとも厄介です。継続のモチーフになっているフィンランドが所有しているT-26の中でも変わり種、OT改造型と言われる車種なのです。これは火炎放射型としてソ連軍により改造された車輌を、フィンランド軍がさらに改造して戦車砲を取り付けたという非常にややこしい代物です。
T-26自体はいくつかのメーカーよりリリースされているものの、現在どれも入手しづらく、かつOT改造型となるとキット改造が必須となり、かなりの難物。『ガルパン』戦車を発売している各メーカーさんには、継続仕様のT-26キット化を期待したいところです。
今回は香港の模型メーカー、CAMsの「ヴィッカーズ6トン軽戦車B型フィンランド軍改造型」を使いました。どのキットを使っても大改造は避けられないので多少カロリー高めでも行ける、と踏んだのです。ネックとなったのは転輪で、中程が凹んでボルトが並んでいる一般的なものではないフラットな形状で、自作を試みましたが断念。割りきって無加工としました。
・砲塔はキットとまったく違うのでプラ板から自作。砲身および砲基部が使えるのは幸いでした。
・戦闘室は正面と側面に傾斜のある形状で、キットの車体パーツを元に切り込んだりプラ板を使って形状変更。正面の操縦士用ハッチは角度などまるで違うので設定画を元に調整。
・機関室天面は吸気口カバー、排気口カバー、ジャッキおよび取り付け具すべて自作。フィンランド軍独自の改造点でもある車体後部マフラーカバーもプラ板による自作。
・車体にあるリベット、ボルトは位置も違ううえに改造の手間からすべて植え直しています。
雪だるまはサイズの異なる球形発泡スチロールを削って全体形状を作り、地面と一緒にモーリンの「スノーパウダー(粉雪)」を木工用ボンドで接着しました。眼はⅣ号戦車の転輪、鼻は割り箸を削ったもの、口は自転車のフェンダーを想定して半丸断面のプラ棒からの削り出し、耳はタミヤのシトロエンの車輪より。胸のボタンはⅣ号戦車の上部転輪。と、1/35ならではの流用部品が使えるところは『ガルパン』の良さですね。帽子、マフラーは赤い紙を使いました。
CAMs 1/35スケール プラスチックキット
ビッカース 6トン軽戦車B型 フィン軍改造型・インテリア付 使用
「隠しキャラなり!?」
ディオラマ製作・文/山田卓司
ビッカース 6トン軽戦車B型 フィン軍改造型・インテリア付
●発売元/CAMs●9790円、発売中●1/35、約13cm●プラキット
© GIRLS und PANZER Finale Projekt
山田卓司(ヤマダタクジ)
ご存じ情景王。AFV、怪獣、ガンプラなどそのフィールドは多岐にわたるベテラン。常に新しい手法を模索する探究者でもある。